強くて新遊戯

赤狐@三國無双に溺死
@akakon_4x_yume

4.開発

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
キャラベルに登録してログインすると、登場人物の名前をお好きな名前に変更できます。

「お取り込み中失礼します。お飲み物をお持ちしました」

「え…?春桜殿?」


私は今現在、荀彧殿がいる部屋に飲み物を持ってきた真っ只中だ。

現在荀彧殿は軍議中。そこに口の滑りを良くするために飲み物を持ってくる私。

決まっている。得点稼ぎだ。

上司に出来る部下だと思われ地位を獲得し、安全で安心な場所で働きながら人生を過ごす設計の第一歩。

日本のブラック伝統文化をこの何処の時代設定か判らない中国に持ち込んだのだ。

勿論、私は部下(特に女性)が必ず上司にお茶を出す、所謂お茶汲み文化は断固拒否派だが、今はそんなことは言ってられない。これから快適に過ごすためだ。

案の定、議論が開かれている机には飲み物は無く、口の端が上がりそうになるを寸での所で抑える。

まだ笑うな。


「…荀彧殿、そちらの可愛らしい女性は?」


しめた。

荀彧殿は地位のある人。そこに集まって策を練る人達も勿論曹魏で地位のある人。

ここで荀彧殿が私を紹介してくれれば


「紹介します。先日私が推挙した春桜殿です」

「始めまして、春桜と申します。以後お見知りおきを」


有力なパイプがゲット出来ると言うことだ。

思い通りに荀彧殿が紹介してくれて心の笑いが止まらない。

まだ笑うなまだ笑うな…


「軍議中に失礼しました。口の滑りが悪くなると思って…ご迷惑でしたか?」

「いえ、構いません。お心遣い感謝します」


耳打ちするように申し訳程度に話すが、ここで怒るような人でもない。得点稼ぎのつもりだが勿論善意も含まれているので、そこは汲み取って欲しい。


「その方が文若殿の仰有っていた女性版諸葛亮と評していた方ですか?」


無精髭の男性が私に少しばかりの興味を持ったようだ。

文若殿、と荀彧殿を呼んでいると言うことは近しい人なのだろうか。

推挙を受けた後、荀彧殿にはこちらの名で呼ぶように言われた。字の文化は流石に生前に学ばなかったので今でもイマイチしっくりこないのだが。

その前に評価されすぎではないのか。まだ此処に来て何も功績を出していないのに。変な尾鰭が付かなければ良いが…。


少し不安になり他をチラリと見やると、じっと私を見つめる男性が一人。先程から反らされない視線をずっと感じてはいたのだが、彼だったか。

目が合うと柔和な笑みで手を振られた。


もうひとつ、彼が諸葛亮、と口にしてからキラキラした目で見てくる背の高い男性が一人。

ほーん、と感嘆を漏らす頭に布を巻いた男性。周りとは年齢が一回り程上のようだ。


「はい。風の噂で聞いて是非にと思いまして」

「因みにその荀彧殿の判断材料は?」

「山奥にある農村なのに暮らしの豊かさ、については都とほぼ変わらない、と伺いました。住まう家も丈夫で大雨や嵐にも耐えうる強度、衣食住が整っているようです」


土と粘土で作られた家の壁には初めて見たときは驚いたが、無理もない、建築技術や製造法が発達していないのだから。

木は山に大量にあるのだから使えば良いじゃない方法で村の人にも手伝ってもらい、必要な分だけ木を切り倒し、より質の良い粘土等で自宅や村の家を補強したのだ。


「彼女が暮らしていた村の周りには獣が寄り付いていませんでした」


それは勿論対策をしたからだ。電気は無いようなので子供でも簡単に折れてしまいそうな柵ではなく、倒れないような設計を。丈夫な竹や弓弦で作った罠や獣が住処にしないよう跡を消したり、と。

何事もそうだが物事一丸となって動けばどうと言うことはない。

現代とは違い、野山に食べ物が豊かにあるので、こちらが何か危害を加えず尚且つ対策をすれば農作被害にあうことはない。


「山賊も寄り付かない。なんでも、村の方に訊ねたら痛い思いをしたからあの村には寄り付かない、と山賊が漏らしたとか」

「え」


しまった。つい声が漏れた。

急いで口を閉じたが絶対にバレているだろう。その証拠に先程手を振ってきた男性がよりニコニコしながらこちらを見てる。し、急いで反らしたが少しだけ荀彧殿と目があった。


山賊については罠でも懲らしめたし、厄介な奴は奴等も寝静まる明け方早朝にかけて襲撃した記憶がある。

酒が入り全員が酩酊状態になっているのを確認してから賊の頭領を人質にして脅しをかけたのだ。

下準備としては根城を探しだし、稼ぎに全員が出掛けた所で侵入し保管してある酒により度数の高いものを混ぜておいただけ。

酒に関しては山賊に困っていると村人から聞いたので村の人々に良いものが調達できるよう少しばかり協力してもらったのだ。

酔っていたからほとんど何も力を加えずとも捩じ伏せられた。軍隊の経験がここで活きるのか、と溜め息を吐いたが。


しかし…よっぽど恐ろしかったのかな。


「ふふっ」


青ざめていたら先程からニコニコしていた男性が声を漏らした。


「荀彧殿の推挙に間違いはないと思っていたけど…成る程、貴女は可愛いのに博識なんだね」

「いえ、村の…自分の暮らしが快適になるのであれば、その程度の知恵は幾らでも絞り出せるでしょう」


さらっと軟派な事を言ったな、この人。絶対口には出来ないけど。


「へぇ。なら、貴女の知識を少し分けてくれないかな」


来た。

初仕事か?明らかに試すような口振だが。


「んー、この子に頼むような事、何かあったかねぇ?」

「この辺りは大量に農作被害に合うんだ」

「郭嘉殿、それは…」

「蝗、でしょうか…?」

「うん、その通り」


聞いた事がある。中国ではイナゴの農作被害が起こるとか。それは景色一面イナゴに侵食され、辺り一面の草木が甚大な被害にあう、とか。


「さすがにそれは無理でしょう。幾らの年月を重ねてもそれだけはどうにもならなかったのです。いきなり難しい問題を彼女に押し付ないで頂けませんか」

「ふふっ、すまないね」


農薬がないこの時代に害虫対策をどうするか、なのだが。


「あの…」


効くかどうかは判らないが、物は試しだ。提案してみようか。





開発


「凄いですね…。さすがに時が無かったので全ての農村に配給出来なかったので被害はありましたが…ここまで被害が抑えられるとは」

「いえ…こちらも材料が足りず、最大限の効果が発揮出来なかったので」


被害報告の書簡に目を通す荀彧殿はどこか嬉しそうで、こちらも嬉しい。上司に自分の功績を喜んで貰えるのは嬉しいのか。

生前なんて、出来て当たり前、として報告書は流されたものだ。


「いえ、こちらこそ郭嘉殿のいきなりの難題に応えて頂きありがとうございました」


郭嘉と言うのか、あの人は。


「しかし、このような知識はどこから得たのですか。何処かの学舎で学んでいた…ようでは無さそうですが」


荀彧殿申し訳ございません。それは私の知識ではないのです。


某アイドル村ありがとう。