魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

東の果てにて

満天の星空の下を航海していると、東の方角に光が見えた。

近づくとそれは、七色の光を放つ塔の様だった。


ラグナ「何だろう?あれ…」


更に近づくと、光の方角から伝話鳥アルキュオネが飛んで来て喋り出す。

「我が名はルーシェ=アリッサ=グレゴリウス。

ヒノモトの地は、我がグレゴリウス帝国軍が、メタモルフより取り戻した。

革命後の世界に絶望した者ならば話を聞こう。」


口調は違えど、その声はやはりミシェルのものだった。


ラグナ「ミシェルさんなんですか⁉︎

僕です…ラグナ=ヴァルホルです‼︎」

ルーシェ「…ミシェルとは知らぬ名だが…

ヴァルホルとは、反逆者オーディンの縁者か?」


そう言うと突然、辺りの海水が凍り付き、船が動けなくなった。


エーギル「ひぃ‼︎

こ…これが王家の魔法?」


程なくして、帝国軍の船に取り囲まれる。


ラグナ「こ…この人は、僕がお願いして乗せて来てもらっただけなんです!

僕だけ連れて行って下さい!」

帝国兵「いいだろう。」


かくしてラグナは1人連行された。




女王の御前に通されるラグナ。

声が似ていたばかりではない。

髪型は違えど、容姿までもミシェルに似ていた。

傍らには同じ様に謎の小動物が寄り添うが、色が黒い。


ルーシェ「ラグナと言いましたわね?

ヴァルホル家の者が従者も連れず、何故このような場所に?」


意外にも穏やかな口調に、ラグナは緊張しつつも冷静に話す。


ラグナ「せ…先日、アカデミーの史跡見学で僕の…ゆ、友人がテロリストに拐われました。

それから間もなく声明を出された、あ…貴方の声が、拐われた友人の声にそっくりだったのです。」

ルーシェ「それがミシェルと言う者ですわね?

でも、あいにく別人ですわ。

何故、家の力に頼らずご自分で探しに?」

ラグナ「父さん…父には、忘れるよう言われました。

でも…」

ルーシェ「忘れられなかった?

よほどお大事ですのね?」


ラグナは顔が熱くなって、自分が赤面しているのが自分でわかった。


ルーシェ「貴方の身柄はすぐに帰して差し上げます。

船も待たせてありますわ。

下がってよろしい。」

ラグナ「…え?」


あっさり帰る事を許され、ラグナは目を丸くした。

それを意外に感じたのは、ラグナだけではなかった様だ。

ラグナが去った後、近衛兵の1人が言う。

「ザハーク様、あのまま帰してよろしかったのですか?」


近衛兵の長・ザハークが答えた。

「我々が事を起こさぬ限り、敵も動くべき大義名分が無い。

だが、ヴァルホル家の者に何かあれば、武力行使を正当化する理由を与える事になる。

今はまだ力を付ける時…戦端を開くには時期尚早だ。」




港でエーギルの船が待っていた。


エーギル「大丈夫だったか⁉︎」

ラグナ「はい。

ご迷惑をおかけしました。」

エーギル「いいって事よ。

とりあえず、さっさと戻ろう!」


ラグナ(あの人は、ミシェルさんじゃないんだろうか…?

だとしたら、ミシェルさんは今…)






続く…

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