黒と白

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

モノクローム、誕生。

それから、ライブが終わったらすぐ声をかけに行こうと思っていた俺だったけど、いつも通りにファンの2、3人に囲まれてしまって、振り払うこともできずに仕方なく話していた。

途中でアイツを見失ってしまって焦ったけど、そんな必要はなかったことを数秒後の俺は知る。

やっと話終わって辺りを見回してみる。一瞬いなくて余計に焦って、逃がすまいと思って思いっきり後ろを振り返ると、ヤツはそこにいた。

そう。俺の真後ろ、すぐのところに。

「うわぁっ!?」

「あっご、ごめん…。驚かすつもりじゃなかったんだけど、ごめんね。」

そう言って申し訳なさそうに頭をかく、パッとしない、どっかダメ男のにおいを感じるソイツ。

でも、そんな印象は一瞬にして壊された。

「あ、あの…。僕の歌、歌ってもらえませんか!

お願いしますっ!!」

そう言って差し出してきたのは、何度も何度も書き直してぐしゃぐしゃになった、一冊の冊子だった。

まさかそっちから話を振られるとは思ってなかったっていうのと、曲作れるのかっていうので驚いたけど、もう周りにほとんど人はいなくなっていたから、その場ですぐに見せてもらった。

まだ楽譜読むのにあんまり慣れていないような時期だったから少し時間がかかったけど、それでもソイツは、口を挟むこともなく、ただ星を見る目で俺を見つめていた。

俺はしばらくしてからその目を見つめ返すと、一言言った。


「俺も、この曲歌いたい!」

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