シュレディンガーの猫

📚🐓マデ子。🐓📚
@akaikiseki

序幕・落とし猫

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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誰か、名前を呼んだ気がした。


「___、___」


聞こえないよ。


「…____、______」


だから聞こえない…。


「……………」


何で聞こえない?

どうして?


彼女はそっと目を開く。

そこは漆黒の闇。

虚無に近い闇。

でもどこか暖かくて懐かしい

気持ちにもなる。

そして彼女は一つのことを思い出し、

そして忘れていった。


次に目を覚ましたのは

全く知らない街中だった。


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___ヨコハマ、とある公園内


中島敦は頭を抱えていた。

「ぼ、僕は…僕は何てことを…」

その顔は真っ青に染まり、

冷や汗の量は尋常ではなかった。

そんな彼の目の前にあるのは……


無残に崩れ落ちているクレープの塊だった。

「ああああっーー!!!」

敦は叫ぶ。

実はこれ、自分が食べる為のものではなく

最近仕事を頑張る鏡花の為にお土産で

買って帰ろうとしたものだった。

そう、なけなしの自身の金で。

「ぁぁぁぁ〜…」

打ち拉がれる敦。

さよなら、自分の手持ち金、

さよなら、鏡花ちゃんの笑顔。

色んなことに落ち込みかけていると

何処からともなくため息を吐く声がする


ふっと敦が振り向くと、

少し離れたベンチで一人、

少女が何やら膝に乗せながら

下を向いていた。


(あれ…もしかして、今の叫び、

……聞かれた?)

中島敦、凍りつく。

平日の昼間の為、公園には人は少ない。

そんな状況とそうも言ってられない

目の前の惨状で情けない声を出した

自身だが、まさかのこんな近くで

いまさっきの悲痛な叫びを聞かれたのか

となると、途端に身体中が熱くなる程の

羞恥心が溢れる。


すると、少女が顔を上げた。

ピタリ、と目が合う。

敦、さらに凍りつく。

しまった、物凄い恥ずかしい姿を

完全に見られた。と悟る。

キョトン、とした顔の少女は

おもむろにジャケットの中を

漁り出したかと思うと、何かを取り出し

何という事か、敦の元へ駆け寄ってきた。

(こっちきたー!!!!)

敦がビビる中、近づいてきた彼女は

スッとハンカチを差し出す。

そして一言、

「大丈夫?」

と言うのであった。

中島敦がこの蒼色の瞳の少女と出会う

とある日の出来事であった。


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