天使と人間

ももんが
@J_momonga_yume

ごちゃまぜの感情

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
キャラベルに登録してログインすると、登場人物の名前をお好きな名前に変更できます。

自称天使に見送ってもらいながらも大学に向かう。

通学電車の中で、幼なじみのシゲこと加藤シゲアキを見つける。彼は本に視線を向けていて、まだコチラに気づいていないようだ。


「シゲ!おはよう」

「……おはよう」


相変わらず朝のテンションが低くて素っ気ない。


「莉奈なんか最近朝からテンション高くない?彼氏できた?」

「彼氏は出来てないけど自称天使は出来た」

「なんだよそれ」


苦笑しながら本をしまってくれるシゲ。誰かと会った時、人と話す時、彼はこうやって気を遣って本やスマホをしまってくれる。当たり前の事だが、現代人で出来ない人はいっぱいいるだろう。


「そう言えば、手越が最近また莉奈と寄り戻す気満々だよ。どうすんの?」

「祐也が……?」


ドキッとした。手越祐也。私の元カレだ。あの自称天使も気にしていた元カレ。


『俺からの助言。元カレとは今後一切連絡も取らないし、会わない方がいい』


脳裏に昨日天使から言われた言葉を思い出す。これが一体何を指すのか私は分からない。


「どう、するって言われても……」

「ぶっちゃけ手越のことまだ好きなの?」

「……分かんない」

「嫌いじゃないんだろ?てことは、心から完全に手越を消せてるわけじゃないんだなー」


確かにシゲが言った通りだ。好きかどうか聞かれたら分からないが、嫌いか嫌いじゃないか言われたら嫌いじゃない。


「あの別れ方じゃ、スッキリしねぇしな。付き合わないなら付き合わないで、早いとこハッキリさせた方がいんじゃねぇの?」

「うん、分かってる」

「まあそれで、手越が簡単に引くかどうかは別だけど」


祐也は相手に好きな人がいようがいまいが、好きになった相手は最後まで好きでいる。凄く一途な人間だ。チャラチャラしてそうに見えるけど、変なところ真面目で一生懸命で。私は彼のそこに惹かれた。


「人の恋路にあんまり口出ししたくないけど、頑張れよ!」

「ありがと、シゲも早く恋人見つけなよ」

「うっせ!」


丁度いいタイミングで電車が大学最寄りの駅に着く。

その後は他愛もない話をしながら、キャンパスでシゲと別れた。

講義まで少し時間があるので、キャンパス内を散歩する。ちなみにこれが晴れの日の日課であったりもする。


「莉奈!」


今1番聞きたくない声が聞こえる。だけど無視するわけにもいかず、私は振り返った。


「おはよう!いい天気だねぇ」

「おはよう。そうだね」


元カレの祐也だ。凄く嬉しそうに私の隣に並んだ。私も笑顔で答えたけど、ちゃんと笑えていたかは分からない。私の胸がズキリと痛むのは、罪悪感からなのか。


「ねぇねぇ、今日暇?暇なら夜ミッドタウンのイルミネーション見に行かない?」


ほら、これ!と言ってスマホで調べた画像を見せてくる。


「あ、あー、ごめん。今日ちょっと家に知り合い来てて……」

「あ、そうなんだ!ごめんごめん!じゃあ今度また予定合わせて行こうよ!」


私が断っても、彼は落ち込みもせず次の話に持っていく。私が逆に落胆した。


「次いつ暇?」

「え、んーと、いつだろ。分かったら連絡するから」

「おっけぃおっけーい!楽しみにしてるわ!」


また胸がズキリと痛んだ。これは断れない私が悪い。曖昧な反応をして、相手に期待させる。昔からの悪い癖だ。


「やべ!講義始まる時間だ!俺行くね」


漸く解放される、そう思ったその時、彼が私の腕を掴む。その眼はちょっと私を睨むような強さを感じた。


「最後にさ……、知り合いって男?」

「お、」


彼に嘘は付けない。付き合ってきた期間でそれは知っている。


「お、オカマ?」

「オカマ!?なんだよそれ!めっちゃいい知り合いいんじゃん!」


自称天使へ、私は貴方をオカマにしました。

心の中で自称天使に謝る。しかし、それに満足したのか祐也はまたねと手を振って走っていった。


「疲れた……」


緊張感から解放された私は一気に脱力し、講義のほとんどを睡眠学習で過ごした。


――――――――――


全ての講義を終え、また会うかもしれない祐也から逃げるようにダッシュで大学を出て家に帰った。


「ただいま」

「おかえりダーリン!待ってたわよ♡」

「だからどちらかというとハニーね。それとドスの効いた声で言わないで……」


オカマというのはあながち間違いでもなかったかもしれない。

呑気に人のベッドで、どこから持ってきたのか分からない筋トレグッズで体を鍛えている自称天使。天使の欠片もない。


「よいしょっ!……あっ、そうだ莉奈の元カレさ、中々イケメンな顔してんじゃん。机に締まってた写真見ちゃった」


そう言って自称天使のポケットから付き合ってた頃に撮った、祐也とのツーショット写真が出てくる。去年の私の誕生日に撮った写真だ。手を繋いで、幸せそうな顔して笑っている。


「ま、俺の方がカッコイイけどな!」

「自分で言うなし」

「もしかして今日元カレと会った?」

「だから関係ありませんって」


ふーん、と興味なさげに返事をして私のベッドに寝転がる。せっかく胸のモヤモヤをかき消そうとしてる時に、爆弾を落とされた。はぁ、とため息をつくと、自称天使がいきなり起き上がる。


「手越祐也、11月11日生まれで神奈川出身。小さい頃からサッカーをしていて、中学高校と全国大会でトップ3入りをしたが、優勝は出来なかった。その他にもずば抜けた歌唱力を持っていて、歌声で落とした女も多いとか。女好きで遊び癖があるが、好きになったら一途。努力家で、人にはその部分を見せない。成績は優秀な方……見た目で判断するもんじゃないねー」

「なになになにっ!?こわいこわい」

「暇だったから色々調べたんだよ、元カレ手越君のこと」


調べてここまで分かるか?天使だから出来るのだろうか?

呆然と突っ立ってる私に天使は近づいてきて、私の顎を掴む。要は顎クイっていうやつだろうか。


「俺はお前が諦めるまで言うよ。手越祐也と寄りを戻すのはやめろ」


何で彼はこんな事を私に言うんだろうか。

私を見つめる瞳から感情が読めない。悪い意味じゃなくて、瞳に感情が混ざりすぎて読み取れないのだ。


「……あなたは何を知っているの?私の知らない何かを知っているんでしょう?教えて」

「それは言えない。……だけど1つ教えられる事はある。俺が、お前のこと好きってこと」

「え、」



「なーんてな!冗談だよ~。本気にした?」


ニヤニヤしながら私を見る自称天使に、私は頭突きを食らわせた。痛いと半泣きでしゃがみこむ自称天使を放って、夕飯を作りに行部屋を出た。



顔が真っ赤になったことと胸が高鳴ったことは、全部気のせいだと言うことにしよう。