呼吸(全27話)

ゆき@A5158
@y01_k25

そして彼女は、

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-7年前


壁と床の冷たさに慣れたのは何時からか


逃げ出したいと願ってたのは何時だっけ


ただただ、時間が流れるのを待つだけ


コトンッ


「ご飯持ってきたよ」


猫が通れるくらいの穴から


食事が運ばれてきた


食べたくない、食べる気がしない


『いらない』


「お腹空くよ」


『空かない』


「…じゃあコレあげる」


置かれたのは包まれた飴玉


『いらない』


食事を運んでくるのは正樹という


私より歳が幾つか上の男


最近、やたらと話しかけてきて鬱陶しい


「おい!何チンタラしてるんだ!」


「はっはい!今行きます!」


アイツらに呼ばれて正樹はいなくなった


飴玉を置いて


…私と違ってただの人間


異能力を使えない、ただの人間


何でここにいるのか分からない


何で私に話しかけてくるのか分からない


こんな、人殺しの為に生かされてる私に




+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+




痛い、血の味がする


頬が腫れてる気がする


そりゃそうだ


殴られたから


異能力がうまく使えなかった


いっそ、殺してくれればいいのに


「千彩」


『………』


また来た


「千彩、聞いてくれ」


俺と一緒に、ここから逃げよう


『…馬鹿じゃないの』


ここから逃げる?


本当に馬鹿


できるわけない


「コレ、複製したんだ」


持っているのは牢の鍵だった


『1人で逃げればいい』


「ダメだ!」


急に声を荒げたから驚いた


視線を初めて、正樹に向けた


「ずっと、ずっと怯えてた」


親を殺されて、雑用の為だけに連れて来られて


失敗すれば殴られたり蹴られたり、すごく痛かった


殴られないように蹴られないように怯えてた


でも、俺より年下の千彩が連れて来られて


しかも女の子なのに戦わされたりしてるのを見て


情けなくなったんだ、俺よりも辛い思いをしてるのに


千彩は泣かないし、何も言わないし


そんな時、見つけたんだ、逃げ道を…だからって


俺だけ逃げちゃダメなんだって、千彩も一緒に


救い出してあげなきゃいけないんだって


「だから、俺と一緒に「何してんだ、ああ?」


何時の間にか、アイツらが来ていた


下品な笑い声が響き渡る


「う…うわああああ!」


正樹が殴りかかった、けど


それも虚しく殴り返された


「おい、ソイツ捨てて来い」


「いいのか?」


「役立たずだ、どうせ野垂れ死ぬ、それに」


逃げ出したいつってたしな?


正樹は男たちに連れて行かれた


「さて、お前にはお仕置きが必要だな」


牢が開き、髪を引っ張られ


床に投げ飛ばされた、そして


グサッ


『っ!』


声にならない痛みが足に走る


見たくない、でも見えてしまった


足に、短刀ナイフが刺さってる


抜こうと手を伸ばすけど


届かない、伸ばそうとすると痛みが増す


「おっとすまねぇ、落としちまったか」


男が短刀ナイフを思い切り抜いた


男はそのまま笑いながら出て行った


痛くて痛くて仕方がない


でも、どうしようもない


…ああ、そっか


痛いと思うからいけないんだ


何も思わなきゃいいんだ


どうせ、ここから、逃げれないなら











(そして彼女は)(感情を捨てた)