魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

邂逅

ゼル「申し訳ありません、姫様。」

ルーシェ「構いません、これだけ広い中から探しているのですから…

想定の範囲内ですわ。」

ペコル「あのね、姫様…


ペコルが耳打ちする。


ルーシェ「…ふふっ…それは面白いですわね。」










カーバンクルの導きにより、再び聖獣らしき像の元に辿り着いたラグナ達。

だが、ミシェルが聖剣をかざす前に像に亀裂が走り、光が漏れ出した。

封印が解かれる兆候だ。


「…⁉︎

まだ何も…」


像は砕け散って光の粒子となり、一つ所に集まる。

そこにはルーシェ姫の聖獣・ケットシーの姿があった。

ケットシーは光の粒子を吸収する。


ミシェル「…この子がいるという事は…」

ラン「チッ…待ち伏せされた?」


一行は帝国軍に取り囲まれた。

ランが刀を抜く。


ルーシェ「そう身構えずともよろしいですわ。

貴方がたに危害を加えるつもりはありません。」


刀を構えて微動だにしないランに、ミシェルが言う。

「…ランさん、信じていいと思います。」


ミシェルの言葉に、刀を納めたラン。

「…そうかい…

それじゃあ、こんな所でわざわざ待ち伏せなんかしてまで、あたしらに何の用だい?」


ペコルがひょっこり前に出て言う。

「あたし達と友達になろっ?」


シャールヴィ「…と、友達だってぇ⁉︎」

ルーシェ「…私達は、同じ力を探し求め、同じものを敵としている…

利害が一致すると思いませんか?」

ミシェル「…同じ力…アグエルの…」

ラグナ「…同じ敵って…」

ゼル「メタモルフの元凶…魔導師を造り出す新興国の権力者と、それに加担する者達すべてだ。」

ラグナ「……」

ラン「敵の敵は味方って理屈かい?

…まぁ、アンタ達が戦う理由も解らなくはないけど、あいにく国家に属して戦争に加担するつもりは無いよ。」

ルーシェ「…ですが、国家が掲げる大義も無く武力を行使する事など、単なるテロリズムとしか見なされませんわ。」

ラン「その大義ってやつは、心を縛ったり殺したり…虐殺を正当化する言い訳にもなる。

そんなのはゴメンなのさ。」

ゼル「……」

ルーシェ「…そうですか…

…わかりました、今日の所は引き下がりましょう。


ですが…ミシェル。

貴女が何者かは存じませんが、私と共に来れば、何か手掛かりが掴めるかもしれませんわよ?

よくお考えなさい。


それでは…いずれまた何処かでお会いしましょう。

その時まで…ご機嫌よう。」


ラン「待ちな、あんた達に渡す物があるよ。」


それは、先の戦いでランが葬ったウィザードが持っていた、人工的に造られたフォシル…『アトモス』の杖だった。


ラン「あんた達の仲間の遺品だよ。」

ペコル「これって…ダンタリアンちゃんの…じゃあ、ダンタリアンちゃんは…」

泣き出すペコル。


ゼル「だから来るなと言ったのだ。」

アイシス「…私達は兵士にして魔導師…

…こういう事はいくらでもある…


…でも、貴方達の目的が邪なものなら、これを私達に返したりはしない…

…そうでしょう…?」

ラン「…本当なら賢者様に見せたかった所だけどね…」

アイシス「…仲間が面倒をかけたわね…

…それじゃあ…」




帝国軍は巨大な猛禽を駆り、そこから飛び去った。


リン「…行っちゃったね。」

ラグナ「他にはもう何も無いんでしょうか?」

ミシェル「そうみたい…ね?カーバンクル。」


カーバンクルが何かに反応する様子は無かった。


ラン「それじゃあ帰るとするか!」


かくして一行は南方大陸を後にし、アジトに向けて帰路につく。






続く…

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