不老の時計は鳳凰に酔いしれる

ふぇいろ@ミスタ推し
@feilo_r

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「 お姉さん強いんだねぇ。」

「 手前、弱者になったつもりは無い。」


まるで時計の針を連想させるかのような形を成した針を、

敵である整った顔立ちの男性に投げつけるも、

全てかわされ彼の力量を判断したまだあどけなさの残る青年。

「 俺っちさぁ、つよーい人には名乗るって決めてるの。」

怪しく、尚且つ幸福そうに彼は嗤う。



「 時計座の戦犯、『何度も繰り返し殺す』弐重死!」

「 鳳凰の戦士、『叶えて殺す』夢魅鳥。」



まるで新しい玩具を買って貰った子供のような目で鳳凰を見る。

それを鳳凰はただ黙って見つめる。

「 ふんふん…お姉さん俺っちとおーんなじ匂いがするねぇ。

もしかしてぇ、……不老不死、とか?どー?当たってる?」

「 手前、その通りです時計座の戦犯。」

「 他人行儀だなぁ、名前で呼んでよ。」


いたずらを隠し通そうとする子供のようだと鳳凰は認識する。

彼は一応何千年と生きている、それは鳳凰も同じだ。

だが彼には年相応といった言葉が全くと言っていいほど似合わない。


「 俺っちはね、お姉さんみたいな人を探してたんだよ。」

「 ……何が仰りたいか。」



「 俺っちにはどうしても欲しいものがある…!

俺っちの願いは…『確かな死が欲しい』!」



天を仰ぐように両腕をバッと広げる。

何故不老不死にも関わらず死を望むのかと

鳳凰は推測を始めるも、本人の口から答えは出たのであった。


「 お姉さんなら分かるでしょう…?この終わりのない人生…。

くっだらない愚図共と一緒に居続けるなんてごめんだねぇ。

使えないと分かれば直ぐ捨てるし

俺っちの能力を悪用しようと善人のフリをして近づく奴ら…。

もうめんどくさにんだよぉ。」


「 ……ならば自決という手段はないのか。」


「 はぁ!?お姉さんも馬鹿だなぁ。

自ら望んで死ぬなんて一番格好悪いだろぉ!?

俺っちはねぇ、俺っちの人生において、

必然で当然で定められた死が欲しいんだよぉ!!

お姉さんは強いんでしょう!?

だったら俺っちを殺してみてくれよぉ!!」


ネジの外れてしまった錻力玩具のように嗤う彼に、

鳳凰は軽蔑どころか親近感を覚えていた。


「 ……分からんでもないぞ貴殿の意図は。」

「 ……は、」


時計は一羽の鳳凰に惑わされ始めたのだ。

まるで、大きな時計塔に鳳凰が挟まってしまったかのように。


「 手前は此れまで多くの者の願いを叶えてきたのだ。

それが手前、鳳凰の戦士、夢魅鳥の役目だからと、何千年と。」


「 死に際に願うことは大体は決まっている。

遺族を幸せにして欲しい、自分のことを世の記憶から抹消して欲しい。

誰かの為を想い願う者も居ったが、

蘇生を頼む者、多大な財産を欲する者、

中には交尾を要求する者も居った。」


それは、何千年と生きてきた二人にしか分からなかった。

だから、鳳凰は時計に共感を得た。


「 疲れた、何故手前は死なないのだろう、

幾度も考えたのだ、貴殿と、同じなのだ、手前も。」


「 ……へぇ、意外だなぁ…。

お姉さんはそういう事を考えなさそうな顔してたから。」

「 手前も生きている身…、当然。

だが、今の手前は死にたいとは思わん。

同じ境遇を持つ、同じ思考を持つ同士とやらを見つけたのでな。」

「 !? 」


ギギギと、針は身重そうに時間を進める。

それを、一羽の鳳凰が無意識に遮る。


「 お、俺っちを混乱させるつもり!?

そ、そうはいかないからね!

こんなことで俺っちは騙されないよ!

そ、それに俺っちはお姉さんをこ、殺しに来たんだし…。」


敵意なく微笑む鳳凰の戦士に、

時計座の戦犯はうっと後ずさりした。

「 ……う、あああああもう!やめたやめた!

俺っちお姉さんと戦うのやーめた!」

「 貴殿は逃げるのか?」

「 違います~!……お姉さんは殺すのに勿体ないの!」


ぺろりと綺麗な舌を出す。

「 俺っち、お姉さんになら殺されてもいいかもなぁ。

ねえ、いつか俺っちを殺してよ。鳳凰の戦士、夢魅鳥。」

「 嗚呼、貴殿の死にたいという願い、手前が叶えよう。

時計座の戦犯、弐重死。」


子供は満足気に空へ跳ねた。

「 ばいばーい!夢魅のお姉さん!」

「 また何処で、弐重死。」


時計は、正常に作動し始めるも、

鳳凰というパーツを欲するようになったのだ。


そして鳳凰は考えていた。

「 手前、男なのだがな…。」





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