魔導姫戦記 外典 ドラゴンハンター

ウロボロス団
@ouroboros_dan

出来レース

「……

やっぱり、そっちもか。

俺も今から合流する。

1人で潜入しちゃダメだぜ?」

アッシュは伝話鳥アルキュオネでの通信を終え、呟く。

「また会う事になりそうだな…シグルズさん・竜の嬢ちゃん…そして、シェイミー女史…!」










シグルズ達が塔に辿り着くと、入口は血の海だった。


シェイミー「…何?これ…」

シグルズ「先客がいるみてーだな。」

メリュジーヌ「…やはりここもフォシルの気配がする…」


そこへ、再びアッシュが現れた。

「また会ったな。」

シグルズ「おぅ、こりゃオメーの仕業か?」

アッシュ「いや…でも多分オレの仲間だ。

1人で潜入するなって言ったのに…

アンタらもまたフォシルを探すんだろ?

俺もついてくわ。

仲間もフォシルを追ってるはずだからな。」


かくして、再びアッシュを加えて塔に潜入する。

塔内には、先に潜入したであろう帝国魔導師ウィザードの手に掛かったと思われる衛兵の死体が、幾つも転がっていた。


「…どうして、単独でこんな事を…?」

アッシュが現れてから無言を貫いていたシェイミーが、口を開く。


アッシュ「…そう、国境の採掘場を制圧した戦力があれば、塔の稼働だって止められるかもしれないのにな…そう思っていた矢先、採掘場からフォシルが運び出された…」

メリュジーヌ「…なるほどな…」

シグルズ「そいつを追ってみたら、敵国の塔に着いちまったって訳か。」

シェイミー「⁉︎

それって…まさか…」

アッシュ「そう…帝国内の誰かが、フォシルを横流ししてたって事だ。」

シェイミー「そんな…!」










一方その頃…

祭壇に新たなフォシルを置く、国籍不明の兵士。

「お待たせしました。」

ヴァナヘイム騎士「待ちかねたぞ。

数の限られた魔導師達で魔力の需要を満たす為、寝る間も削らせていたのだからな。」


そこへ、帝国魔導師ウィザードが辿り着く。

「貴様ら…どうやってフォシルを持ち出した?

誰かが手引きしたのか?」

国籍不明兵「⁉︎

帝国魔導師ウィザード…つけられたか…

消さねばなるまい…!」










メリュジーヌ「…警備が手薄になった…」

シグルズ「…おい、お前の仲間、敵に見つかったんじゃねぇか?」

アッシュ「言わんこっちゃねぇ…!」

シェイミー「急ぎましょう!」




一行が祭壇の間の目前まで辿り着いた時、国籍不明の兵士達はその場を立ち去ろうとしていた。


国籍不明兵「とりあえず口は封じた。

後はこの国の国防の問題…我々は預かり知らん。

彼らが何とかすればいい。」

アッシュ「…口を封じたって…どういう事だよ?」

国籍不明兵「チッ…他にもいたか…」

アッシュ「おい、答えろ!」

国籍不明兵「メタモルフ化すれば、余計な事は喋らんという事だ。

そして、お前も黙らせねばならん。」


次の瞬間、兵達は素早く4人を取り囲み、全方位から正確に同時に斬りかかって来た。

すかさずシグルズが迎え撃つ。


アッシュ「バッ…飛び出すな!

いい的だぞ!」

シグルズ「囲まれたら穴ァ開けりゃいいんだよ!」


両手に小刀を持った兵は、一刀で攻撃を受けつつもう一刀での反撃を狙う。


「攻防一体ってか…けどなぁ…!」

シグルズの振るう大剣は、それを受け止めた剣ごと兵を叩き潰した。

次の瞬間、突如吹き荒れた強風で他の兵達は四方に吹き飛び、追撃するように火柱が円を描く。

火元には、巨大な竜へと姿を変えたメリュジーヌ…その周囲には、炭と化した兵の骸が散乱した。




祭壇の間への扉…

突然、1人の騎士と数名のヴァナヘイム兵が飛び出す。


騎士「お前達、何を一緒に逃げて来ている⁉︎」

兵士「し…しかし、我々の戦力では歯が…

騎士「いいからさっさとあのメタモルフを止めに行かんか!」

シグルズ「…貴族ってのはいいよな。

ただたまたまその家に生まれたってだけで、何の努力も才覚も無く騎士になって、そうやって自分で出来もしねー事を下のモンに命令すんだからよ。」

騎士「な…何だと、無礼な!

何者だ?貴様らも侵入者ならば排除する!」

シグルズ「ヘッ、急に威勢がいいな。

メタモルフよりゃ俺のが楽に勝てそうに見えたか?負け犬が。」

騎士「ナメるなあぁぁァァ‼︎」


シグルズは騎士達を瞬殺し、一行は祭壇の間へ…




シェイミー「…何て事…」

アッシュ「…ヴァラク…だから1人で入るなっつったのに…」

メリュジーヌ「あれが、汝の仲間だった者か?」

アッシュ「…今でも仲間さ…だからこそ、止める!」


4人は共闘し、祭壇の前でヴァナヘイム兵達を虐殺していたメタモルフを葬り去る。


アッシュ「…後は俺らに任せて、ゆっくり休みな…」




再びフォシルの祀られた祭壇…

メリュジーヌはその前に立ち、唱えた。

「…忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…

その戒めを今、解き放たん。」


するとフォシルは砕け散って光の粒子となり、巨大な陸亀の姿を象った。

「我はアガレス…

我が戒めを解き放てし眷族よ…

汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」


4人は協力してアガレスを打ち破る。


「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」

アガレスはそう言うと、砕け散って無数の光の粒子となり、メリュジーヌに吸収された。

かくしてメリュジーヌは地震魔法の力を得て、一行は塔を脱出する。




シェイミー「…あなた、これからどうするの?」

アッシュ「戻って、裏切り者が誰か、それとなく探ってみる。」

シグルズ 「気を付けろよ。

それが誰かわからねぇ内に迂闊に誰かに喋れば、お前が消されかねねぇぜ。」

「…あぁ、肝に命じておくよ。」

アッシュはそう答えると、召喚した巨大な猛禽を駆り、飛び去った。






続く…

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