迷い道 SSまとめ

沙羅/和葉@年1ディズニー
@aobiyori_sara

加宮班 SS 「加宮班急襲される」


 改組だけを狙う、少数人数の人斬り集団が現れた。という情報が加宮班に入って来たのは昨日の事だった。

 昨日の今日だし、いきなり襲われる事はないでしょう。

 そうですよねー。

 たぶんな。

 きっと、おそらく。

 そんな風に呑気な会話を蕎麦屋で繰り広げていたのが、丁度一刻前。

 目前に迫る敵の身体に、班長の加宮融(かみやとおる)は右足を上げて突きだし、鳩尾に前蹴りをくらわす。

 敵は情けない姿で地面を転がり、仲間の足元で停止した。

 鳩尾が痛むのだろう。身を丸めて、口から泡を吹きそうな表情をしている。

 仲間が一人潰された事により、敵の方から怖じ気と怒りがない交ぜになった空気が漂う。

 残る相手は四人。こちらも四人。

 己が抱える作戦係の雉組、道左助(みちさすけ)に加宮は視線を向けた。

「さーて、今日はどうしましょうかね。腹も満たされているし」

 それは、大暴れしたら胃の中の物も暴れだすと言いたいのか。それとも、満たされている事により、今すぐにでも戦が出来るという意味だろうか。

 含みのある笑みを浮かべる雉の男に、加宮は「自由に考えていいぞ」と助言する。

 この男の考える戦術は、どういう状況であっても面白い。

 男二人の間に割って入って来たのは、幼い顔立ちをした、一見少年に見える女だった。

 名を、橘要(たちばなかなめ)。加宮班で情報収集や、潜入などといった影の役割を任されている申組。男装の齡十七の女の子。

 華奢な身体ではあるが、その身軽さと動きの早さ。本人の熱意を評価して、班員に選んだ。

「一対一ですかね!」

 袴姿の女は、自分の脇差(あいぼう)に手を伸ばす。

「そうなると、班長は今潰したから、一回休みで戦闘無しね」

 袴姿の女に続いて、丹色の髪を旋毛の辺りで縛る女が口を開く。

 すでに自分の打刀を抜き、利き腕の肩を峰で叩いている。

 芳野小灯(よしのさと)は、加宮班の狗組。班の作戦では、芳野を基準にする事が多い。

「班長の代わりに……私が斬ってやろうじゃないの」

 目を細め、視線を鋭くする。

 立ち上ぼりだした闘気に、加宮は息を吐いた。

 芳野は、女でありながら班の斬り込み隊長だ。

 加宮班はどういうわけか、男よりも女の方が先陣に立つ。

 そして、べらぼうに(気が)強い。

「あ、ずるいです!小灯さん!班長の分は俺が行きます!」

「芳野、橘。私を勝手に休みにするな」

「班長は休んでてください!」

「でもなあ……」

「まあまあ、班長。要の言う通りですよ。最近、風邪引いた小姫ちゃんの看病で徹夜続きだった事ですし、大人しく下がってください。よーし、今日は班長無しのやつで行ってみるか」

 パンと胸の前で両手を合わせて、左助は宣言する。

 芳野と橘もそれに乗り、三人で何やら話しはじめた。

 一人弾かれた班長は、仕方なく一歩下がる。

 こうなっては、もう好きにやらせるしかないだろう。

 久しぶりに、部下のお手並みを拝見させて貰おうじゃないか。

 加宮班を結成した頃を思い出しつつ、加宮は部下の背中を眺めた。

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