雨に咲いた向日葵

ナッツ小豆@2周年過ぎてた
@NutsGomusic

王下七武海

――――――――――――時は流れ、7年後。


私はシャンクスたちの元を離れたあと、5年の一人旅を続け、2年前に海軍へ戻った。

行方不明になってから7年の歳月がたとうとしていたこともあり、私が生きていたというニュースは世界へと発信された。


私は、戻ってから自分の正義を貫くために走り続け、大佐という地位を手に入れた。


地位に縛られることもあるが、多少の自由は利くようになったことは利点の一つだ。


シャンクスたちとは、結局あれから一度も会っていない。

近くにいると言う情報は何度も耳にしたが、今はまだそのときではないと避けてきた。


「サイオンジ大佐!新しい手配書になります!!」


「ありがとう、そこらへんにおいておいてもらえる?」


「はい!!」


手配書を届けにきてくれた部下が部屋を出るのを確認して私は手配書を手に取った。


「・・・赤髪海賊団、か。ハハ、また賞金上がってるし。相変わらずすごいなぁ・・・」


”コンコン”


「!!どうぞ」


私は手配書をさっと隠した。


「ルイ、報告書だ」


「なんだ、スモーカー先輩か。びっくりした」


「なんだとはなんだ。報告書持ってきてやってんのに」


タバコをふかしながら話すこの男は私と同じ大佐のスモーカーだ。

私と同じ大佐の一人で、先輩でもある。


「ルイ」


「ん?」


「おめぇ、俺が追わなきゃならねぇような立場にはなるんじゃねーぞ。・・・ヒナのやつも心配していたぞ」


「!!・・はは、聞かれちゃってましたか。・・・はい、気をつけますよ。先輩しつこいし怖いですしね!」


「な、なに!?」


「それに・・・先輩のこともヒナ姉さんのことも、悲しませるつもりは、ありません。私は、私の正義に従って、動く、ただそれだけですよ。」


「行方不明の10年の間に何があったかはきかねぇ。だがな、」


「大丈夫。...大丈夫ですよ。私は、私の正義のために、ここへ戻ってきたんだから」


「・・・そうか。じゃあな。俺は報告書を届けにきただけだからいくぞ」


「はい、ありがとうございます」


パタンとしまる扉をどこか遠くを見るようにじっと見ていた。


(私の、正義・・・)


「報告書でも確認するか」


大佐ともなれば重要な仕事も増えるわけで。

書類の類もこなさなくてはならない。非常に面倒である。

内容はどうやら最近名を挙げてきている新世代(ルーキー)たちについてのようだ。

名声のために何の罪もない住民達を苦しめるもの、手当たり次第に悪事を働くのは彼らの特徴であり、若さゆえにやっかいである。

まぁそのうちの大半は調子に乗ってきているところをほかの大きな海賊につぶされるか海の藻屑となるかしてきえてゆくのだが。


「スペードの海賊団??・・・・・・!!!」


一人のルーキーに目が留まる。

そばかすがチャームポイントの青年。


「この子、どこかで・・・」


”ねぇ、ぼく、お姉さんと会ったことある?”


”あ?あんたなんか知らねーよ”


「そうか、あのときの・・・」


そのとき、いたずらっ子のように笑う、彼の顔が浮かんだ。


(ううん、違う。もっと前から・・・そう、あの時よりも前に・・・)


頭がもやもやする。絶対に知っているはずなのに、何か靄のようなものが邪魔をしてうまく思い出せない。


(でも・・・)


知っている姿は子供のときの鉄パイプを片手に戦う少年なのに、脳裏に浮かぶこの青年の顔は大きくなったあとの姿。あったこともないのに。


私の疑問は晴れないままだった。


















「大佐!!」


ある島へ要請があり向かっているときのことだった。


「どうかした?」


「緊急要請です!!この近くのファンタミルという島にてルーキーが暴れているとの情報が入りました!!」


「わかった。航路を変更!至急ファンタミルへ向かう!!」


「大佐、よろしいのですか?今日の要請は・・・」


「どうせ七武海のお使いでしょ。そんな用事、後回し後回し!」


大佐というのは役職があるわりに下っ端だからか、時々小間使いのようなことをさせられる。七武海というのは海軍に属する7人の海賊のことだ。海軍と手を組み協力することを条件に海軍は彼らをその一味を捕らえることができない。


「ですが、ドンキホーテファミリーですよ・・・」


「かまわない。私には困っている島の人たちの安全が大事だからね。何をしている!!至急向かえ!!」


「「「はい!!!!」」」







向かったファンタミルという島はすでに海賊たちの抗争によって戦場と化していた。


「海賊どもを一人残らずひっとらえろ!!けが人は安全なところへ案内し、手当てを急いで!!」


愛用している剣をすばやく鞘から抜き取り応戦をする。

あのときのような過ちを犯さないように周囲への注意も忘れない。





着々と敵の数が減ってきたところでけが人たちの様子を見に行く。


「様子はどう?」


「大佐!!怪我人の数は多いですが、幸い大事には至りません!」


「そう、よかった。」


「あ、あんた、もしかして・・・ルイちゃんじゃ、ねーか・・・?」


突然後ろから名前を呼ばれ、振り向くと、見覚えのない年配の男性がいた。


「あの失礼ですがあなたはいったい・・・?」


「おれだよ!!カルダだ!!あの時、8年前、この島に突然現れたあんたを海軍に送り届けたカルダだ!!よかった!本当に見つかったんだな!!行方不明になった時は本当に」


「ちょ、ちょちょちょっと待ってください!!この島に、突然現れたって・・・8年前に・・・?」


いったいどういうことなのか。この男性のいうとおりなのであれば、私は8年前にこの島へ来たことがあるということである。しかし私はこの島にきたことはない。ファンタミルなんて島、見たこともないし聞いたこともない。だが、海軍になる前、ちょうど8年前の記憶がないのも確かだ。


「カルダさんといいましたよね。お話、伺ってもいいですか?」


部下たちへ引き続きけが人への手当てと海賊討伐を命じ、私はカルダさんとともにカルダさんの家へと来ていた。


「さっきのお話ですが」


「ルイちゃん、本当に覚えてないのかい」


「・・・はい。ですが、私自身に8年前より前の記憶がないのも確かです。実は私は一度海賊にやられ、記憶喪失になったことがあるんです。8年前の記憶がないのもそのせいだと考えています。お願いです。何か知っているのなら教えてください」


「・・・ちょっとまってな」


カルダさんはそういうと奥へと入っていく。


「ほれ、これ、あんたの服だ。」


そういって渡された服は見たこともない形をしていた。

黒と白で統一されたそれはどこかの制服のようで、きっちりした形をしている。


「これが?」


「あぁ、おれがルイちゃんに初めてあった時に嬢ちゃんが着ていた服だ。」


記憶を巡らしてみるも全くもって思い出すことができない。


「・・・・・」


「やっぱ、思い出せねーか・・・ごめんな、手掛かりはこれしか・・・」


「あ、いえ!カルダさんがあやまることじゃないです!!もとはと言えば、海賊相手に油断した私が招いたことですから。」


「そういえば、あの子は見つかったのかい。あの―――――――――」


「・・・え?」














「・・い・・・・い!・・・・おい!聞いてんのかテメェ!!」


”ドガン”


「へ・・・」


刹那に自分の横を通り過ぎたのは、ほんの3秒前まで私の前にあった机だったもの。

もうすでに粉砕して原形をとどめていないが。


この男、ドンキホーテ・ドフラミンゴは怒りに任せあろうことか女の私に”当てる気で”机をけった。


(いつもは飄々としているクセに珍しい)


ファンタミルでカルダさんに会い、色々話を聞いた後、当初呼び出されていたこの男のもとへとやってきて今に至る。

呼び出したのにちっともこないと待ちぼうけを喰らわされたことがどうやら余程頭に来たらしい。


「あ、すいません。ぼーっとしていました。」


「ほう・・・いい度胸してんじゃねーか。3時間も待たせた上に上の空とは見上げた根性だ。なぁ?女海兵さんよ」


やつが指を動かせば自分の意思に関係なく体が動く。この男は悪魔の実の能力者。イトイトの実を食べた能力者だ。


「くっ・・・!!」


(だからこいつは嫌いなんだ!!)


この男の悪名は海軍に戻る前から嫌というほど耳にしてきた。

王下七武海という立場を利用して好き勝手なことをしている。その行動は、あまりに目に余る。

私の正義にも反する。


(いつか絶対にこいつの悪を裁いてやる・・・!!)


「フフフフフ!!どうだ、少しは謝る気になったか?」


「っ!!!・・・・っの!!!」


”ブチッ”


「!?」


このまま好きにされてたまるかと私はその糸を引きちぎった。


「ッはぁはぁ・・・」


「女ァ、お前今何をした」


「答える義理はありません。用が無いようならば帰らせていただきます。仕事がまだ残っておりますので。」


「待て。俺の質問に答えろ」


「言ったはずです。答える義理はないと。失礼します。」


刺し殺すような視線を背中に浴びつつ私はやつのもとを去った。


(やってしまった・・・)


奴の能力は人には見えない。奴のものに限らず、能力を出す本人にしか感じ取れないものは他にも多々ある。もちろん見えて触れるものもあるが、奴の場合は違う。

だが私はそれをあろうことか素手で引きちぎったのだ。いままでそんな経験などしたこともないだろう相手にそんなことをすれば結果は火を見るより明らかだ。


(面倒なことにならないいいけど・・・)


ただただ祈るばかりだ。





結果的に予想は悪い方に的中した。


「フフフフフ!そう邪険にするな、ルイ」


「~~~~!!」


愉快そうに長い手足を組みながら私の部屋に居座るのは王下七武海が一人、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。嫌な予感というものほど当たるとはよく言ったもので、この男は本当に私に興味を持ち、そしてストーカーのようにしつこく構うようになった。

まぁ、かまうといっても目的は以前に私がこいつの能力である見えない糸を引きちぎったその理由を探るためだが。


「王下七武海ともあろうお方がこんなところで油を売っていていいんですか?速やかにお帰り下さい。」


「いいじゃねーか少しくらい」


「・・・毎日のように現れてるのは誰だとお思いですか」


全くもって仕事の邪魔である。


「それよりオメェ何の悪魔の実を食べたんだ」


聞くことと言えば常にこの質問だ。


「何度もお伝えしているはずですが私は悪魔の実の能力者ではありません。」


「誰にも言いやしねーよ」


この通り一切信じてくれない。私だってなぜこいつの能力が目で見えるのかわからないのに。

まぁでもその事実を素直に伝える気はない。


「誰かいるか」


「お呼びでしょうかサイオンジ大佐」


「ドンキホーテ・ドフラミンゴ様がお帰りだ。お見送り差し上げろ」


「はっ!!」


「おいおい、おれは帰るなんて一言も言ってないぜ」


「いい加減業務に差し支えますのでお帰り下さい。」


そういうと独特な笑い方をしてしぶしぶ帰ってくれた。まったく海軍のお偉いさん方はなんであんな奴らを放置しておくのか・・・。


海軍における問題も山積みだと私は頭を抱えるのだった。

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