ハッピーバレンタインデー -想いよ届け-

ユリちご🍓絵描き
@yuritigo_0702

想いを伝えたい……

_現在

朝のHRが終わり、生徒たちは1時間目の授業の準備をする。

ちなみに今日の1時間目は満が担当する数学。

授業の準備を済ましてきた満も再び教室に入ってくる。

「んげ!香月先生もう来た……」

満が教室に入って来たのはチャイムが鳴る3分前。

美香はゆりの席で話し込んでいたが、顔をしかめた。

「……もしかして、抜き打ちテストあんのかな……」

満は教科書の他に何やら茶封筒を持っていた。

「えぇ!?やだやだそんなの!

私数学めちゃ苦手なのに……」

「もしもの話だよ……」

ショックを受ける美香をなだめるゆり。


そしてチャイムも鳴り、

「委員長、号令。」

「起立、礼。」

クラスの委員長である生徒が号令をかけ、授業が始まる。

生徒たちは教科書とノートを開くが……


「全員、教科書とノートをしまいなさい。

今から抜き打ちテストを行います。」

「「えぇぇぇ!?」」

いきなり満の口から出た「抜き打ちテスト」という言葉。

生徒たちからはブーイングが飛んだ。

「……私の予想当たっちゃった……」

(まさか本当にやるとは……)

ゆりもすっかり目をパチクリ。ゆりは席が少し離れている美香へ視線を向けてみた。

「抜き打ちとかマジ最悪!!」

数学が苦手だある美香にとって耐え難いもののようだった。

「……。」

(でもやるっきゃないよね……)

ゆりは教科書などを机にしまいペンケースから筆記用具を出した。

そして抜き打ちテストはスタート、制限時間は40分である。


「……。」

(へへっ!ちょっとだけ香月先生に数学教えてもらったから合格点はいけるかも……)

実はゆりはあの日以来ちょくちょくと図書室に通い、

満に軽く数学の勉強を教えてもらっていた。そのため少し自信があった。

ゆりは着々と問題を解いていった。

「……。」

その中満は、他の生徒が頭を抱えている中問題を解いているゆりに視線を向けていた。

ゆりは特にその視線には気付かず黙々とテスト用紙とにらめっこ。

テストの40分はあっという間に終わり回収。


「ふぅ……」

(赤点は、多分大丈夫だとは思うんだけど……美香ちゃんはどうなってるかな……)

ゆりは再び美香に目を向けた。

「……。」

そこにはほぼ屍状態になった美香の姿があった。

「美香ちゃん……」

ゆりは苦笑いを浮かべ冷や汗をかいた。


こうして1時間目からテストだった1日が終わった。

「ねぇねぇゆり!今日チョコ作りの材料の買いに行こうと思うんだけどゆりも行かない?」

美香はいつものごとくゆりの席にやってくる。

「そっか……もう10日か……型とか見にいっておこうかな……」

(香月先生、やっぱり甘いのよりはビターのほうがいいのかな……)

ゆりはバレンタインの話題を聞いて満の顔を頭に思い浮かべた。

そしてゆりは美香と共に材料の買い出しに行くことにした。


ショッピングモールにやってきた二人はまず型を見にきた。

「やっぱ本命はハート一択かしらね……」

美香はすっかり型選びに夢中だった。

ゆりも美香と同じ型を手に取った。

「……。」

(ハート……無難な感じでいいかな……一応、本命って伝わりそうだし……

友チョコのやつは、どうしようかなぁ……トリュフ?それともポッキー……いやいや、

ポッキーはポッキーの日で渡したからいいか……)

こうして型選びが終わり二人はチョコの原料も買った。



「へへへぇ!」

「美香ちゃん、すごく嬉しそうだね。」

会計を済ました二人、店を出るなり美香は鼻歌を歌っていた。

「だってバレンタインデーは女子にとって大イベントだよ!?

ふふふ……手作りチョコであいつのハートを、バシッ!っと!手に入れるのよ。」

すっかり気合が入っている美香。

「ハハハハハ……」

ゆりは思わず苦笑い。

ちなみにゆりは友チョコには普通のミルクチョコにしたが、

満のものは満が好みそうなビターチョコにした。

「……。」

(当日は、図書室で渡そうかな……でも、毎日いるとは限らないもんな……あ、でも!

毎日通ってれば先生には何かしら会うし……その時に……)

「ねぇねぇ、ホントゆりの本命って誰なの?

ねぇ!教えてよ!私の本命も教えるからさ!!」

「えぇ……内緒だよそんなの!」

(やっぱり、先生が好きだなんて言えない……)

ゆりは笑いごまかす。

「なんで隠すのよ……」

ゆりから本命の相手を聞けずうなだれる美香。

「内緒のものは内緒なの!」


あれからゆりは美香から追及されたがなんとか受け流した。

そしてそれぞれ別れ家に帰った。


「ただいま。」

靴を脱ぎ家にあがるゆり。

荷物を一旦リビングに置くと手洗いうがいをしに洗面台へ向かった。

「……よし、明日にでも図書室行って、先生いたら14日会う約束しなきゃ……」

(でも……14日に会いたいとかもうバレバレなのかな……)

ちょっと不安になるゆりであった。だが……




「……でも、やっぱり気持ちは伝えたい。

先生は迷惑っていうかもしれないけど、気持ちだけでも伝えたい……」

ゆりは顔を上げ鏡に映る自分を見た。









「後悔は、したくないもんね……」







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