黒と白

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

2人で歌うこと・その7

「うーん、そうだなぁ…」

右手を顔のとこまで持ってきて、人差し指で頬を掻いて、左手でライブからそのまま背負ってきていたギターの柄を握って、ソイツは答えた。

「キミに比べたら、このくらいどうってことないや!って、思ってたから、かな…?」

予想外の返答に目が丸くなった。

背後で、カイトさんがふっと笑った気配がした。

その証拠に、もやし野郎が戸惑ったような顔になる。「なんか変なこと言いました?」って顔。

「よし、決定だな。」

カイトさんが口を開いた。

俺の肩に手が置かれて、見上げるとカイトさんは晴れやかな笑顔だった。

(相変わらずカッケェなぁ…)

っじゃなくて!

「お前ら、バンド組んでみたら?」


カイトさんのその言葉で、俺たち2人はグループを組んだ。

まぁ俺にとっては初めてのバンド活動だったから、「パートナーってこんなもんか」って感じだったけど、コイツからしたら、そんなこともないみたいで。

「やっぱりすごいなぁ…、イメージ通りだ!」

俺がコイツの考えたフレーズを一つ一つ口ずさむ度にコレだ。

まぁこんなセリフ、誰にでも使えるお世辞みたいなもんだろ。

「なぁ、お前どうせ今までの奴らにもそういうこと言ってたんだろ?ちょっと鬱陶しい。」

「そ、そう?ごめん。」

一瞬だけしょんぼりしたと思ったら、次の瞬間にはまた目がキラキラしてる。それが鬱陶しいんだって言いたかったんだけど…

「でも、こんなこと言ったのはキミが初めてだよ!ホントに!」

「そうなの?」

「うん!いつもいつも、ここで僕が話し始めると、みんな怒っちゃって…。僕はただ、もうちょっとこうしてほしい、って言いたいだけなんだけどね…。」

そういえばコイツ、壊滅的に語彙力ねぇんだっけ…。

ちょっと気になって聞いてみる。

「ちなみに、どんなこと言った?」

「えーっとね…」

少し考え込んでから、首を傾げたままソイツは言った。

「もっと上手に歌ってほしいです!…とか?」

っとに、コイツってやつは…。

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