好きな人の好きな奴

あずき
@azuki_3298

さよなら初恋

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「女子集合!」


ピピー、という笛の音と共に先生の声が体育館に響いた。



金曜日の6限目。私の所属する2年2組は1組と合同で体育を行なっている。

本来なら体育館全面を使ってバドミントンの予定だったが、外はあいにくの雨でサッカーを予定していた男子と仲良く半分ずつ体育館を分けている。



それじゃあ各自試合初めてね、という先生の言葉に皆それぞれグループごとに分かれていく。


私は1試合目には当たらず、早速休憩のようだ。

同じく休みが当たった友人達と体育館の隅へと座り込む。



「ねえねえ!みてみて!!」



友人が歓喜の声を上げ、指差す方へと目を向ければそこには見知った顔が2つ。



「あ!宮兄弟だ!」

「試合するみたいだよ!」



バチバチと火花を散らして見つめ合う2人はまさに一触即発。


どうせ侑が挑発して、返り討ちにでもあったのだろう。

ギャンギャン騒ぐ侑と済ました顔をする治。

そんな2人を見れば自然と笑みがこぼれた。


しかしそんな私の顔は、次の友人の一言で固まってしまうことになる。



「そういえば侑くん、彼女できたんやって?」



“彼女”


そのフレーズに私の頭は見事にフリーズする。



「えー、そうなん!?」

「モテるもんなあ」

「なあなあ、優はなんか聞いとらんの?」



急に話題を振られて間抜けな声が口からこぼれ落ちる。



「へ?ああ、うん。特に聞いてないよ」



心臓はバクバクと煩くて、頭の中にまで響いてくる。



「でもこの間別れたばっかやない?」

「そやなあ。でも引く手数多やしなあ、侑くんならなんか納得してまうわ」



そう、侑に彼女ができたのなんてこれが初めてではない。

つい先月にも違う女の子が侑の隣を歩き、1年の時は美人の先輩が侑の腕を組んでいた。


でも私は侑に彼女ができたと耳にするたびに心臓が重くなったような感覚を覚え、頭が真っ白になる。

何度経験しても胸の痛みを止められない。

ただ回数を重ねるたびに落ち込んだ自分を立て直す術を身につけだようで、昔ほど動揺を表に出すことはなくなった。

ように思う。



「次の試合始まるよ」



未だ双子のほうに黄色い歓声をあげる友人に声をかけ立ち上がる。



そもそも私に落ち込む資格などないのだ。


幼馴染という立場に甘えて何もしなかった私には。

彼女になるための努力も、ましてや気持ちを伝えるための告白も。

振られることを恐れ、いつも彼の隣でへらへらと笑い続けた臆病者には"彼女"に嫉妬する資格さえ与えられない。


ほんとうはこうやって悲観して、まるで自分が悲劇のヒロインのように立っている自分がなにより1番憎らしいのだけれど。


弱い私はこうやって逃げることでしか自分を保てないのだから、どうか、どうかこんな自分を許してほしい。




試合開始の笛がこの暑い体育館に響き渡った。






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