からくり世界と銀鼠

かるぼなーら⊿ 妄想垢 logout
@AraPerfu_pink

#3 - 械姫編 -





気づいたら私は、透明な容器の中にいた。




透明な容器、というとまるでペットボトルとかガラスケースとか、そういう類のものを想像されてしまうかもしれないけど、



少なくともこれは、そのどちらでもなかった。




ペットボトルよりもっと巨大。

材質はガラスぐらい硬いだろうけど…

でもガラスケースやペットボトルと違って

入ってるのは私と、謎の液体、そして、



…数々のコード。







でも今の私にとって、この容器の材質だとか

自分に繋がれているコード類の意味とか

液体の中にいるのに溺れていない理由とか



そんなことはどうでもよかった。









ここはどこだ。


っていうか、私、生きてたの???








…頭を占めていたのは、これだけ。











「あっ、起動したね」







急に、声が聞こえる。


うっすらと。



どうやら、私を包むこの液体とガラスの密度が濃いようで、


つまり防音性が割と高いようで、ちょっと篭ったような声に聞こえたけど、




でもはっきりとわかった。


人の声だ。







よく見ると、液体越しに人っぽい形が見える。



更によ〜〜くよく見てみると、結構濃い顔の、男の人っぽい。











まあとりあえず人だとわかったところで、私は手を伸ばしてガラスを叩いた。




なんでもいいから出してくれ。


状況はそのあと確認しよう。










…だけど、できなかった。



伸ばしたと思ったはずの手は、伸びてなかった。


ガラスなんてたどり着きそうもなかった。





というか、手は全く動いてなかった。

ビクともしてなかったのだ。






えっ、なんで?


何度動かそうとしても、全然動かない。

一ミリも動かない。







私が苦渋の表情を見せたからか、

男は何かを言って、私の横にある機械らしきものをいじった。


途端に、周りの液体が下の排水溝らしき場所から排出されていく。





それを見ながら気づいた。


そうか、これ液体だったんじゃなくて、ゼリー状のものだったんだ。





見た目はすっごい液体っぽい。なんなら流れも見えた。


だけど本当はゼリー状で、つまり固体だった。

そりゃあ私の腕、すんごい圧力かかって動けなくもなりますわ。







事実、周りがすっからかんになった私は動けるようになった。


さっきまで叩けないと思っていたガラスもほら、

触れられる。冷たくて気持ちいい。








「…降りようか」






左側から声が聞こえた。さっきの男の人だ。


視界が明瞭になった今見ると…

うわあ、めちゃ美人さんやないか〜〜〜、、





一言で言うと、かっこいい。ていうか、濃ゆい。



お声もかっこいいですなあ。









第一印象はそんな感じだった。


怖いとも、優しいとも思わなかった。


ただ、濃い。美人。そんな特徴だけが印象に残った。










「あの、私生きているのでしょうか…?」






だから私がこの時発した第一声は、別に

「ど、どうか教えてくださいませ…!」みたいなことでも

「この人なら教えてくれるかも…!」みたいなことでもなく、

純粋な疑問だったのだけど、










「え???」





目の前の人は困惑した。


そしてこう言った。















「君は…たった今生まれたんだよ」













今度は、私が困惑する番だった。





「はあ…?」









…今思うと、ものすごく失礼な反応だったと思う。