ちょいテスト

心鏡の湖
@Lake_kokoro

「テストオオオオオオ」

「えっ!?」

いきなり突進してきた巨漢を素早く回避した。私には何が起こっているのか分からない。

「ぬぬ……」

その巨漢は振り向いて睨みを効かせている。そんな、私は何もしていないんですけど。

「うっす」

「え、うっす」

とりあえず挨拶を返した。さっきまでの表情とは打って変わって穏やかにしているではないか。

「最近の調子はどうだい」

巨漢はその顔に似合わない声で質問を突きつけてきた。これは素直に答えたほうがいいのかもしれない。早くこの場から立ち去らないとまずい。

「最近は調子が悪くて。台風が多いわ、朝は寒いわで、体調を崩しやすいと思いますよ」

「そうかそうか」

しっかりと相づちをしてくれるので、どうやら悪い人ではなさそうだ。いや、上半身裸では無条件でアウトでしょ。

「あの……服はどうしたんですか」

一応聞いてみた。返答次第では通報もあり得る。

「テ、テス」

「テス?」

「テストオオオオ」

「きゃああああっっ!?」

巨漢は私の腕を思いっきり掴んできた。凄まじい腕力で骨が折れそうな勢いだ。

「たすけて!」

「ここには誰も来ない」

「そ、そんな……」

「ウェブ拍手が無かった。誰も来ない」

「ブログのネタ使うのやめいや」


ガサッ

「誰だ!!」

草むらから跳ねるようにまたもや不審人物が姿を表した。

「フッ……子猫ちゃんを離しな」

「は?」

「は?」

巨漢も私もポカンと口を開けてしまった。あっ、そういうタイプか。

ガッッ!

「あ゛あああああああっっ!!」

巨漢は空気を読んで私の腕を強く掴んだ。あとで医者にいかないとまずいと思った。

「やめろ! 許さん! しばくぞ!」

貧弱なボキャブラリーと弱気な声を駆使して、不審人物は反撃している。巨漢はまったく動じず、私の髪を触る余裕を見せている。……というか触るな。

「た、助けてー」

私もそれらしいセリフを言った。

「仕方ない。俺は足元を攻撃する!」

攻撃方法言うなし。

不審人物は宣言通り足元を攻撃しようとしたが、巨漢の猛烈な蹴りを食らってしまった。

「い、痛いじゃないか! もっとこう、なんか、あれ。軽く足を狙ってくれ!」

だから報告やめいや。

「なんかあいつ弱いな」

「う、うん」

巨漢が私に話しかけてきた。私もどうしたらいいのか分からなくなってきた。

「この後どうすればいいんですか?」

「え? そうね、私をもっと締めてちょうだい。お腹の辺りでいいから」

なんで私がアドバイスしてるんだか。

「ごふっ!!?」

巨漢は私のお腹をぎゅっと締め付けてきた。このままでは昼飯がリバースするかもしれない。


「そこの腑抜け男!」

「なんだ巨漢野郎!」

なんか茶番が始まったぞ。

「昼の弁当うまかったぞ!」

「けっ……ありがとよ」

舞台裏の話をするな!

「それと!」

「おう!」

「ケチャップ王国書けよ!」

「作者に言えよ!」

ホントだよおおおおおおお!!

「俺からも巨漢にひとつ!」

「なんだ!」

「最後に突進攻撃を行う! お前は食らってくれ!!」

……は?

「分かった!」

えっ? ちょっとそれはヤバイんですけど。

「いくぞおおおおおおお」

「よし、こいいいいいいいい!」

「や、やめてえええええええええええ」


こうして、私は猛烈な突進攻撃をくらって何かをぶちまけた。不審人物はもろに浴び、第2波で巨漢にも耐えきれずにかけてしまった。


テストでよかったよかった。

……よくねーよ!!