魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

再会

アースガルド官邸から派遣された兵士を尾行し、旧グレゴリウス城跡に辿り着いたラグナとシャールヴィ。

兵士達は、以前ラグナが飛び立つ竜にしがみつき、落とされた崖から、あの森の建造物を監視している。


(あの塔に、あの人が来るのか?)


ラグナ達は、アースガルド兵に見つからぬよう森を抜けて、ミシェルと離別したあの塔を目指す。










一方その頃、カーバンクルに導かれたミシェル・ラン・リンが、その塔に辿り着いていた。


リン「あ"〜遠かった…

しかも結局戻って来ちゃったっていう…」

ラン「灯台下暗しってヤツ?」

ミシェル「ここに私の出自の秘密が…?」




塔の最上階には、祭壇に祀られた一振りの剣があった。

ランがその剣を手にしようとしたが、祭壇から動かす事は出来なかった。


ラン「やっぱりね…

グレゴリウスの王族だけが手にする事が出来る聖剣エクスカリバー…

ミシェル、あんたの出生を証明する物だよ。」


カーバンクルはミシェルを、この剣に導きたかった様だ。


ミシェル「この剣を手にする事が出来れば、私は帝国の姫…」


伸ばす手が震える。

その時…


「ミシェルさん‼︎」

呼び声に手を止め、振り返った視線の先に現れたのはラグナだった。


ミシェル「ラグナ君‼︎」

ラン「…よくここがわかったわね、坊や。」

ラグナ「…ミシェルさん…やっぱりミシェルさんが帝国の姫だったんですか…?」

ミシェル「…わからない…それを確かめる為に、ここに来たの。」


その時、カーバンクルが何かの気配に気づく。


「その剣に触れるな、下郎‼︎」

そう叫んだ近衛兵を伴って、現れたのはルーシェだった。


ラグナ「あ…貴方は…!」

リン「ミ…ミシェルちゃんが2人⁉︎」


カーバンクルですら混乱している様だ。


ルーシェ「また会いましたわね、ラグナ。

…そして、貴方がミシェル?

なるほど…確かに似ていますが、私こそがその剣の正当なる継承者でしてよ。」


近衛兵の1人が手をかざすと、一同は、見えない力に縛られたかの様に動けなくなった。


シャールヴィ「何だこれ⁉︎

身体が…動かない‼︎」

ラン「…⁉︎

姫以外の奴まで魔法の力を…⁉︎」


悠々と祭壇に近付き、聖剣を手に取るルーシェ。


ミシェル「…じゃあ…やっぱり私じゃなく、貴女が本当のお姫様…?」

ルーシェ「当然ですわ。

…用は済みました。

それでは皆さん、ご機嫌よう。」


聖剣を手に入れた帝国軍が立ち去って、しばらくすると、一同を縛り付けていた見えない力も解けた。


シャールヴィ「あ…動ける。」




「…帰ろう、ミシェルさん。


本当の姫は別に居たんだ。

もういいだろ?」

ラグナはそう言ってラン・リンを見た。


リン「…で、でも、ミシェルちゃんが剣を持てなかったって訳じゃないし、カーバンクルだって…」

ラン「…やめな、リン。」


そこへ、アースガルド兵が駆けつけた。

「全員動くな!


…ラグナ様?

何故このような所に…⁉︎」

ラン「やれやれ…とんだマヌケだね。」

リン「お姫様なら聖剣持って、もうどっか行っちゃったよ。」

兵士「何ッ⁉︎

テロリストの言う事など…」

ラグナ「…あの人達の言う通りです。」


ランは、アースガルド兵に囲まれた状況を判断し…と言うより、再びミシェルを連れ去る事が忍びなかった。


ラン「チッ…

ラグナ!

あんた、ちゃんとミシェルを守ってあげなよ!

でないと許さないからね!」

リン「え⁉︎…ちょっとランちゃん、いいの⁉︎」

ラン「行くよっ!」


そう言って2人は逃走した。

ラグナ達は、アースガルド兵に保護され、

帰国の途に着く。










アースガルド国にて…


兵士「ではラグナ様。

ミシェル様は、我々が責任を持って寮へお送りします。」

ラグナ「お願いします。


じゃあミシェルさん、明日アカデミーで。」

ミシェル「ええ、ありがとう、ラグナ君。」




自宅に帰れば、父・オーディンは大激怒しているだろうと思ったが、意外にも上機嫌だった。

「無事だったか、ラグナ。

例の友人を救出したそうだな。

お手柄じゃないか。

明日からは、ちゃんとアカデミーに行くんだぞ。」










翌日…

ミシェルはアカデミーに姿を現さなかった。






続く…

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