文スト、短編集(?)

🍋檸檬🍋
@melo_rin_lemo

研究目標

「ねぇねぇ!!どうしてアナタは、カジイと付き合ったのー?」

「ぶばっ!な、何をおっしゃるんですか!?」

エリス嬢のとんでもない質問に驚き、飲んでた紅茶を思わず吹き出す。

「だって、みんな噂してるのよ?アナタはカジイのカノジョだって!リンタロウが寂しそうに教えてくれたの!」

ど、首領んんんんん!!!!寂しそうにって何!?!?

罵倒し、めちゃんこにする。もちろん、心の中で。口に出したら死ぬ。殴ったら死ぬ。

「か、梶井さんとは、確かに付き合ってる...けど...。」

実は、最近上手くいっていないのだ。

彼は手内職のレモン型爆弾を量産することに没頭してしまっているし...。一体何が悲しくて、デートと言うなの爆弾作りをせにゃならんのだ。確かに、私は彼の真っ直ぐな好奇心が好きだ。でも、でも、私を放っておいてほしくない。だって、寂しいもの。

「...はぁ...。」

「??...あ!コーヨー!」

「おやおや、お嬢は今日も元気じゃのぅ...して、あそこでキノコを栽培しておるのは、お嬢の世話係の者でないかえ?」

紅葉さんの上品な笑い声が聞こえてきて、私は隅から出てきた。

「姐さん。...こんにちは。」

「おやまぁ。随分元気が無いようじゃのぅ。くす。梶井のことかえ?」

「うっ。」

バレバレのようだ。私は大人しく、梶井さんと上手くいっていないことを話し、どうしたらいいかアドバイスを聞こうとした。なのに、姐さんはのらりくらりとしていて、時折冗談を混ぜては私の話を面白いものにしようとする。

「もう!姐さん!」

「ふふふ。そう怒らんくても良いではないかぁ。のぅ、お嬢?」

「うんうん!アナタはケチね〜!」

「む...。」

「...そろそろ、梶井に会いに行ってみたらどうじゃ?聞いた話だと、お主はここ数日顔も見せておらんそうじゃないか。恋愛で大切なのは、お互いを理解し、尊重することのほかに、自分の意見をきちんと話すことも大切なんじゃ。」

わかったのなら行きなさい。と、姐さんが強引に私を部屋から追い出す。

...他に行き場もなく、私は覚悟を決めた。


コンコン

「...だれぇ。」

気の抜けた声。実験室の扉越しでもわかる。この人ご飯食べてない。...どうやら、さきほど作って来た昼食は一人で食べなくてよさそうだ。というのは冗談で。元々、こちらに来る口実のようなもので作ったのだ。用もなくこちらに人が来るのを、梶井さんは嫌がるから。

「梶井さん。私です。開けてく」

バァン!!!!

「ギャッ!?」

声をかけてすぐ、弾丸のような勢いで開いた扉をスレスレで避ける。お嬢のお付がこれくらいできなくてどうすんだ、と昔、中原さんにしごかれたのが一瞬よぎったが、そんなこと思い出してる時間もない。目の前では、目をカッと見開いた梶井さんが私を捉えている。

「あ、あの...これ、お昼なんですけど。その、良かったら、一緒に食べませんか?」

手に持った皿を恐ろしい顔の彼の前に差し出せば、しばらくの無言の後、中に入ってくれと促された。ここ数日誰とも会話してなかったのだろう。声がかすれていて何を言っているか聞こえ辛い。

「ご飯、ここに置いておきますね。」

「うん。...ありがとう。」

「いいえ。それしかできないので。」

「...君。僕は、ここ数日一人黙々と爆弾作りに励んでいた。」

「え?...あ、はい。」

いきなり数日間の話を振られ、一瞬驚くものの、すぐに立て直して彼の話に耳を傾ける。

「いつもなら、本当に楽しい時間のはず。なのに、だ。何故か何か足りない気がしてならなかった。......今、それがなにか分かった。科学の根源はいつだって疑うことだ。僕は自分の感情を疑ったね。そして、やっと気づいたよ。」

「...??」

梶井さんは、私の作った料理と私を見比べ、そしてニヒッと笑顔を見せた。

「僕も君のことが好きらしい。これは素晴らしいことだ!人はなぜ恋をするのか?また研究目標ができた!!君は、ずっと僕の助手をするといい!このご飯もとても美味しい!」

それからペラペラと何か大切なことを話していたような気もするが、私の一方的な愛ではなく、彼からも好きだと思われていたことが嬉しくて、私はほとんど彼の話を聞いていなかった。