雨の止まない世界にて……

そーじゃの
@souzyano_note

第一話

ザアザアザア――――


雨水は嫌いだ。まるでどこかに流されてしまいそうな気分になる。


ザアザアザア――――


雨音は嫌いだ。あの大切な思い出がかき消されてしまうような気がする。


ザアザアザア――――


雨空は嫌いだ。俺がいつも見てる世界がちっぽけだと思い知らされる。


ザアザアザア――――


嗚呼、雨は、雨は、雨は、



「わたしのこと、忘れないで」



忘れないさ、忘れたくないに決まってる。


「私……ザァ……こと、わ……ザア……いで……ザア――」


忘れない、忘れたくないんだ。


「……ザアザアザア――――――」


僕は――――…………



**********



ピピピピピピピピィ!!!


「あひゃあ!!!」


枕元で鳴り響く携帯電話。目覚まし機能を止め、ディスプレイを見ると六時前。

ううんんんー、と伸びをして上体を起こす。まだぼんやりとしてはいるが、だんだんと脳の回路が繋がってきはじめた。


「……いやに暗いな」


ふわぁっと欠伸をする。あたりからサアサアと小気味よい良い音がする。半ばうんざりしながら起き上がりカーテンをシャアアアアーっと開く。

大きくため息をついた。


「……雨か」




**********




「いってきまー」


傘を手に取り玄関から出る。俺は徒歩通学なので歩いて学校まで行かないといけない。水量増し増しな川沿いの道を歩いて今日も今日とて学校へ向かう。


「あーも、イライラすんなぁ」


いつからだったかは思い出せないけど

雨は人一倍嫌いだ。じめっじめするし、カッパ着ると蒸し暑いし、靴がビチョビチョで気持ち悪いし、路上じゃカエルが潰れてスグロテスクなことになってるし、スマホの指紋認証が一時的に使えなくなるし←イマココ。何一ついいことはない。


それに雨の日の朝は何故か寝覚めが悪い。偏頭痛とかそういう湿度の問題だろとよく言われるけど、俺の場合大抵変な夢を見てる……気がする。まあどんな夢かなんて覚えてねーんだけどな。


ズバシャン!!通り過ぎた車に思いっきり水を掛けられた。

最っ悪だ。学校行く気失せるわこんなん。

心の中で「ほんま許さんお前の車体番号ID控えたからな」と毒づきつつヨタヨタと前へ。


と、そこへトラックがもう一台。

「同じ手は喰らわねーぞ」

と息巻いて傘を前へ構えたのがいけなかった。

ゴウ!!と突風が吹いて傘を横にしていた俺はもろにその影響を受けた。

つまりどうなったかというと、僕の体が大きく揺れた。

ついでに言えば、足下は大変滑りやすくなっており、そのおかげで盛大にすっ転ぶことができた。


さて問題。目の前にはトラックが迫っています☆真正面にずっこけたらどうなるでしょうかっ?

脳裏に潰れたカエルがよぎる。


「いや流石にこんなところじゃ死にたくねーぞ!?」


右足を強引にひねり、歩道側へこける。体は泥だらけになるけど轢かれるよりはいいだろ。


バシュアアアア!と水を弾いてトラックが通り過ぎる。後ろへ倒れながら「やっぱ厄日だな」なんて考える。


と、俺は謎の違和感を覚えた。確かに車道へこけるのよりはマシだが果たしてこっちに転んでもよかったのか、と。

その答えは考える間も無く一秒後にやってきた。


即ち、後ろの川(大雨で水量&流速増量中!!)に後ろから盛大にダイブした。


「ふもがぎゃががががばぶぁああ!!」


実に間抜けな声だが、溺れ掛けてるのである。

死ぬ!冗談抜きで死ぬ!


「誰か……がががががばぁぶっ!」


こんな早くにこんな道を通ってる人なんていないわけで、激流に翻弄され、小枝に引っ掛かれ、川底石に足首をゴリゴリされた俺は早々に意識を失いかけてきた。


「だっか、ぶごぐぁっ、っらぁ!」


轟音に苛まれ、朦朧とする意識の中誰に対してというわけではなく恨み言を叫ぶ。


「だっから雨なんて嫌いなんだよ!!!」


「そんなコト言わないでよ」


消えかけた意識の中で、俺ははっきりとその声を聞いた。


「わたしはずっと待ってる。また雨の中で君と会えるのを、ずっと」


何を言っているんだ?待つ?俺を?


「またコッチに来ちゃうみたいだね。いいよ。用意しとく、なんていったって君のためだもの」


俺のため?一体……何を?



「久しぶり、雨泊雫駆クン。またしばらくよろしくねっ」



ズゴン!!響いた爆音は黒雲からの雷か、はたまた別の災厄か。

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*テスト投稿を兼ねてるのでほぼ更新するつもりないです。。ご要望があれば考...