ご注文はお兄ちゃんですか?

保登ラテ@ごち兄ゆっくり執筆中
@ReD_AnD_BattleR

一日目:お兄ちゃん襲来

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ココア、チノ、リゼの三人がカウンターに集まり、殆ど必要のない片付けを始めたところで、奥の[Staff only]と書かれた扉が開いた。

中から出てきたのは、バーテンダーの制服に見を包んだ壮年の男性。

チノの父、タカヒロだ。

「あ・・・香風さん・・・ですか?」

ラテがいち早くそれに反応し、タカヒロに言葉を掛ける。

「ああ、そうだよ。君達がココア君のお兄さんかい?」

タカヒロは、ラテより大人びた声と動作で、答えながら歩いてくる。

その動作は一つ一つが洗練されており、“香風タカヒロ”という人間の人生経験の多さを物語っているようだ。

「はい、そうです。初めまして、いつも妹がお世話になっております。」

「うぃっす!噂のお兄ちゃんっす!連絡がちゃんと届いてたみたいでよかったっす!」

ラテとレオがそれに答える。

落ち着いて答えるラテの姿は、先程より少し大人びて見えた。礼儀正しく、きっちりとした動作で、話す速度も完璧だ。

一方レオは、ラテとは対照的に明るい口調で答える。しかしレオも、昔の礼儀を厭わないようなやんちゃな雰囲気ではない。

その二人の姿は、ココアのよく知った“お兄ちゃん”でも、モカのよく知った“弟”でもなく、自律した一人の“大人”であるように見えた。

「ハハッ、そんなに改まらなくても大丈夫だよ。」

そんな二人の姿を見て、タカヒロが言葉を掛ける。

「あ、いえ・・・癖なもので。」

「別に改まってるわけじゃないっすよ~!」

しかし二人はその言葉を否定した。

「そうか。まあ、積もる話もあるだろうし、俺はこれで失礼するよ。」

そう言うとタカヒロは、奥の扉へ向かう。

「はい・・・あ、一週間、よろしくお願いします。」

「よろしくお願いしまっす!!」

部屋に戻るタカヒロの背中に、ラテは腰を軽く曲げて礼をしながら、レオは独特の動きをしながらそれぞれ言葉を掛ける。

「ああ、よろしく。」

それを聞いたタカヒロは振り返るとそう返し、「じゃ。」と言い残して奥へ入って行った。

わずかな時間だったが、二人にはタカヒロが“只者ではない”ことが容易に理解できていた。

「・・・なんか、格が違うな。」

ラテはタカヒロが奥へ入るのを見送った後、呟くように言う。

「そうだな、あれはなんかこう・・・ガチのやつだ。」

レオも———若干語彙が足りていないが———同意見のようだ。

「父は昔軍人だったそうです。」

二人の呟きにチノが答えた。

「なるほど、どうりで身のこなしに隙が無いわけだ。」

それを聞いたラテは顎に手を当てて何度か頷く。

「軍人!?そういうことだったか・・・」

レオも一度驚きはしたが、すぐに理解し同じようにうんうんと頷いた。

こういう仕草の一致を見ると、やはり兄弟なのだと改めて思わされる。

「軍人さんかっこいいよね~!多対一の状況でも冷静に敵をバッタバタと!」

ココアが興奮気味にぶんぶんと腕を振り、謎の構えをとる。戦闘の再現をしているつもりなのだろう。

「多対一じゃ、戦闘技術とか兵器の火力によほどの差がなきゃ勝つのは難しいだろ。それに、本当の戦場となれば常に死と隣り合わせだ。ビジュアルなんて求めていられる余裕はない。」

だが、ラテは少し眉を寄せ、冷静な見解を示した。

もう少し夢を見させるということはできないのだろうか。

「そうだぞココア。うちの親父にも色々聞かされたけど、訓練だけでも相当厳しかったらしいし。」

と思ったら、リゼも参加してきた。軍人の娘だけに、その手の誤認は放っておけないのだろう。

「そっかぁ・・・でも、そんな厳しい戦場を生き抜いたんだからすごいよね!」

ココアは一瞬悲しそうな顔をしたがセルフ解決。流石のポジティブだ。

「それもそうだな」

リゼが同意を示したところで、

「そろそろ着替えますよ」

チノがココアとリゼに声を掛けた。

いくら夏とはいえ、太陽は沈みきってしまっており、外は真っ暗だ。

あまり悠長に話をしていられる時間はない。

「はーい」

「あぁ。」

ココアとリゼは素直に従い、奥の部屋へ入って行った。


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