魔導姫戦記

ウロボロス団
@ouroboros_dan

帝国再興 〜 旅立ち

「我が祖国が築いた安定と秩序を破壊せし反逆者達に告ぐ!


お前達が、浅ましき欲望に駆られ起こした争いによって、多くの人々が命を失い、残された民も悲しみと貧困に苦しんでいる!


更に今、人々を脅やかしているメタモルフも、我らが王家の治世には存在しなかった!

何故ならこれは、王族にのみ許されし魔法の力を、選ばれざる者が使う事への、神の怒りだからである!


戦災と奇病によって、哀しき宿命を背負わされた同志達と共に、私は今立ち上がる!

死者の無念を晴らし、安息なる世界を取り戻す為に!」


グレゴリウス帝国の戦線布告とも取れる声明に、世界に緊張が走った。










ヴァルホル邸にて、オーディンに事件当時の状況を説明するラグナとシグルズ。


オーディン「…なるほど。

テロリストの狙いは、孤児の中から王家の末裔を探し出す事だった様だな。」

ラグナ「でも、ミシェルさんがあんな事言うなんて…

それにあの2人組も、そんなに悪い人達とは…」

オーディン「己の出自を知れば、復讐心にも駆られよう。

それに、テロリストの言う事など、何一つ信用できん。

竜とやらが現存すると言う話も…

我が国の兵に別のテロリストが紛れていると言う事もな。」


黙って聞いていたシグルズが口を開く。

「テロリストがどんな奴らかは知らねぇが、あれがメタモルフじゃねぇって事には合点がいった。

どっちにしろ、次会ったらケリつけてやるがな。」

オーディン「いや。

テロリストの捜索には別の者を派遣する。」

シグルズ「…は?ふざけんなよ。

俺以外の奴があれに勝てるワケねぇだろ?」

オーディン「もう決まった事だ。

私は各国の議長と会議があるので失礼する。」

シグルズ「あ!てめ、コラ逃げんな!」

オーディン「私はお前の様に暇ではないのだ。

あぁ、それとラグナ。

彼女の事は忘れて、今まで通りアカデミーに通いなさい。」


そう言い残してオーディンは立ち去った。


ラグナ「…あの、シグルズさん。」

シグルズ「どうした?」


シグルズは、ラグナが何を言いたいのか察しがついていた。

…が、見込み違いだったか?


ラグナ「…いえ。

…何でもありません。」

シグルズ「…そうか。

…パパの言う事ちゃんと聞けよ。

じゃあな、坊ちゃん。」


シグルズは皮肉を込めて言い、ヴァルホル邸を後にした。




「…父さん、ごめん。

僕は…初めて、あなたの言葉に逆らいます。」


ラグナは独りそう呟くと、シグルズを追って走り出した。

「シグルズさん!」


シグルズはニヤリとする。

見込み違いではなかった様だ。

「どうした?坊ちゃん。」

ラグナ「…僕は…ミシェルさんに会いたい!

会って、本当の事を確かめたい!」

シグルズ「俺はあのドラゴンとやらと、もう一度戦いたい。

これで利害が一致するな。

行こうぜ、ラグナ!」

ラグナ「‼︎

…は、はいッ‼︎」


シグルズが自分の事を "坊ちゃん" ではなく、初めて名前で呼んだ事が、ラグナは嬉しかった。




シグルズ「まずは手掛かりだな。」

ラグナ「…そう言えば、2人組の内の1人が、見た事無い剣を使っていました。

細身で緩く反った片刃の、綺麗な剣でした。」

シグルズ「…そりゃ、日本刀かもな。」

ラグナ「ニホントウ?」

シグルズ「ヒノモト国の戦士 "サムライ" が使っていた剣だ。」

ラグナ「ヒノモト国って軍が無かったんじゃ…?

それで独立して間も無く、メタモルフに抵抗できず滅んだって…」

シグルズ「サムライが滅んだのは、それよりずっと大昔…

1000年前のグレゴリウス帝国が世界統一した頃だからな。

とりあえず行ってみるか、ヒノモト国。」




ヒノモト国は、東の果てにある島国である。

当然、海を渡る必要がある。

まずは、内陸国であるアースガルド国を旅立ち、隣国ヨトゥンヘイムから海を渡りヒノモト国を目指す。





続く…

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