魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

ドラゴンハンター

時を遡り…


ラグナを庇って死に際のクラーケンの触手に捕らわれ、海に引きずり込まれたシグルズ。

だが、大剣で触手を切断し、頭部にとどめの一撃を食らわせて窮地を脱していた。

「ふぅ…流石の俺様も焦ったぜ…

それよりラグナは大丈夫だろうな…?」




どこかの海岸に流れ着いたシグルズ。

とりあえず周辺を探索してみる。

「一体どこだよ?ここは…」


程無くして同じ景色の場所に辿り着く。

どうやら小さな島を一周した様だ。

「やれやれ、無人島か…

戦時中以来の野宿になるな。」




探索する事、数日…

猫科猛獣のメタモルフ・キマイラに幼女が襲われている所に出くわした。

「おいおい、なんだってこんな所にあんなガキが1人で?」


当然助け出したのだが、幼女の表情には

恐怖の色が無いどころか、余裕さえ伺えた。

「(どう言う神経してやがる?)

おい、こんな所にガキが1人でいたら危ねぇぜ。」


幼女は一瞬、シグルズを知っているような顔をした。

「汝は…

いや…感謝しよう。」

シグルズ「…?

お前、どこから来たんだ?」

幼女「汝こそ、このような所で何をしておるのだ?」

シグルズ「連れと一緒にヒノモト目指してたんだが、海に投げ出されてな…」

幼女「ヒノモトに行って何とする?」

シグルズ「連れは拐われた女を助けに…

俺はドラゴンってやつと戦う為に、手掛かりを探してたんだ。」


それを聞いた幼女は、少し考えると言った。

「…面白い。

我と共に来れば汝の望み、叶うやもしれぬ。

我も竜を探しておる。」

シグルズ「お前がドラゴンに何の用だよ?

危ねぇよ。」

幼女「然り…故に我が守護者となるがいい。

我が名はメリュジーヌ。」

シグルズ「保護者の間違いじゃねぇの?

俺はシグルズだ。

つーか質問に答えてねぇし…

上から目線だし…

妙な言葉遣いだし…

何なの?このガキ。」




密林の中を先頭切って、幼女らしからぬハイペースで、するすると進むメリュジーヌ。

「ちゃんとついて来とるか?

若造。」

シグルズ「若造って…そりゃ皮肉か?」




しばらく進むと洞窟があった。

臆する事なく入って行くメリュジーヌ。


シグルズ「ちょ…待てよ!

…ったく、土地勘があるのか無謀なだけなのか?

迷わず入って行きやがる。」




洞窟の奥には、薄っすら光を放つ鉱石が有った。


メリュジーヌ「忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…

その戒めを今、解き放たん。」


そう言うと、手に持っていた杖をかざした。

すると、鉱石はその輝きを強め、辺りに地鳴りが響く。


メリュジーヌ「さあ、シグルズ。

望み通り存分に戦うが良いぞ。」

シグルズ「どう言う事だよ?」


鉱石は砕け散って光の粒子となり、ドラゴンの姿を形作った。

以前戦ったものとは多少姿も違う様だ。

竜が口を開く。

「我はファーブニル。

我が戒めを解き放てし眷族よ…

汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」

シグルズ「…ハハハッ…マジかよ?

喋りやがった…やっぱメタモルフとは違うな…

会いたかったぜぇ‼︎」


シグルズは大剣を抜いた。

吹きつける炎の息吹を、剣を振る風圧で斬り払う。

以前と違い、殺す事も厭わない意志がはっきり伝わった。


シグルズ「そうだよ…戦いってのは、そうこなくっちゃなぁ‼︎」


シグルズが戦っている傍らで、メリュジーヌが呟く。

「どれ、人任せにばかりも出来ぬな。


盟約に従い受け継ぎし力と、其を振るうに相応しき姿を、今、解き放たん…」


すると幼女の姿が、光を放ちながら変わっていった。


シグルズ「お、お前…あの時の⁉︎」


そう、以前グレゴリウス城で戦ったものと同じドラゴンの姿になったのだ。


「さあ、共にあれを屠ろうぞ。」

そう言うと、もう一匹の竜・ファーブニルへと攻撃を始めた。

共闘の末に打ち勝つと、ファーブニルは言った。

「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」


ファーブニルは砕け散って無数の光の粒子

となり、幼女の姿に戻ったメリュジーヌに集まって吸収された。


シグルズ「…お前…一体…?」

メリュジーヌ「…我は人の姿に擬態する事で現世に生き残った、竜の末裔じゃ。

古代文明アグエルに封印された我が眷族の魂を解き放ち、その力を受け継いでおる。


…汝、我を手伝わぬか?

思う存分、竜と戦えようぞ。」


驚きを徐々に飲み込みつつ答えた。


シグルズ「そいつぁ面白そうだが…

お前、ミシェルって子を拐った連中の仲間なんだろ?」

メリュジーヌ「…左様。

共に来るなら、我らが真意を教えてやろう。」

シグルズ「順番が逆だろ?

聞いてから考える。」

メリュジーヌ「…よかろう。」


そうは言ったが、シグルズの腹積もりは、半ば以上決まっていた。






続く…

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