堕天使の論理

ここはアイズ様天国でした。

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ブラックホールに落ちて、トリップした先は何とスパイラルの世界だった。

しかも、その主人公の部屋に来てしまったらしく、

アルミニウムこと、鳴海歩に早速出くわしてしまった。


「よく分からないが、不審者には出て行ってもらおう。」


しかし夢小説お決まりの特典…。

都合のいい親類&友人設定なんてあるはずもなく。

友好的な関係を築くどころか、いきなり歩に睨まれるのだった。


「えーと、鳴海歩さん。ちょっとお待ちをっ…。」


「何で名前を知ってる?」


その問いに対して、

『貴方が活躍している漫画を知っています』なんて告白が出来るはずもなく。

一か八か、この世界に踏みとどまるための策をしぼり出した。


「今日、貴方のことを知っているパンダにあったの。」


「…は?…いや、待て。パンダだって?」


歩が驚いて聞き返した瞬間、

私は心のなかでガッツポーズをするのだった。


ーーーーーーー


その後はというと…まどかさんの同意もあって、

無事、鳴海家にお世話になることが決まった。


鳴海歩の兄―ー鳴海清隆は、変装が得意な人物で知られている。

特に着ぐるみを着るという変人さは、スパイラル・アライブでよく見かける光景だった。

この残念な情報を知っているのは、清隆に会ったことがある…ごく一部の人間。

しかも身内やブレードチルドレンの中でも、

それなりに接点を持った親しい間柄だけだった。


だからこそ、『パンダの着ぐるみ』というワードだけで。

歩とまどかさんに、“清隆の紹介で来た”と納得させることが出来た。


〈実は家が火事で全焼しちゃって…困ってたんです。

身寄りもいないので、知り合いを頼ったら、

知り合いの知り合いで『空き部屋があるから、うちはどう?』って話があったそうなんです。そしたら今日、道端にパンダがいて。

パンダが地図をもって、道案内してくれました。

案内先が此処…鳴海家だったんです。〉


少々不安要素の残る、怪しい説明だったのは間違いない。

しかし変人の類友というくくりで、歩にも大目に見てもらえた。


(まあ、清隆が否定すれば、一発でバレるけどね。)


まどかさんにも同様に、嘘をつかざる終えなかったのは心苦しいが、

ひとまずは生活の場を確保できたことには安堵する。


もし、鳴海家と接点がもてなければ、

今後のストーリーにも関われない可能性が出てくるからだ。


私の最優先事項はいつだって、アイズなので。

歩との繋がりはなんとしてでも、確保しておきたかった。

そして、いきなり宿無し&警察行きルートは…人道的にも全力で避けたい。


「さら。

あんたの録画予約で容量がいっぱいで…。

せっかくの料理番組が予約できない。」


夕食前…。

歩がテレビのリモコンを切り替えながら、不満げに呟いた。


「だいたいこれ、CMだけしか映ってなかったぞ。」


録画を消そうとする歩に、あわててリモコンをひったくった。

CMだけしか…ではなく。

このCMが来ると思った瞬間を狙った奇跡の名シーンなのに。


「あー、ダメーッ!!アイズ様が映っているのに。

あの神々しいお姿がっ…。」


録画したのは、アイズが出演している車のCMだった。

昨年に出演したことが好評だったようで、アイズの知名度を上げただけでなく、

車の売り上げもかなり良かったとか。

また同じ会社が続投を決めて、一躍話題を博している。


「最近、いくらでも流れてるぞ。」


歩は呆れたように、こちらを見つめた。

TV画面に戻して「ほら見てみろ」と言っている歩の横で、

感無量で放映されるアイズの美貌を堪能する。


…あの美しい銀色の髪。

そして、ブルーのガラスのような瞳。

立ち姿さえも美しく、暁の空の下…漆黒の車に寄りかかるだけで、

もう何も演出はいらないと思うほどだった。


「アイズ様ってやっぱり、すごい人気ね…。」


予約欄の検索をかけるだけでも、色んな特集がやっている。

ご本人が直接出演しているわけではないが、

今までの活躍を振り返っていて…海外での演奏が聴けるなど見所が盛りだくさんだ。


「そういえば、そろそろ来日するとかニュースでやっていたな。」


歩がしぶしぶ“きょうの料理 ミドルズ”をいくつか削除して、

“ヘンゼルのかまど”を毎週予約していた。


みかんページに飽きたらず、TVまで料理番組なんて。

高校生男子としてちょっとばかし心配になる…。


それにしても…とネットの画面を見つめると、

此処でも大量のアイズの画像とコンサートや最新のCDの情報で溢れていた。


まだコンサート前なので、

グッズなどはまだ販売されていないが、

海外の輸入版CDならすぐ手に入りそうだった。


「ここはまさに、天国だわ…。」


その日のうちに、通帳が使えるか確認した所、

なんとお金が引き下ろせるのが発覚した!


(一体、どんな原理でどこからお金が引き下ろせているの?)


不思議には思ったが、それ以上考えるのはやめた。

どうせ貯金ばかりしていても、使い道がなければ意味がない。

私はすぐさま、全部のCDとコンサートDVDをカゴに入れて、

購入ボタンをポチッたのだった。