恋する動詞111題・021~030

みもち(創作アカ)
@mimochi_sousaku

027. 奪う:柳蓮二

「すっごく面白かったよ!」


瞳を輝かせて君が絶賛するのは、君が好きな小説を原作にした映画のこと。

試写会が当たったと、最初に俺が誘われたのだが、生憎その日は都合がつかず、結局友人に声を掛けて行って来たという。


「彼女も好きな作家さんでね、観終わった後も盛り上がっちゃった」


映画の話もさることながら、なにかにつけて登場するその“友達”。

君の一番の親友であり、俺に対するものとは違う意味での大切な存在であることは、重々承知の上ではあるが。


「私はその本しか知らなかったけど、今度オススメを貸してくれるって言ってたから、楽しみなの」


君の興味が、俺以外のものや人物に奪われているのを目の当たりにするのは、正直、面白くなくて。


「それでね、今度の日よ…」


だから、楽しげに語る君のその口を、とにかく、塞いでしまいたくなった。


「………びっくりした」

それ程長くはないくちづけの後で、君が小さく呟く。

「それで? 今度の日曜がどうした?」

「え…あ、そうだ、えっと…」

言いさした君の表情に、一瞬だけ思案が走る。

「どうした?」

「…日曜に、彼女の家に遊びに行こうかなって思ったけど、やっぱり別の日にする」


だから、日曜は一緒にいよう?


そう言って、俺だけを見て、君が笑った。