【ルインウォーカー小話】フェムの過去

ルイン
@ruinwalker17

ふと思い出す『あの日』

【ルインウォーカー小話】

フェムの過去


「ん…?俺の過去について?」


そんなもの聞いてどうするんだと、思わず口からこぼれる。

過去にも色々あるのだろうが、この場合は須らく子供の頃の話だろう。


正直、面白い記憶というわけでもない。

語って聞かせても、不愉快になる人の方が多いかもしれない…。


「いやー…。ほら、居候させてもらってる私としては、家主の事は少し知っておきたいなぁって。なぁって」


目の前の若葉色のぴょんぴょん頭には遠慮とかそういうものはないらしい。


「面白い話でもないから、遠慮しておく。仕事しろ」

「えぇ……いやでもほら、今日休みだし、仕事はしなくていいでしょ」

「…お前、いつも休みじゃないか」


小さく溜息を吐き出し、書斎へ戻る。

――あぁ、でも…子供の頃か


ふと、物思いにふけることにした。




「坊ちゃま、坊ちゃま…っ、起きてください。もう朝ですよ」

「おはよう。今日は僕ももう起きてるよ」


当時は、俺も朝起きれないことが多くて家のメイドに起こしてもらうことが多かった。

俺についてくれていたメイドは有能で、家のメイド長というものを兼任していた。

よく気の利く壮齢の女性だ。


「坊ちゃま…起きているなら、早く朝食の席についてください。旦那様と奥様がお待ちです」

「ぇっ…あぁ…!?僕、今日は早めに起こしてくださいと、何度もお願いしていたのに!?」

「失礼ですが、何度も起こしましたからね?坊ちゃま」


この日は確か、俺の誕生日だったはずだ。

過去の事に思いをはせると思い出すのはこの日の事ばかりだ。

当然と言えば当然かもしれない。


…この日が、『僕』が『俺』になった日だから。


そして――


「あら、フェム。遅かったわね。ふふふ」

「まだ寝癖が付いているぞ?待っているから直してきなさい」


――両親の、命日なのだから。