夏の終わり

大学生編

夏の終わり〜大学生編〜


「波瑠はさー、夏休みどこか行ったの?」

集中講義の後、同じクラスの友那乃がスマホをいじりながら言ってきた。送信先は多分、彼氏の圭人くん。

「どこも行ってないよ。今年は宇宙いないしね」

「え、どこも行かなかったの?」

「うん。友那乃は?」

「圭人くんと旅行行ってきたよー」

「へー」

彼氏と旅行に行ったことを自慢したいだけなのかな。そう思いながら波瑠は生返事を返す。

「もっとないの?ほら、どこ行ったとか?」

ほら、やっぱり。自慢したいだけじゃん。本当はそこも口に出しても良かったけど、友那乃との関係が悪くなるのも嫌だったからそれに関しては何も言わなかった。

「どこ行ったの?」

「聞きたいー?」

「うん」

友那乃が嬉しそうに聞いてくる。この子、彼氏ができる前とできた後でかなりキャラが変わったな、と思う。

女友達ってこれだから面倒くさい。

そう思いながら波瑠は窓の外を見た。友那乃の自慢話はほとんど耳に入ってこなかった。

「波瑠もどこか行きなよー」という友那乃の声が教室に響く。



「友那乃ちゃん、可愛いじゃん」

「どこが」

その日の夜、時間ができたからと電話をかけてきた宇宙に今日のことを話したらかなり笑われた。

高校生の時から思ってたけど相変わらずミーハーだ。

「そうやって彼氏のことを友達に自慢してくれるところとか。俺好きだな」

「いちいちそういうこと自慢する子が良かったの?」

「そうそう。どっかの誰かと大違い」

宇宙のいう“どっかの誰か”が自分のことだというのは波瑠にもすぐに分かった。

「自慢しないタイプでごめんなさいね」

波瑠が吐き捨てるように言う。すると、宇宙が慌てた声でさっきの言葉を訂正するように言った。

「ごめん。やっぱり2人だけの秘密にしてくれる方が助かります」

「それは言い過ぎ」

「じゃあ、なんて言えばいい?」

「流れに身を任す、かな」

SNSに写真を載せたり、友達に惚気話をしたりするのはあまり好きじゃないしやらない。この1年は一緒に出かけることだってできない。

でも、こうやって電話越しに話したり喧嘩したりするのも悪くない。

それが1番私達らしい夏の過ごし方だと思うから。

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昔が懐かしくなったりその頃に戻りたいなって思ったりすることって多分誰でも...