黒と白

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

2人で歌うこと・その2

ふと顔を上げると、すっかり冷え込んで清々しいほどの夜空が目に飛び込んできた。

とてもセンチメンタルな俺の心を慰めてくれているんだろうか。

ここら辺は夜になると明かりがすっかりなくなって、小さな星までもが良く輝いて見えるのだ。

だから子供の頃から、嫌なことがあったりすると、いつもここにきていた。

そう。俺がまだ、いわゆる“ストリートチルドレン”だった頃から。

でも、親父に拾われてから、ここは親父との思い出の場所にもなっている。だから余計なんだろうか、虚無感がなかなか拭えないのは。

「へっくし!」

やば、冷えてきたな…。そろそろ帰んないと、親父に雷落とされっかな。あー、でも、アイツがまだいるって思うと、心が…ッ!

俺が葛藤しようとして、思いっきり三角座りの状態で力を入れた時。

「いたっ!」

って声がして、驚いて顔を上げた俺の目に飛び込んできたのは、今度は、汗が浮かび上がって肩を上下させて俺の前に立つ、あのもやし野郎だった。

「なんで、ここ知って…」

あっ、親父…、教えやがったな…?

っていうかコイツ、なんでこんなに疲れて…

「ごめんなさいッ!!」

「…、は?」

「酷いこと言ってごめん!キミに勘違いをさせてしまいましたっ!」

「な、なに、勘違いって?」

「その、僕、キミと歌うのが嫌なんじゃなくて、キミの歌も下手って言いたかったんじゃなくて、えっと、だから、その…」

「なんだよ、急に…」

「きっ、キミの歌は、すっごくいいと思いますッ!僕、キミの歌が大好きなんですッ!」

「は?え、ちょっ、どういう…?」

「だからその、僕なんかが一緒に歌っていいものかと思っちゃって…、だから、あんなこと言っちゃったんだけど、違うんです!

本当に、すいませんでした!」

千切れそうなくらいに振りかぶって頭を下げてきたソイツを見て、俺はただ瞬きをすることしかできなかった。


だって、涙が溢れてしまいそうだった。


そんな努力もむなしく、ソイツが恐る恐る顔を上げる頃には、もう俺の頬は涙でびしょ濡れだった。

「どっ、どうして泣いてるの⁈あぁあ〜っ、僕、またなんか酷いことした?ごめん!」

「別に…、ッ違う…」

「えっ?じゃあなんで泣いて…」

「……、ありがと。」

「…?」

「俺っ、歌ってて、良かった!…っ」

俺のその一言でソイツはますます混乱したようで、少しばかりオロオロした後に、俺の横で丸まって背中を撫で始めた。

俺は俺で、なんかそれも合わさってもっと涙がこみ上げてきてしまってまた泣いた。

あぁ、人前で泣くのなんて、いつぶりなんだろう…。

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