好きな人の好きな奴

おもち(元あずき)
@azuki_3298

ずっと初恋

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たとえこの想いが報われなかったとしてもそれでもよかった。



こいつが、優が笑っていてくれさえすれば。



それなのに高校二年になった今、こいつは寂しそうに侑を見つめている。



自分ではない、違う女の隣を歩くもう一人の幼馴染を。




こいつはずっとこんな顔をしている。


優の気持ちに気付いてから三年以上。


幸せそうに笑ったかと思えば、すぐに寂しそうに力なく笑う。


今にも泣き出してしまいそうな、崩れてしまいそうな、そんな危うい顔をする。


そんな優の気持ちに、馬鹿な片割れは気がつかない。


それが余計に哀れで、同情さえしてしまう。



それでも、それでもいいのだと諦めたように笑う優に、俺もまた胸が締め付けられる。



結局は俺も、この報われない初恋をいつまでも捨てられずにいた。



まだすべてが幼かったあの頃に生まれたこの気持ちは熱を持ち、膨らみ、押し潰され、すっかり重くなってしまった。



そんな初恋をこじらせた俺の口から、ずっと隠してきた本音がこぼれ落ちる。


ぽろりと、自然に。



「俺にしとけよ」



ひとり言をつぶやくように。



その一言は優を動揺させるには十分だった。


丸い目をさらに丸くして、口はポカンと開けられている。



まだ、後戻りできる。

冗談だと笑い飛ばせば、今なら戻れる。

夕日と共に帰路を歩いた、あの仲のいい幼馴染に。



頭ではわかっているのに、俺は幼馴染でいられなくなる方を選んだ。

優を困らせる方を選んだんだ。



「あんな奴やめて俺にしとけばいいやん」



ああ、もう後戻りはできない。

何も知らないあの頃の俺たちには。

手を繋いで笑いあった幼きあの頃には、二度と、もう……。



「お前があいつを好きなんは知っとる。でも、」



言葉を失った優の顔は苦しげで、俺に絶望しているようにさえ見えてくる。



俺はそんな優の顔を見たくなくて、その華奢な両肩を掴んでそっと顔を近づけた。



「でもそんな顔するんやったら」



侑を見て泣きそうになるなら。

侑を見て儚げに笑うなら。

侑を見て苦しそうに顔を歪めるなら。



「もうやめとき」



途端、優の唇が小さく震えているのが見えて、俺はヒュッと心臓が小さくなる感覚を覚えた。



やめとくのはどっちや。



今、優を困らせているのは他の誰でもない俺だというのに。



俺は逃げるように優の肩に頭をあずける。


その震える唇に、自分のそれを重ねることなんてできなかった。


今まで何もできなかった俺に、そんな大層なことできるはずがなかったんだ。



優の首筋から香る、あの頃と変わらない甘い香り。

俺は優の肩を掴んでいる手に少し力を込める。


肩より少し伸びたふわふわの髪が耳を擽る。




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