異形のサーカス

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

異形ノ双子ト行キ先

ー本当は、分かっていた。父はもう助からないこと。母は、自分たちを迎えには来ないこと。

約束は、果たされないということを。


あれから2ヶ月がたった。

母の言う通りに自分たちの家から池の方向へまっすぐと走り抜け、ついに双子が足をもつらせたのは、森を抜け、その先にあった街の路地裏だった。

双子は待った。転んで打った頬が、地面に擦りむいた足がどれだけ痛かろうが、転んだこの場所にいなければ母が迎えに来れないかもしれない。

弟の好きな猫が傍を通って行こうが、姉の嫌いな虫が飛んでこようが、光の刺さない真っ暗な夜が来ようが、双子はそこでずっと待った。

そして、弟が姉の呼びかけに応えなくなったのは、それから5日が経った日の朝だった。

一昨日から空腹を訴えてはいたが、それは私も同じだからと、一緒に我慢していた。そのせいで。

姉の右腕は動くが、弟の左腕は動かない。

力の入らなくなった左半身が重かった。

でも、弟の体はまだ温かかった。

せっかくあの場所から逃げて来られたのに、こんなことで死なせてはいけない。

あの時弟が自分のことを何度も何度も呼んでくれたように、意識の朦朧としたのを途絶えさせないように。姉は何度も弟に呼びかけた。

「もうチョットだけ待っててネ。オイシイもの食べニ行こッカ!」

そう言って、重い体を引きずりながら姉は歩き出した。

頭は1つ、腕は2つ、足は2つで心は1つの、ニンゲンたちの住む街の中へ。


頭は2つ、腕も2つ、足は4つで、心は2つの、異形の双子が。

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