TDD会議

φ(..dormir)
@hyp185_tdd

議題1『サマ様の泣き顔が見たい』

第1回TDD会議

『サマ様の泣き顔が見たい」

議題が議題なので、本人抜きで会議を始めます


「あの人が泣くとか無理だろ」

だからこの会議は意味をなさないと一郎がぼやく

「えーでも、サマトキの泣き顔見たくなーい?」

「そもそも、この議題に問題があるように思えるのだが」

前向きなのは乱数だけなので、乱数を中心に会議を進めることになった。

「じゃあ、各々が泣くときを列挙しよう」

「そうだなぁ、最近だとこの間買った新作のラノベ読んだときか、その前だと…あ、◯◯の9話はマジで泣いた」

「一郎くん、そういうことじゃないと思うけど」

「一郎らしいけどねー、寂雷は?」

「そうだね、動物モノとかかな」

「うっわぁ選択が年寄りくさぁい」

「…そう言う乱数君はどうなんだい?」

「僕はーお姉さんと映画見に行ったときかな」

「感動モノだったのか?」

「そうだよー、お姉さんがうるうるってきてたから、僕も貰い泣きしちゃった」

「……これでは話が進まなさそうだね」

「えー?じゃあ、手っ取り早くサマトキを泣かせるための方法を考えようよ」

「だからそれが難しいんだって、あの人どんだけ殴られようが怪我しようが泣かねぇし、感動モノも興味持たねぇし…」

「ねぇ、セックスのときはどうなの?」

「はあ?」

「成程、確かに性行為の際に感情の高揚で無意識に涙を流す、というのは別にあり得ないことではない」

「いやいやいや、寂雷さんまで何言ってるんすか」

「だって、一郎が上なんでしょ?どうなの?サマトキのこと泣かせてないの?」

「…いやまぁ確かに少し喘いでくれることはあるけどよ」

「君こそ何を言っているのかな」

「ってことはセックスのときもダメかー」

「我々では無理そうだね、ここは一郎くんに任せて会議は終わりにしてはどうだろう」

「さんせー」

「マジかよ、いや絶対無理だって」



「お前なんか今日おかしくないか?」

一郎は躍起になってサマトキを泣かそうと試行錯誤しているのだが、全て無駄に終わっている。

もう本人に言って泣いてもらうのが一番なんじゃないか、と思うが

…俺が泣かされそうだよな。

「なんでもないっすよ」

こうなったら最後のかけ、最終手段だ。

「あの…サマトキさん、カレー作りたいんですけど手伝ってくれません?」

題して『玉ねぎ大作戦』

最後に頼るべきは王道だと一郎の勘が言っていた。

「…カレーね」

「食べたいなーって、無理なら俺一人で作りますけど、俺、サマトキさんの作るカレー好きなんですよね」

ダメかな…諦めよう、王道は時に死ぬ。と思ったときだった。

「やることねーし、手伝ってやるよ」

「本当に?よっしゃー!」

玉ねぎ云々は置いておいて、サマトキと一緒に料理をするのは嬉しい。

「おら、貸せ」

だが…。

流石、出来る男、オレ様サマトキ様である。

華麗な包丁さばきに、玉ねぎに苦戦する素振りすらみせない。

「ヤバい、うっわー染みるこれ」

対して一郎はボロカスで、包丁をいれた瞬間に涙の嵐。もう手先が見えない程にボロボロ。

「お前、どんだけ泣いてんだよ」

「うっせー、好きで泣いてないんだよ」

笑いながらサマトキに指摘され、さすがに水道で手と目を洗う。それでもまだ痛い。

「お前擦ったろ?真っ赤」

「あんたみたいに器用じゃなくて悪かったな」

なんかずっと笑われていて複雑な気持ちになりながらサマトキを睨む…が

「ん?どうした?」

「え…あ、いや、涙……。」

サマトキの目に入ってきた涙が浮かんでいて、何が起こっているのか分からなくなってしまった。

「ん?ああ、お前が笑わすからだろ」

さぞ当然かのようにそう言われ、サマトキも心が通った人なんだと実感した。