ハンチング帽と麦わら帽

いもけんぴ
@imokenpi0821

第四章

「賢治君、この前どうしたんですか?泣いましたけど……。」

この前公園で乱歩さんと会う前、賢治君が泣いていたことを思い出し、聞いてみた。

「……別に何ともないですよ?」

賢治君はいつもの笑顔で謂う。でも、何か嘘をついている気がする。そのとき、

「敦、そうやって何でも聞こうとする奴は嫌われるぞ。」

「ひゃあっ!?」

いきなり耳元で国木田さんが囁いた。

「敦、仕事だ。また近所で殺人事件が起きた。谷崎、一緒に行け。」

「お兄様が行く所にはナオミが付いて行きますわ~!」

ナオミさんが谷崎さんに抱きつく。

「ナオミ今日寝不足じゃないのか?だから此処に……」

「そんな事云えばお兄様だって寝不足ですのよ?だって昨夜はナオミと……」

「昨夜のことは秘密だって……あっ……。」

いつも通りの谷崎兄弟……。

「速く現場に行けー!!!」

うわぁぁ……国木田さんに探偵社から放り出された。

「敦君、賢治君のこと聞いてたよね。」

谷崎さんは歩きながら謂う。

「はい。この間、太宰さんと仕事に行ったとき泣きながら走って行く賢治君を見つけて、どうしたのかなぁって。」

「実は、前に賢治君が医務室で与謝野先生に相談しているのを聞いちゃって……」

「何その話?ナオミそんな話聞いてない!お兄様、隠し事するなんて非道い!」

ナオミさんは非道いと謂いつつ、谷崎さんに抱きつく。

「まぁ……今から謂うから許してよ、ナオミ。」

「その代わり今夜も眠らせませんわよ?」

ナオミさんは谷崎さんのTシャツを捲りあげ腹を撫でる。

「ナオミっ、此処ではやめてっ。」

顔を真っ赤にする谷崎さん。

「あの……で、賢治君が泣いていた理由は……?」

「あ、そうだった。えーっと、僕が聞いちゃったのは……」

谷崎さんの話をまとめると、賢治君は乱歩さんのことを好きで与謝野先生に相談。それが乱歩さんにバレてしまい、泣きながら何処かへ走って行ったようだ。

「多分、そこで敦君は賢治君に会ったんじゃないかなぁ。」

「そんなことが……。」

賢治君は乱歩さんが好き……?整理が出来ない。

「此処では同性愛とか割と普通だよ?例えば国木田さんが……あっ。」

「お兄様?国木田さんがどうしたのですか?それも聞いてないですわよ。」

谷崎さんは首を横に振りながら、

「絶対此処では話せない。」

「あら、ではナオミと今晩から一週間毎日一緒に……」

「その先は駄目っ!」

谷崎さんはナオミさんの口を塞ぐ。

「まぁ今度聞かせて貰いますからね?」

そんなこんなで僕等は現場に向かう。