平行する世界

アメツキ
@black_a_dream

【恋愛遊戯】〔妖怪夢主/蔵馬〕

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 何度転生を繰り返そうとも、人間というものの根本は変わらない。


 わらわは妖怪でも人間でもオモシロイものが好きだ。

 最初に妖怪として生きた800年間も、こうして人間たちを観察した。

 転生妖怪となってからもその習慣は変わらず、人間か猫に転生しながら、オモシロイ人間たちを観察し続けた。

 今回は8度目で、猫として転生し、総合年齢は千と三百を超えた。


 さて、今回はどんな”オモシロイ”ものに会えるだろうか。




「あ、猫だ」


 コンクリートの塀の上で眠っていると、通りすがりの少年が一匹の真っ白な猫を指さした。

 猫は人間など気にも留めず、すやすやと眠っている。

 少年はあの手この手で猫の気を引こうとするが、猫は歯牙にもかけず、少年はしぶしぶ諦めて帰った。


「あ、シロだぁ~。おはよ~」


 次に通りかかったのは金髪の女子高生。

 この女子高生は毎日この道を通る。

 最初はニオイのきつい香水をつけ、派手な化粧をしていた。

 その状態で白猫に近付き、逃げられた女子高生は、次の日、香水と派手な化粧をやめて来た。なんでも、この女子高生は猫が大好きなのだそうだが、家で猫を飼うことができず、たまたま通った道で猫に逃げられ、ニオイのせいで逃げられるならと香水や化粧をやめてきたらしい。


「相変わらずイイ毛並みだねぇ~。

 やっぱり飼い猫なのかなぁ~?」


 女子高生は白猫をひとしきり撫でると、「じゃぁ~ねぇ~」と言って去っていった。



「猫」


 今度はいかにもなくらいの不良が通りかかった。

 不良は、周囲を見渡すと誰もいないことを確認し、優しく猫を撫でた。


「うぉっ、ふわふわ」

『ニャ~オ』

「鳴いた!」


 不良はどうやら猫好きらしく、野良猫を見ては撫でているようだった。

 不良は去るとき「やっぱ猫可愛い…」と言って去っていった。

 

「猫がいるぜ」

「うわっ、オレ猫嫌いなんだよ」


 次に通りかかった二人組の男子学生は、片方は猫が嫌いだという。

 猫嫌いな方は、白猫に向かって「あっち行け、しっしっ」と言うが、そもそも白猫は塀の上から動いていない。

 猫嫌いな方は何を思ったのか、近くにあった小石を猫に向かって投げた。石は当たらなかったが、もう片方が「そこまでする必要ないだろ。あの猫動いてねーじゃん」と言った。


「猫嫌なんだよ!」

「俺たちが向こう行きゃいいだけだろ」

「うるさい!」


 「やめろよ!」という友人の制止を無視し、猫嫌いな方は、先程よりも大きめの石を猫に投げようとした。

 すると…。


「なにをしているんですか?」


 彼らに向かって背後から声をかける人物が現れた。


「な、なんだよ」

「動物虐待は立派な犯罪ですよ」

「なっ」


 呆れたような表情で諭された猫嫌いな男子学生は、「め、盟王だからって調子乗ってんじゃねぇぞ!」と、逆切れした。


「おい!…すみません。

 今すぐ連れていきますんで。

 ほら、行くぞ」


 猫嫌いな学生の友人はそう言って彼を引っ張り、その場から離れた。


「あ、おい!引っ張んなって!!」


 学生を止めた盟王学園の学生は、引っ張られていく男子学生を見送った後、白猫の方を向いた。


「災難でしたね。怪我はありませんか?」

『…』

「その美しい姿に

 怪我一つなくてよかった」


 女子が黙っていないであろうその顔でにっこりとほほ笑む学生。

 白猫はその学生をじっと見据えた。


「それにしても、まさかこんな所で

 会えるとは思わなかったな。

 ずっと会いたかったあなたに」

『…ニャ~オ』

「ははは、とぼけないでくださいよ。

 ねぇ、漣さん?」

『…なんじゃ。蔵馬の小僧か』


 白猫は人の言葉を発し、猫のフリをやめた。


「やっと会えましたね。漣さん。

 …16年ぶりですか」

『妾はそなたに会いとうなかったぞ。

 毎回毎回ストーカーのように

 付きまといおって、いい迷惑じゃ。

 …それになんじゃ?その姿は』

「ひどいな。オレはあなたに

 会いたいだけなのに。

 …色々あって人間に憑依したんですよ」

『ほう。そうか』

「もう少し興味を持ってくれても

 いいんじゃないですか?」


 妖狐蔵馬。

 魔界では名の知れた、極悪非道の盗賊。

 15年前、瀕死の重傷を負った彼は、人間の胎児に憑依融合し、南野秀一として生きることに。


『にしても随分と丸くなったようじゃの。

 あんなに尖っておったのに』

「少しは興味を持ってくれましたか?」

『ストーカーなんぞに興味を持つか』

「ひどいなぁ」


 『ふん』と、顔をそむけた漣に、蔵馬はクスクスと笑う。


「…千年以上も前から好意を伝えている

 っていうのに、あなたはちっとも

 なびいてくれませんね」

『千年以上もよくもまあ挫けずに

 妾のもとへ来るなぁ。

 妾もそこは驚いておるわ。

 …だが、諦めぃ。妾は誰にもなびかん』

「あなたこそ、そろそろ諦めて

 オレのものになってくれませんか。

 …まあ、手に入らないなら

 奪い取るまでですけど?」


 イイ笑顔でそう話す蔵馬と、(猫の姿なのでよくわからないが蔵馬曰く)呆れたような表情の漣。


『…狐め』

「今は人間です」


 はあ、と漣はため息をつくと、一瞬にして白猫は白い短い髪の娘へと姿を変えた。

 塀の上に座る彼女は、髪と同じ真っ白な着物の袖を口元に当て、縦長な瞳孔の金の瞳を蔵馬に向ける。


遊戯げぇむじゃ。二月ふたつきの猶予をくれてやろ。

 その間に妾を口説き落としてみせよ。

 見事成功すれば、

 そなたのものになってやろうぞ』


 漣の言葉にキョトンとする蔵馬。


「…どういう風の吹き回しですか?

 オレとしては、望むところですが」

『なぁに。ほんの少しばかり、

 そなたに興味が湧いた。それだけじゃ』

「へぇ…」


 不敵な笑みを浮かべる蔵馬。対して漣は、余裕の笑みを崩さない。


『妾は、オモシロイものが好きじゃ』


 ふわりと塀の上から浮き上がり、蔵馬へと顔を近づける漣。


『せいぜい、妾を退屈させるなよ?』


 妖しく微笑み、蔵馬の耳元で囁く漣。


「退屈なんかさせませんよ。

 必ず、あなたを奪ってみせます」


 二人の遊戯ゲームは、まだ、始まったばかり。






〔補足〕

夢主は、猫の時は20~100年、人間の時はその人間の寿命で死にます。

猫の時は、取り憑いた猫の寿命で死ぬ時もあれば、妖力か何かで寿命を延ばして100年近く生きる時もありますが、人間の時は、寿命を延ばしたりはせず、取り憑いた人間の寿命で死にます。

最初に妖怪として生まれた時は800年くらい生き、そこで死んで転生妖怪となります。

猫には5回、人間には3回転生しており、尾の数は8本。

人間には「タマ」や「ネコ」など好き勝手に呼ばれています。


ちなみに、タイトルの【恋愛遊戯】は、”れんあいげぇむ”と読みます。