魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

聖騎士

「識別呼称・ダンタリアン、兆候が現れるも、テロリストによってとどめを刺された模様。」


「…あれも失敗か…

だがまぁ、大きな進歩と言ってよかろう。」






緑に浸食された廃墟を彷徨う1人の少女…


「ダンタリアンちゃ〜ん、どこ〜‼︎?」


少女の前に男が現れる。


「迷子かい?お嬢ちゃん。

ママの所に連れて行ってあげようか?」


少女「…ママの居場所…知ってるの?」

男「ああ、知ってるとも。」

少女「…嘘つき…

あんたなんか死んじゃえ!」


少女が念じると、その身体が光を放つ。

その様は、まさしく魔導師のものだった。


「待て‼︎」


そう叫んだラグナと、ミシェル・シャールヴィが、少女と男の間に割って入る。


「…何だ?お前ら。

せっかく、たまには平和的に仕事しようと思ったのに、邪魔しやがって…

オイ、お前ら‼︎」


男がそう言うと、辺りの茂みから続々と野盗が姿を現わす。


シャールヴィ「な〜にが平和的だ、人拐いだろ⁉︎」

野盗「まぁ、獲物が増えたんなら、いつものやり方に切り替えるだけよ。」


かくして野盗との戦闘になった。

ラグナ達の奮戦により劣勢となった野盗を、少女は魔法で焼き尽くす。


シャールヴィ「…お前、魔法なんか使ってたらメタモルフになっちゃうぞ!」

少女「…わかってる…でも、許せなかったの…あんな嘘…ママに会わせるなんて…」

ラグナ「君のご両親は…もしかして…」

少女「……」

ラグナ「あ…ご、ごめん…」

少女「…ううん、いいの。

助けてくれてありがとう。

あたし、ペコル。」

ラグナ「僕はラグナ。」

シャールヴィ「シャールヴィだぜ。」

ミシェル「私はミシェル。

貴女は、グレゴリウス帝国の人?」

ペコル「そうだよ。

はぐれた友達を探してたんだけど、あたしまで迷子になっちゃった…」


3人は顔を見合わせる。

ミシェル「(友達って、たぶんさっきの人よね…)」

シャールヴィ「(どうする?)」

ラグナ「(こんな小さな子を、こんな所に放っといて行けないよ)」


少女は、ミシェルの傍らにいるカーバンクルに気付いた。


ペコル「カワイイ〜この子、姫様のケットシーにそっくり!色が違うけど…

お姉さんも姫様そっくりだよね。」

ミシェル「…この子はカーバンクル。

きっと…ルーシェ姫の所に連れて行ってくれるわ。

…一緒に行く?」

ペコル「うん、行く行く!」


ペコルが加わった一行は、再びカーバンクルの導きで廃墟を進む。

やがて、一角の馬と有翼の馬の向かい合った石像を発見した。


ラグナ「これも…聖獣…?」

ミシェル「それなら、この剣で封印を…


きゃっ…⁉︎」


次の瞬間、ミシェルは鞭で捕らえられる。


ペコル「アイシスちゃん⁉︎

…と、ゼル兄様!」

シャールヴィ「アイツらは…!」


現れたのは、ウィザードのアイシスとゼルだった。


ペコル「その人達はあたしを助けてくれたんだよ⁉︎」

アイシス「…ごめんなさいね、聖獣を渡す訳にはいかないの…」

ゼル「私怨は無いが、悪く思うな。」


ゼルは剣を抜き、ゆっくり近付いて来る。

シャールヴィは緊張していた。

帝国によるアースガルド襲撃の際、シグルズに敗れはしたが、曲がりなりにもその連撃を受け切ったゼルの実力を見ていたからだ。


シャールヴィ「うおぉぉぉぉ‼︎」


焦燥、あるいは恐怖からか、無謀とも思える突進。

ゼルの頭上に、重い斧を巨人の腕力で振り下ろす…が、剣に捌かれ大地を割る。


シャールヴィ「あんな細い剣で、なんで⁉︎」

ゼル「この剣も私の腕力も、お前の一撃を受けるには脆弱だが、正面から受けずにほんの少し横の力を加えれば、軌道を逸らす事ぐらいは出来る。」


そう言うと、次はラグナを睨んだ。

ラグナはリーチを生かして距離を取ろうと槍を振るうが、ゼルは身体一つでかわし、数撃目に剣で払って一気に間合いを詰める。


「ぐっ!」


紙一重で致命傷は避けたが、片膝をつくラグナ。


ペコル「ゼル兄様、やめて‼︎」

アイシス「…ゼル…姫様が来るまで足止めをすればいいのよ…!

…殺す必要は無いわ…!」

ゼル「彼らが生きている限り、姫様の障害になり得る。

帝国の正義を成す為だ。」

ラグナ「…くっ…

ミ、ミシェルさんを…守らないと…」


その時、辺りに声が響いた。


「人間よ…

我らが主を守らんとする人間よ。

汝が欲するならば、力を貸そう。」


ゼル「誰だ⁉︎」


次の瞬間、ミシェルの剣が光を放ち、それに呼応するかのように2頭の馬の像に亀裂が走り、そこから光が漏れ出す。


ラグナ「…あの…石像…

聖獣の声?」


やがて像は砕け散って光の粒子となり、2頭の馬の姿が象られた。

その一方、一角の馬がアイシスに突進すると、アイシスは捕らえていたミシェルを放してそれをかわす。

一角獣は光の粒子となってカーバンクルに吸収された。


もう一方、有翼の馬がラグナを背に乗せて天に舞い上がると、ラグナが手に持つ槍の矛先が雷を帯びた。


ラグナ「こ、これは…⁉︎」

天馬「我が主に仇成す者に、裁きの鉄槌を下すがよい。」

ラグナ「よ…よし!」


ラグナが槍を振るうと、雷が放たれゼルを襲う。


ゼル「くっ…!

ならばこちらも相応の力で応えよう。」

アイシス「…やめなさい…‼︎

…聖獣はもう彼らの手に落ちた…私達は任務に失敗したのよ…!

…これ以上の交戦は無意味…!」


魔法を使うべく念じたゼルを、アイシスが制止する。


ゼル「チッ…

…勝負は預けておく。」

ペコル「ごめんね、みんな…」

アイシス「……」


かくしてウィザード達は撤退し、一行は一角獣ユニコーンと天馬ペガサスの力を得た。

その後、追いついたラン・リンとも合流。


リン「やっぱみんないた!」

ラン「何やら騒しいわ、光が見えるわで来てみたら…

みんな無事だったかい?」

ラグナ「はい、何とか…

お2人も無事で?」






両者は、互いにあった事を報告しあう。


ミシェル「人の魂で人工的にフォシルを…?」

シャールヴィ「許せねぇ…!」

ラグナ「…それもやっぱり父さんが絡んでるのか…?」

ラン「…まぁ…何はともあれ、目的は達成だね。」


会話に間が空くと、カーバンクルは再び何かに反応を示した。


リン「まだ何かあるのかな?」


一行の探索は続く…

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