夕暮異形輪廻 黄昏町 -黄昏町の怪物-

るるいえ
@lyeh_dn

1日目

[ハンドアウト]気が付くと、君は公衆便所で鏡を見ている。なぜだろう、その顔は笑っていた。《開始地点[町]》




「あれ?」

私は不可解な状況においてけぼりになっていた。

見たこともない薄汚れてカビ臭い公衆トイレの手洗い場で、鏡に映る私は笑っていた。


高い位置に付けられた窓から茜色の光が差し込んでいて、

どうやら夕方らしいことだけは視覚的に理解した。



順を追って思い出してみよう。

いつものようにロマンに呼び出されて、特異点が発見されただの人やサーヴァントを次々と取り込んでいきここに幽閉された者は人であれサーヴァントであれ出てこれないから警戒しろといった注意を受けたことははっきりと覚えている。

そのあと、私は特異点の詳細、レイシフトにあたっての注意点や今回のサポートについて、いくつかの質問をした。したはずだけれど。

何故だろう。その辺りのことは紗幕がかかったように思い出すことができない。


私は試しにカルデアに通信をしてみたけれど案の定出来なかった。どころか方法すらも覚束無い。

当たり前だ。私は元々は数合わせに呼ばれただけの一般人で、そうした煩雑なあれこれは、カルデアスタッフやマシュがやってくれるというのに甘えて任せ切りにしていたのだ。


そういえばここにはあの健気な後輩が居ない。

誰もいなくてひどく静かだ。これまで幾つもの特異点を超えてきて、レイシフト直後に騒ぎに巻き込まれたことは何度かあったが、逆にこんなに静かな始まりがあっただろうか?


私は途端に不安になって、静けさから逃げるように公衆トイレのドアを開けて外へ出た。




[町]川底に何か落ちている。今は何の役にも立たないが、この町へ入る前、君がほしがっていたものだ。《水耐性所持かつ探索1以上で発見【魂+2、不要な異形を1つ捨てることができる】》




公衆トイレは川近くの高台にあったようだった。外へ出ると遠くから川の流れる音が聞こえた。

川の方向に歩いていくと、最近は青春メロドラマ以外では殆ど見なくなった芝生の土手が左右に伸びていた。


川はその水質から川沿いの住人の生活圏を推測するのに丁度いい上に、その手段はあまり魔術師からは注目されない、という話を、若かりし頃の姿をとった軍師(教師?)が得意気に話していたことを思い出した私は、水質調査の手段なんか持ち合わせていなかったけれど、川沿いを歩いて下ってみることにした。



夜が来ない。

川沿いを歩きながら夜が来たらどうしようかなあ、闇に乗じて身を隠せれば一番だけれど、などと他人事でぼんやりと考えていた私だけれど、流石に暫く歩き続けてもずっと空は茜色で日は落ちないことにいつまでも気づかない程鈍くはないつもりだ。


夜が来ることは恐怖だけれど、

夜が来ないことはただただ不気味だった。



川を流れる何かが目の端にちらりと映った。

呼符だ。

喉から手が出るほど欲しいアイテムだしカルデアに帰ったら絶対に使う自信があるのに、何故か拾いに行く気になれなかった。

金色のカードは川に浮かんだまま静かに私を追い抜いていき、やがて見えなくなった。



《マスタープロフィール》

【名前】藤丸立香

【一言】「人理修復頑張ります。よろしくお願いします!」

【性別】FEMALE


【魂】10 /【力】0 /【探索】0


【異形】※表記は(力/探索/特記事項)で統一

なし


【通算探索日数】1日

【通算死亡回数】0