Dear...to Heart...

ゆーきち
@00__yu_ki__00

腹はくくった

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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興奮で寝れないと思っていたが、思った以上に疲労していたらしい。直前まで気絶していたにも関わらずスヤスヤと睡眠を取って目を覚ましたまいは、1人で冷静になり気付いた事がある。

いつも通りと思っていた部屋着のサイズが若干大きい。腕を見ると少し肉付きが良くなった気がしないでもない。

更に、昨晩のシャンクスの言葉。聞きながら違和感は感じていた。

見る限り、ワンピースのキャラクター達はやはりアジア系の顔つきではないようだ。シャンクスはどこぞのハリウッド俳優ばりのイケメンだった。他のキャラクターは見ていないが、おおよその予想はつく。

まいは普通に日本人。日本人は比較的若く見えるというのはよく聞く話。だが。


「シャンクスの言い方、あんまりにも幼い子供扱い過ぎないか…??」


---子供は心配せずに大人に任せておけば良い。


いくら日本人が若く見えるからと言って、今年で24歳にもなる自分をそこまで子供扱いするだろうか?どんだけ子供っぽいんだ私はと、地味にダメージを受けながら呟く。


「それに、ここがワンピースの世界だったとして、今はいつ頃なんだろう…シャンクス、かなり若く見えたな…」


確か新世界編に入ったワンピースでシャンクスは2歳年をとった事になるので39歳だったはず。

だが、昨日見たシャンクスはとてもじゃないが39歳には見えず、そうだとしたらどんな美容法があるんだと問い詰めたいくらいに若く見えた。


「だとしたら、まだ本編が始まる前の時期…?ここは新世界ではないのかな…」


時系列から整理しないとパンクしてしまいそうだ。ひとまずシャンクスに会えたら私がいくつに見えるのかと、ここがどこなのかと、おいくつですかを聞かねばと頭の中でチェックリストを作りつつシャンクスを探しに出ようと昨日に引き続き扉に手をかけた。


---ガチャ


「…!わぁ…!」


ぶわりと潮の香りが鼻腔を刺激する。扉を開けた先は船の1番後ろのようで、どんどん遠退く一面の空と水平線が非現実を体感させてくれて、不安だった気持ちが少し晴れたような気がした。

手すりに近寄り大きく息を吸う。普段では感じることの無い感覚に胸が踊り、すぐにでも誰かとこの気持ちを共有したい。

そう感じてパッと顔を横に向けた先に見つけた人物に、まいは全身を硬直させた。


「よぉ、お目覚めかお嬢ちゃん。危ねぇからそこから身を乗り出すなよ。」


(ベン・ベックマンだ…!!!!)


知っているワンピースキャラクター2人目の登場に心踊るはずだったが予想以上に強面のベックマンに硬直するまい。

ベックマンがタバコを一度大きく吸って吐き出し、のそりと前へ踏み出すと条件反射のように後退るまいを見て、ベックマンは困ったように頭をかいた。


「あー…まぁ、なんだ。こんな顔してっから怖いだろうが安心しろ。どうこうするつもりはねぇ。俺はベン・ベックマン。好きに呼ぶと良い。お前は?」


「あ、えっと、まい、です。えっと、怖がってごめんなさい。びっくりしちゃって。」


「ほう。しっかりしてるな、まい。船長を探してるんだろう?今は甲板だ。一緒に上がるか?」


「あっ!はい!よろしくお願いします!」


顔に似合わない優しげな雰囲気を感じ、踵を返したベックマンに小走りで付いていく。

甲板に上がる間も、通りがった人達が「よぉ、お嬢ちゃん!元気そうじゃねぇか!」と口々に声を掛けてくれる。私はいつ全員周知の人物になったんだろうと思いながら狼狽えていると、その度にベックマンが間に入って返事を返してくれた。想像以上に優しく面倒見の良いベックマンに置いていかれないように割と頑張って付いていった。

階段を抜けた先に出た甲板で探していた人物のシルエットを見つける。


「シャンクスさん!」


「ん?おお!まい!ベン!おはよう。」


「おおー!お嬢ちゃん!元気そうで何よりだー!」



(ラッキー・ルゥだ…!ヤソップもいる!)


そこには4人ほどのクルーと共に新聞を広げるシャンクスの姿。

新聞を閉じ、まいに向き直ったシャンクスはその場にいるクルーを1人ずつ紹介し、それぞれのクルーも一言ずつ言葉を返して行く。

突然現れたまいを疑ってかかっても良いものだと思うが、今のところ誰からもそうした視線を感じない。四皇の一味だけあって直感が働くとかそういうのなのかなと思いながらまいも一人一人に言葉を返せるだけ返して行く。


「いやぁ、お頭が女の子を抱いてきた時ぁついに血迷ったかと思ったが、勘違いで安心したぜぇ」


「?どういう意味で……意味?」


敬語が慣れないからと指摘を受けたまいは言葉遣いを探りながら呟いたヤソップに疑問を投げかける。


「そりゃおめぇ、女を船に乗せるなんざ目的は大抵1つだろう。だが連れて来たのがお嬢ちゃんじゃぁ、俺ぁまさかのお頭ロリコン宣言かと思っちまったぜ!」


オイ、やめろヤソップ!と声を上げたシャンクスと軽く流すヤソップの掛け合いを聞き、まいは再び自分の身体に視線を戻す。

やはり気のせいじゃない。服のサイズが変わった身体、胸の大きさもどう考えておかしいのだ。(ここで漸くブラをしてない事に気付いたが、この際どうでも良い。)


「…ねぇ、シャンクス。私、いくつに見えてるのかな?」


「ん?お前、自分の歳を覚えてねぇのか?」


「そういうわけじゃないんだけど…教えて!いくつくらいに見える?」


そう問うとシャンクスをはじめヤソップとルゥはあごに手を当ててまいを改めてみる。今まで興味なさげに会話に参加していなかったベックマンも視線をまいに向けた。


「んー、正確に分かるわけじゃあねぇからなぁ。せいぜい13、14ぐれぇだと俺は思ったぞ。」


うんうんと他のクルー達も同意する。

まいはその言葉を聞いて、確信した。


(なんでか知らないけど、肉体年齢が下がってるんだ。しかも、10歳も。)


昨晩からずっと考えていた。この世界に自分が放り込まれている意味。突然名も無き島に現れた自分。悪魔の実の能力と思われる力。心なしかいつもより軽い身体。そして下がった肉体年齢。何かに用意されたかのように感じるには十分すぎる気がする。

この世界に来た意味があるのか、いつ戻るのかは分からないが、一晩寝て目覚めても自分はこの世界にいた。つねっても噛み付いても目が覚めないのだから、もはや夢などでもないのだろう。兎にも角にもこれからこの世界で生きて行くならば、全てを自分の身のうちだけに抱えるには大きすぎるし、きっと抱えきれないだろう。

まずは、知らなければ。自分の事と、世界の事を。その為に、協力者をつくらなければ。


「…シャンクス。」


「…どうした?」


見るからに真剣な表情を取ったまいに、大口を開け笑っていたシャンクスも視線で応えた。



「みんなも一緒でいい。私があの島にいたまでの事、シャンクスに話しておきたいの。」




2018.10 腹はくくった 終