からくり世界と銀鼠

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@AraPerfu_pink

#4 - 械姫編 -





たった今生まれたんだよ。


生まれたんだよ。


生まれた……生まれた……





脳内でエコーがかったそのセリフが、何度も何度も再生される。






その一つ一つに、私は首を振った。



嘘だ。

だって私、さっきまで女子高生だったし。


JKだよ???華のJK。



みっじか〜〜いスカート履いて、

授業だるいなとかなんとか言って屋上でそれなりの青春を満喫して。



キラキラとまではいかなくても、みずみずしいJK生活を送っていたはず。






っていうかそんなことは抜きにしても、寧ろさっき死にかけたんだ。


死んでるってことは有り得ても、今生まれたってことは有りえない筈だ。








…と、ここまで考えて私は二つの可能性に気づいた。











一つ。


これは夢である。




屋上から落ちて、私は昏睡状態に陥った。


昏睡状態…そういう状態の時に人が夢を見るのか、私にはよくわからないけど。

とにかく、現実味がない。したがって夢である。









もう一つ。


私は別の個体として生き返った。



これである。




屋上から落ちて、私は死んでしまった。


だけど生き返った。




…だとしたら、あれ?


私なんで死んだ時と同じくらいの姿形なんだろう。










そうだ。



制服こそ着てないけど、


手足の長さも、髪の長さも、


その〜〜〜、、おっぱいの大きさも?





さっきまでと変わらない。JKサイズだ。


つまり、赤ちゃんじゃない。










でも、目の前の男性は「たった今生まれた」と言った。



人が、最初からこんなサイズで生まれてくるはずがない。


やっぱり夢だ。







この世には、夢であると自覚して見る夢もあるっていうし。


…今まで見たことなかったけど。



もしかしたらこれは、私にとって初めての「そういう」夢なのかも。









だとしたら、私はどう振る舞うのが正解なのかな?



この人に「これは私の夢なんです」なんて指摘をしたら、どうなるのかしら。




例えば「夢だとわかってしまったのなら仕方ない」…とかなんだとか言って、

あっという間に夢が醒めてしまうのかもしれない。




そしたら、現実の私の状況がわかる。昏睡状態から抜けられる。


あ〜〜〜、でも、すっごい傷だっただろうな。

体麻痺して動かなくなってるとか有り得るな。

それはちょっと怖いかも。


…どうしよう??









そんなことをグダグダと考えてると、男性は口を開いた。









「まあ僕は、ボーグのことを人間だと思って接するタイプの管理官だからいいけど、」





あらま、意外とあなた様、僕キャラなんですね。





「人間としての誇りがやたら高い管理官もいるから、あんまり『生きている』とか言わないで」










私は更に混乱した。





…????



ボーグ????


人間としての誇り……???







そんな混乱の中で、頭をフル回転させる。


まあ、さっきからほとんどフル回転なんだけど。




やたら上から目線のこの男。管理官だと名乗った。


ボーグという言葉。文脈からして某ファッション誌ではない。


人間としての誇り…人間として…


生きているとか言わないで……









点と点が、線でつながったような感覚がした。












「生まれる」。



それは確かに、人間を含む動物、生物の命が文字通り誕生した時に使う。



だけどそれとは別に、我々は無機物に対してもこの単語を使うじゃないか。






ほにゃらら年に、最初のコンピュータが生まれました、とか。


なんとか年に、初めてカップヌードルが誕生しました、とか。




そんな大したものじゃなくても、


アイデアが生まれるとか、試作品が生まれるとか、そういう言葉はナチュラルに使う。


何も「命」に限らない。






そう、命に限らないんだ。










私はそれに気づいて、少し体が軽くなった。


もはやこれが夢なのかどうかという思考はどっかへ飛んでいた。












”自分が人ではない。”


その事実が、あまりにも衝撃的だったから。