魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

巨人の末裔

ヨトゥンヘイム…


革命後、独立した国家の一つ。

グレゴリウス帝国が世界を統一した時代は巨人の国だったらしいが、1000年の時を経た今では退化し、普通の人間より若干体躯に恵まれている程度である。

革命戦でシグルズやオーディンと共に戦ったソール=ビルスキルニルが、その功績により議長を務める。




ヨトゥンヘイムへ向かうラグナとシグルズ。

近づくにつれ遭遇するメタモルフも、人間を元とするゾンビに加え、トロルと呼ばれる、圧倒的な腕力を持つ巨人のメタモルフへと変わって行く。

シグルズが居なければ、見習い騎士のラグナには厳しい旅路であっただろう。

しかし、巨人とてシグルズの敵ではない。




ヨトゥンヘイム国に辿り着き、港の船乗りを当たるが、メタモルフに滅ぼされたヒノモト国になど、行くような船は無かった。


シグルズ「やっぱ定期船の類じゃ無理だよな…

ソールのおやっさんにツテがないか聞いてみるか。」

ラグナ「父さん達と一緒に革命戦を戦ったって言う、この国の議長…?」




シグルズ「おやっさん、居るかい?」


ビルスキルニル邸に辿り着くと、少年が出迎えた。


「久しぶり、シグルズ!

爺ちゃんなら居ないよ。」

シグルズ「よう、シャールヴィ!

でっかくなったな!

ロスクヴァも元気か?」


シャールヴィの後ろに隠れていた妹が、ひょっこり顔を出す。


ロスクヴァ「おじちゃん、こんにちは!」

シグルズ「…おじちゃんはよせ。

こっちの兄ちゃんにも挨拶しな。」

ロスクヴァ「…こんにちは。」

シャールヴィ「オイラはシャールヴィ。

こっちは妹のロスクヴァ。

よろしくな!」

ラグナ「僕はラグナ。よろしく。」

シャールヴィ「爺ちゃんは会議だってさ。」

シグルズ「そう言やオーディンの野郎も、ンな事言ってやがったな。」

シャールヴィ「爺ちゃんに何の用だい?」


シャールヴィの問いかけに、シグルズはニヤリとした。


シグルズ「実はこのラグナ君が、同じアカデミーのミシェルって子にホの字でよぅ…」

ラグナ「ちょッ…シグルズさん!」


ラグナは赤面して遮るが、シャールヴィは興味津々だ。


シャールヴィ「ほぅほぅ…それで?」

ロスクヴァ「ほぅほぅ…それで?」


妹まで真似して聞いてくる。


シグルズ「ところが、その愛しいミシェルちゃんが、日本刀を使う謎の女に拐われちまったんだ。

それで、ヒノモト国に渡る船を探そうって訳さ。」

シャールヴィ「そう言う事かぁ…

それなら漁師のエーギルおじさんに頼んでみようか?

案内してやるよ。」

ロスクヴァ「あたしも行く!」

シャールヴィ「ダメ!

お前は婆ちゃんと留守番だ。

怖〜いメタモルフも出るからな。」

ロスクヴァ「えぇ〜…」


頰を膨らませたロスクヴァを尻目に、3人はエーギルの元を目指す。




道中、やはりメタモルフの襲撃を受けるが、シャールヴィは少年とは言え巨人の末裔。

ソール直伝のパワフルな斧捌きで活躍を見せる。




漁師のエーギルは、街から離れた海岸沿いに住んでいた。


シャールヴィ「エーギルおじさん、こんちわ!

…って、ずいぶん痩せたね。」

エーギル「おぉ、シャールヴィ。

漁場にメタモルフが住みついてな…

追い払っても追い払っても漁場を荒らしに来て、仕事にならんのだ。

仕事が出来なきゃ飯にもありつけん。」


シグルズは、チャンスとばかりに申し出た。

「それならこの俺、シグルズ様がそのメタモルフを始末してやるよ。

その代わり、俺達をヒノモト国まで連れて行ってくれねぇか?」

エーギル「見た顔だと思ったら旦那、革命戦の英雄シグルズか。

奴を始末してくれるならお安い御用だ。」

ラグナ「よろしくお願いします!」




船上でエーギルが尋ねる。

「しかし、ヒノモト国なんぞに何の用だ?

もはや廃墟だろうに…」

シャールヴィ「このラグナ兄ちゃんが、愛しのミシェルちゃんに会いたいんだってさ。」

ラグナ「シ…シャールヴィ!」


赤面して語気を強める。


シグルズ「日本刀を使う女剣士に拐われちまったんだとさ。」

エーギル「日本刀とは珍しい…

それでヒノモト国と言う訳か。

さぞかし心配だろう…」




話の最中、突然海が荒れ出し、頭足類のメタモルフ・クラーケンが現れた。

3人で撃退するが、死に際に最期の力でラグナに触手を伸ばす。


「危ねぇ‼︎」

ラグナを庇ってシグルズが触手に捕らえられた。


ラグナ「シグルズさん‼︎」

シグルズ「俺様は心配いらねぇ‼︎

それより、絶対に1人で無茶すんじゃねぇぞ‼︎」

シャールヴィ「おじさん、何とかなんないの⁉︎」

エーギル「この波じゃ無理だ‼︎

巻き添え食って全滅だぞ‼︎」

ラグナ「シグルズさーーん‼︎」




波が収まると共にメタモルフの気配は消えた。

シグルズと共に…




シャールヴィ「…ラグナ兄ちゃん、どうする?」

ラグナ「…

…シグルズさんならきっと大丈夫だ。


エーギルさん!

僕をヒノモトまで連れて行って下さい!」

エーギル「そりゃ構わねぇが、シグルズの旦那にも言われたろ?

大丈夫なのか?」

シャールヴィ「じゃあ、オイラがついてってやるよ。」

ラグナ「いや、これ以上君を巻き込む訳にはいかない。

それに君は、お爺さんが留守の家と妹を守るんだ。」

シャールヴィ「でも…」

ラグナ「大丈夫さ!

僕も…

シグルズさんも…!」






続く…

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