君に胡蝶蘭を 13

茉夢@お題箱募集中
@mamu_au

過去と本音

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夢をみた。



私も大和もまだ小さくて、お父さんが大好きだった。お父さんに今日あった嬉しかった事や楽しかった事をたくさん言った。



家に帰ってこない日もあったけど、あの頃は何も思わなかった。でも、たまたま聞いてしまった、『愛人の双子』という言葉。その時は分からないフリをした。



ある日、大和がテレビをみていた。声をかけても返事はなくて、テレビを見てみるとそこには知らない女の人とお父さんが映っていて、夫婦と言われていた。



その後、大和と一緒にお父さんについて調べた。私達は愛人の子であること、正式な親ではないことそれは事実だった。分からないフリはもう出来なかった。



その日から私達のお父さんに対する態度は変わった。私は必要以上に接することをやめただけ、大和は露骨に態度を出していた。



そして、私達の家は芸能界の接待場と気づくのも遅くはなかった。世間では言えないような事を沢山聞いてきた。だんだん私は人が信じられなくなってきて、友達なんていらないと思い始めた。



中学、高校になってもお父さんは話してくれる事はなかった。ある日お父さんが大和の機嫌を取る様子をみて、私は哀れだと思った。私にも話しかけてきたけど、素っ気なく返事をして部屋に戻った。



家に帰った時、見かけない人がいた。その人は儚くてどこか影があるけど、それさえも魅力に変えてしまうような綺麗な人だった。その人から「君は人を信じたいから、誰とも仲良くなろうとしないんだろう」と言われた事があった。



その人の言葉は正しかった。私には親友がいた。でも家の環境のせいか、人には裏があると思うようになった。そしてその親友にも裏があるのではないかと疑うようになった。そんな事を考える自分に嫌気がさして、その親友とは距離をとり、私は1人になった。



高校を卒業すると、家を出て一人暮らしを始めた。私は高校の時からバイトで貯めたそのお金で短期大学に入り卒業して、就職をした。その頃から大和との連絡もあまり取らなくなった。



働き始めて2年、大和がアイドルになっていたのは驚いた。芸能界に入るなんて思いもよらなかったけど、私達は知ってはいけないことを知りすぎているから復讐だろうと思った。



でも、写真に写っている大和は見たこともない笑顔だった。俳優もやり始めたという記事を見てからは、大和がもうわからなくなった。何がしたいのか理解出来なかった。



きっと私は何も言ってくれない大和に腹を立てて、拗ねていたんだろう。そして、大和のことが分からなくなるのが怖かった。



あの日急に電話をしてきて、何かと思ったら自分のことを話し始めた。メンバーの人達もいて、とても賑やかで楽しそうだった。前に進む大和が、信じられる人がいる大和が、愛してくれる人がいる大和が、羨ましかった。



その日を境に大和は連絡を密にし始めた。部屋にきたり、飲みに行ったりした。理由は実家に帰る為だと思っていたから、拗ねた反応を取った。



でも本当は違ってた、私のことを考えてくれてたんだね。それなのに、私は取り返しのつかない事をしてしまった。許される事ではないだろう。



お父さんから大好きな芝居を奪ったのだから。



謝って済む問題でもないよね、でもどうすればいいのかわかんないよ。誰か助けて、助けてよ。



暗い、黒だけの空間に1人でうずくまる私。




「大丈夫、みんな許してくれるよ」



「…ほんとに?」



「ほんとさ、君の事をちゃんと見て、愛してくれる人だっているよ」



「あなたも?」



「もちろん、君の事もっと知って仲良くなりたいな。だから早く起きよう、君が目覚めるのを待ってるから」




私に話しかけた人は誰だったんだろう、わからなかったけど、声はとても優しくて暖かった。



目の前がだんだんと明るくなる。あぁ目が覚めるんだ。





目を開けると白を基調とした部屋、病院の個室にいた。細い管がみえて点滴をされているのがわかった。



暫く天井を見てたら扉が開いた。入ってきたのは大和と千さんだった。




「目が覚めたのか、よかった。お前1日眠ったままだったんだぞ」



「……っ」




起き上がって、声を出そうにも喉はカラカラでひどい状態だったのを思い出す。すると、目の前にキャップの開いたスポーツ飲料が出される。




「ほら、飲んどけ」




差し出されたスポーツ飲料を手に取り飲むと、喉が潤されていく。それに身体も水分を欲していたようだった。




「たくさんあるからゆっくり飲めって、まだ熱もあるんだし」




そんなに早く飲んでいるわけじゃないけど、そう見えてしまったようだ。でも喉が乾いてたんだからしょうがない。ペットボトルはあっという間に空になり、喉も潤されて満足だ。



腹を括ろう、今このタイミングを逃してはいけない。




「ごめんなさい」



「...は?」



「...迷惑かけたよね、大和にもお父さんにも...お父さんに関しては謝って済む問題じゃないのはわかってる、今度家に帰ってちゃんと謝る..」



「何があったか話を聞かせてくるよね」




今まで黙っていた千さんが口を開いた。断れるわけがなかった。頷いて私は喋り始めた。




「大和の寮に行った日、お店に月雲了という人が来たの。それでまぁお話をして、話があるからよければ電話をしてくれって言われてその日の夜に連絡をした。次の日に会ってある番組の出演をしてくれって言われたの。」



「ある番組って?」



「芸能人の秘密を明かそうっていう番組、そこで私の出生を言ってくれって」



「なんで断らなかったんだ」



「断ったら大和に迷惑かかると思ったし、なんか断りにくい雰囲気で...。それで次の日の仕事終わりに迎えよこすって言われて、迎えの車に向かう途中気づいたら気を失ってた」



「一言くらい相談してもよかっただろ」



「だって......」



「どうしたの?」



「...そんなに構いあう兄妹じゃない、し」



「もしかして聞いてたのか?」




こんな事を言うつもりなかったけど言ってしまったのは熱のせいだ。言ったあとにだんだん恥ずかしくなってきた。けど一度開いた口は止まらなかった。




「だって、ほんとのことでしょ。大和がアイドル目指す事やデビューして俳優をやってる事なんか聞いてなかったもん」



「大和くん、言ってなかったの?」



「.....最初は復讐のつもりで、そんなの俺一人で充分だし、桜を巻き込みたくなかったんだ」



「それでも言ってほしかった…知らないうちに芸能人になってるし、久しぶりに連絡きたら仲間に自分の事ちゃんと話すって連絡で、知らないとこで大和だけ前に進んでて、ずるくて、でも寂しくて、」




ここまで言ってしまった、熱のせいだ。勝手に涙まで流れてきて、もう頭がクラクラする。




「大和くん、桜ちゃんを泣かしたら駄目だよ。とりあえず僕が怒っておくから桜ちゃんは寝るといい。今日はもう帰るよ」



「えっ、ちょっ、何言ってんすか」



「ほらほら、行くよ大和くん」




そう言って2人は病室から出ていった。私は布団にもぐると、また眠気がやってきた。あれ、もしかしなくても凄く恥ずかしい事を言ってしまったのではないか...?と思ったところで眠ってしまった。