第十五回十二大戦

ふぇいろ@ミスタ推し
@feilo_r

第六戦、蛇足

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ここで一旦整理するとしよう。


現在同率一位が四人__『熊』の首を圧し折った『鳳凰』、ふたつ。『海豚』の右腹部を掻っ捌いた『刺身包丁』、ふたつ。『亀』の首を胴体と別れさせた『渾沌』、ふたつ。あと一人は__確か一番最初に『獏』と相見えた『蜂』__ではなく、止めをさした『時計』である。即ち後の四名は同率二位となる。



「蛇遣いの戦犯__『恨んで殺す』カース・サーペント」


前言撤回しよう__たった今、順位が入れ替わった。『海豚』を殺した『刺身包丁』の首__即ち動脈を、本来医者が治療に扱うはずのメスで切り裂いた。何処からともなく音もなく現れ挙句の果てに呆気なく首筋を切られ『刺身包丁』の首からは案の定赤黒い鮮血が宙に吹き出す。__まるで、先刻殺された『海豚』の敵をとったように。「……」と、カースは今己が殺した元戦士の亡骸を見下すように見ていた。そして当然の如く、腹にメスを入れる。そうすれば自然とお目当てのどす黒い宝石は手に入った。そしてもちろん、『刺身包丁』が持っていたまだ生温かいもうひとつの宝石も。この瞬間__現在一位は『蛇遣い』、みっつ。同率二位が『鳳凰』『渾沌』『時計』、ふたつ。同率三位が『蚣』『蜂』『鹿』、ひとつ。「……はぁ」深いため息をつくと、カースは目線を百八十度回転させ、背後で横たわっている『海豚』に目をやる。こんなことをして、他の戦士や戦犯からどんな目で見られるか__大量殺戮の罪を課せられた自分に似合わない__自分が優勝して生き残る確率が__そんなことは百も承知だった。しかし、やらずにはいられなかった。それはカースの中にあるどの感情なのかは分からない、しかしカースは、やってしまった。


死者蘇生を。


傍から見れば、気色悪い行為である。誰も好んで蛇に接吻はしない__カースは蛇をこよなく愛していた、蛇を妻と呼ぶ程だ。静まり返ったゴーストタウンに、唾液が絡み合う音が響く。用は済んだのか__今度はその蛇に死体を噛ませる。これぞカースの能力『死者蘇生』の発動条件である。最悪頭と胴体、片手片足が残ってさえいれば死者蘇生は行える。『海豚』は右腹部を切り裂かれたに過ぎないので、朝飯前だ。そして__カースが先程“情けない”と言った元戦犯__『海豚』ことドール・アミティは「__カース」徹夜明けの朝のように、目を醒ました。


「よお、さっきのお前ダサかった」

「悲しいねえ。そういうことは言わない約束だろ?」

「生き返らせてやったんだ、感謝しろ馬鹿」


『海豚』が絶命した際、カースが一筋の涙を流したのは、彼の妻__正しくは蛇なのだが、ジャロメだけが知っている。


(〇蛇使い座_刺身包丁●)

(いるか座、獣石非所持兼十二大戦再参加)__第六戦、終。





刺身包丁の戦士『何となく殺す』柳


本名・柳刃翔。生年月日不明。左目が潰れている日本男児という言葉が良く似合う武骨な戦士。武器の柳刃包丁は「紅葉」と「銀杏」風を操る能力「風神」を持つ。以外にも細身で現代で言う所のサバサバ系男子。言いたいことははっきり言うタイプの人間で、自分に厳しく他人に厳しく。料理の腕は折り紙つきで特に和食作りに定評がある。お気に入りの包丁は毎日研いでいる。力が意外にも強く、よくペットボトルを握り潰して濡れてしまうらしい。ゴキブリと意味の分からない名前の洋菓子が大の苦手。口癖は「日本男児たるものこれくらい出来なくてどうする」弟を亡くしている。



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