人魚の唄

アメツキ
@black_a_dream

序章

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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『...父上様、母上様。

 私は行かねばならないのです。

 ...どうか、わかってくださいな』


 大広間の上座に座す男と女にそう語りかけるのは、蒼い瞳に紫のような色の髪の少女。...否、この国の者は、普通の人間とは過ごす時が異なる為、この娘は正確には少女ではない。


「わかっている。わかってはいるが...」

「水月、わたくしの可愛い水月姫。

 海の愛し子。

 私は貴女を一人にするなんて嫌よ。

 どうか、考え直して?」


 父上様と呼ばれた男は言葉に詰まり、母上様と呼ばれた女は、娘に行くなと反対した。


『...母上様。それは叶いません。

 私は行かねばならないのです。

 私の半身を探すために。

 ...そして、おばあ様が果たせなかった、 

 魔女との約束を果たす為に』


 娘、水月の瞳には覚悟の色が宿っていた。


「...水月」

『はい、父上様』

「これを」


 父は水月に、海の色をした玉のついた首飾りを渡した。


「...それは、この国の宝珠だ」

『父上様っ!?』

「お前に預ける。

 探しものの助けとなるだろう。

 ...だから、それを返しに戻ってこい」

『父上様...、...わかりました』


 父から首飾りを受けとると、その隣にいた母が「...では」と言った。


「...母は、この髪飾りを貴女に渡します。

 本当は貴女が花嫁衣装を着る時にと

 思って作ったのだけど...。どうか、

 今つけて、この母に見せておくれ?」

『母上様...、...では、

 母上様がつけてください』

「あら...、では、もう少しこちらに...」


 母に近寄り、母が持つ、豪奢な髪飾りを髪に飾る。


「水月、よぉく見せておくれ。

 貴女の可愛い顔を...。

 嗚呼、水月。どうか忘れないでおくれ?

 父も母も、いつも、

 貴女を思っているという事を」

『...はい、母上様』

「...必ず、帰って来るのだぞ」

『...はい、父上様。......秋茜あきあかね

〔...行き先は魔女の元、だな?主〕

『ええ。...父上様、母上様。

 行って参ります』


 父と母から少し離れると、水月の足元に魔方陣が現れる。


「必ず、必ず。戻ってくるのですよ。

 私たちの愛し子。海の愛し子よ」

「お前の旅路に、幸多からんことを...」


 二人の声を聞くと同時に、水月は姿を消した。