ひかり射す庭にて。

夢の島

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新生弓道部の特別コーチ、滝川雅貴は果たして、弓道部のコーチとしてどうなのだろうか。


あからさまに戦力差のあった紅白戦を終え、負けた男子チームには下僕の称号が与えられた。今は弓道場の草むしりをしている。暑くなるとよく繁る。

そんな彼らを、遠くからなまえは見ていた。


「滝川コーチは、詐欺師の才能でもおありですか」

「…はは、君は厳しいな、ええと、」


「如月なまえ、あそこで草むしりをしている如月七緒の双子の妹です」

「双子!?」

「男女の双子は二卵性なので似ないんですよ」


雅貴は七緒となまえを交互に見る。


「君は、弓はやらないのかい?」

「事故の後遺症で、右腕がダメなんです。激しい運動をしたら、」

「…どうなるんだ」

「外れます。肩が。あっさりと」


あまり頻繁に外れると骨や筋なんかに悪影響になるので、大きな動きや力をぐっと込めることはしてはいけない、らしい。


「なので、自分は雑用係なのです。コーチも何かあれば遠慮なくこき使ってくださいね」

「ははは、そうか…」


そのあと、雅貴は部員と下僕たちを集めた。

なにやら秘策があるらしい。



「合宿?」

「そう、合宿。合宿はいいぞ。なんたって集中できる」


雅貴がとつとつと合宿の素晴らしさを解きはじめ、それに海斗が食いついた。勢いよく手を挙げる。


「マサさん!俺、合宿行く!!」


聞けば再来週の三日ある連休で合宿を行う予定らしい。ご飯はカレー。ということは、自分達で作るんだろうか?


「再来週…、」

「あのー、俺、その日デートがあるかもッス…」


やる気に満ちた海斗の次に、申し訳なさそうに七緒が挙手をする。雅貴は特に気にしていなかった。


「来るもの拒まず、去るもの追わず、だ」

「…………合宿」


連休の三日間、弓道部のみんなと寝泊まりして、弓の練習をする。きっとなまえはその間は雑用三昧だ。掃除と洗濯と料理と、あとは何をすればいいのだろうか。


「…行くの?なまえ」

「七緒はデート、楽しんできてね。お土産頼んだよ。可愛い猫の雑貨を何かひとつ」

「えっ、え、ええ…!?」


七緒は行かないから、なまえも行かないと思っていたら、実はそうでもないみたいで。


「如月さんは来れるの?」

「とりあえず親に聞いてからになるけど、雑用を担当する者としては、参加しなくてはいけないような気がして」


湊の質問に、なまえが答える。そう、部員にはちゃんと練習に集中してもらうとして、そうなれば雑用はなまえが請け負うべき仕事なのだから。


「如月はそんなに気にしなくてもいいぞー、雑用はみんなで分担すればいいことだ」


雅貴はにこやかになまえに呼び掛ける。なまえの隣にいる男子部員たちの下僕Tシャツが、日光を浴びて白く輝いている。合宿中も下僕たちは働かなくてはいけないらしいので、おそらく雑用は彼らと分担することになるのだろう。弓の練習と雑用、両立させるのは大変だろうなあ。ちゃんと弓の練習はできるのだろうか。


「如月さん、重たいもの運ぶときは呼んでね!俺が運ぶから!」

「ありがとう遼平くん、心強い」

「遼平だけじゃないですからね。何か困ったことがあったら遠慮なく相談してくださいね」

「竹早くんも、ありがとう。でも、1番は弓の練習だから、そちらを優先してね」


静弥と遼平がなまえに声をかける。さすがというか、この二人はなまえの動作をよく気にしていた。なまえの右腕があまりたくさんのことができないと知ってからは、特に遼平はなまえの雑用をそれとなく手伝ってくれていた。


「なまえ……!」

「おっ、モテモテじゃねーか、なまえ」

「かっちゃん!?」

「如月さん、料理上手らしいし、手料理食べられるの楽しみだなあ」

「竹早!?」


海斗と静弥のダメ押しに、七緒は負けた。結局七緒も合宿に参加することになった。顔には出なかったけれど、なまえは少しだけ安心したし、嬉しかった。やはり離れるのは寂しいので。


「……七緒、デート、良かったの?」

「え、う、うん……」


海斗と別れて帰り道。七緒はなまえのカバンを持っていて、なまえは七緒の弓を持っていた。


「…部活、頑張るよ、俺」


いつになく七緒が真剣に言うものだから、なまえはびっくりした。


「デートは、?」

「ちょっと控えめにする。県大会があるんだし、

部員ギリギリだし、俺だけダメダメなのは、カッコ悪いっしょ!」


言葉に嘘は見えなかった。きっと七緒なりに考えて、ちゃんと決めたことなんだろう。なまえは頷いた。


「…うん、僕は、カッコいい七緒がたくさん見られるのは、嬉しいから、…頑張ってね」

「ちゃんと見ててよ!なまえも、遼平や竹早に頼るのもいいけど、俺にもちゃんと相談とかするんだよ!」


七緒は小指を差し出してきた。


「、うん」


なまえが、その小指に自らのそれを絡めて、約束をする。


「よし!」

「七緒も、言ってね。僕に」


「、え」


「辛いこととか、苦しいこととか、海斗にも言えないこととか。…僕じゃ頼りないかもしれないけど、」

「頼りなくなんかない!」


突然、七緒が声を荒げた。そんな七緒は、初めて見た。


「…なまえは自分のことを、小さく見すぎてるよ。頼りなくなんかないし、頼りないのはむしろ、俺の方…だよ」

「七緒は、頼りなくなんかない!」


同じ台詞をそっくり返して。びっくりした七緒と目が合ったら、ふたりとも思わず吹き出した。


「んじゃ、頼りにしてるよ、なまえ」

「こちらこそ、七緒」


おでこをくっつけて、二人でくすくす笑い合った。



「合宿、楽しみだね」

「だねぇ」