黒と白

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

2人で歌うこと・その4

バチンッ!ガチャガチャ!ガタンッ!

「っ!?」

急に馬鹿みたいに嫌な音がして飛び起きる。音がしているのはキッチンの方だった。思いっきり布団を剥いで向かうと、そこにいたのは親父だった。

その右手には、黒い煙を上げるフライパン。そして親父の奥にあるレンジからも、同じく黒い煙と、火花が散っていた。

「…何してんの?」

「いやぁ…、朝メシ、作ろうと思ったんだけどよぉ…。……、食うか?」

「いや、絶対食わねぇ。」

「だよなぁ…」

ここまで眉の下がった情けない親父の顔、結構久々に見た気がする。うん。半分は俺がとどめ刺しちゃったかもだけど。

「っていうか、なんで親父が料理なんかしてんだ?」

「いやぁ、起こしちまったら申し訳ねぇなぁと思ってよ…」

「ふーん。親父が俺より先に起きてんのって珍しいな?」

「そりゃぁお前、もう昼んなるからなぁ!俺ぁいつも10時は起きるようにできt…」

「昼ーっ?!待て、今何時だよ!」

「だから、昼の12時だy…」

「12時?!さっき朝メシって言ったろーがっ!ライブは?!なんで起こさなかったんだよっ!」

今日は俺と仲良くしてもらってるバンドグループがハウスを使わせてくれって9時から予約していた日だった。新曲発表するっていうから、絶対見るって約束してたのに!!

「あぁ〜、カイトさんに謝んなきゃ…。」

「あぁ、そういうことか!」

まさか親父、忘れていやがったな?!

あんだけ俺が楽しみにしてたのに…っ!!

「バンなら、午後からのライブになったぞ?」

「へっ?」

「お前がまだ寝てるって言ったら、じゃあ起きてからでいいってよぉ、カイトが。」

体から一気に力が抜けていくのが分かった。膝から崩れ落ちて、とまではいかなかったけど、思わず大きなため息をついてしまう。

「なんだよ、早く言えって……」

「わりぃわりぃ、こっちで手いっぱいでよぉ…」

そう言って親父は空いてる方の左手で頭をかいた。

そういえば、ここもどうにかしなきゃじゃねぇか…。ったく、慣れない事しやがって。

「…じゃあ、ここは俺がやっとくから。親父はカイトさんとスケジュール組んでくれば?」

「おう、悪りぃな…」

「別に。あ、バンの分も飯作っとくって言っといて」

「わかった。喜ぶぞ?あいつら、お前の飯大好きだもんなァ!」

親父はそう言ってやっとキッチンを出ていく。

あれでもライブハウスの管理責任者だってのに。まぁ、それがうちの売りではあるんだけど。


にしてもこれ、一体何作ろうとしたんだよ…。

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