黒と白

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

巷でウワサの

ここはとある繁華街の外れにある、小さなライブハウス。今日も、未来を夢見る音楽家の卵たちが、その夢を熱く歌っているところだった。


『ありがとうございましたぁーッ!』

ステージ上の男がそう叫ぶと、観客席から「ウォー!」と返事が返ってくる。まだ歓声などとは呼べず、拍手もまばらだったがそれでもその男は楽しそうに目を輝かせていた。

同じように目を輝かせたファンたちに手を大きく振ってステージから出てきた男を、少年が袖で迎える。気持ちよく冷えたペットボトルを差し出して、「お疲れ様っす!」と小さく呟いた少年の手からそれを受け取ると、男は満面の笑みで礼を言って控え室に戻っていった。

それに続けて、少年も裏に戻ろうとすると。

「ねぇねぇ聞いてよ!」

「なに?」

先ほどのライブの客の1組の会話が、少年の耳に飛び込んできた。

「このバンド知ってる?」

「なになに?

“モノクローム”?」

「そう!」

「んー?知らない。」

「やっぱ!?」

「なに?なんでそんなに嬉しそうなの…。」

「絶対おすすめだから聞いてほしいなって思って!」

「ふーん?どんなバンドなの?」

「んーっとね…」

話を聞いていると、少年がハッとしたように動き出した。

次のライブが始まるまでは少し時間があるので、会場にBGMをかけておかなければいけないのだ。

いつもはチョイスに迷う少年だったが、今日は迷いもせずCDを取ってきてプレイヤーにセットする。

そして少し満足そうな顔をして、スタートボタンに手を掛けた。

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