その光があれば、

スタライ余韻のわかば( ˙-˙ )
@7716A_7110s

最終章

月永くんが……?

帰ってきた…………!?


『 ……っもしもし?嬉しいのは分かるけどいきなり電話なん』


『えっ、あっ、あれっ、私電話かけてた?えっ……と 』


体が先に動く、とはまさにこの事。

動揺が止まらない私に樹里はあきれた声を出した。

なんだか申し訳ないけど、そんな事より……


『樹里!会いに行こう!!月永くん達に!!! 』


しかし帰ってきたのはため息だった。


『 あんたねぇ、月永くん達は、Knightsはアイドルだよ?あの時は学科的にちょっとお近付きになれてたかもしれないけどさ、私達はもう卒業して、生徒でもなんでもないんだよ?』


あ……それもそうか。

分かってるはずなのにすっかりわすれてた。

『……はははっ、落ち込むなってば。ライブのチケット取れるように頑張ってみるから。』


『……ありがとう!私も頑張る!!』


『よし、それでこそ春樹だ!話したりは出来ないけど、遠目からでも見たいよね。』


『…………うん! 』


そう。その通りだ。彼が笑っているなら、その姿をもう1度見れるのなら。

それだけで、満足。

それからきっと、私も少し前を向ける。



それからは、チケットを巡る争奪戦。

運がないのか倍率が高いのか、私も樹里も全然当たらない。

……Knightsのお姫様達こわいよ。


でもそれだけ、Knightsが力を付けてるって事か!

すごいなぁあの子たち……




そして結局、当たったのは秋の終わり頃だった。

前ではないけれど、真ん中の方の位置。


素直に楽しみになってきた。




久しぶりの夢ノ咲学院。Knightsのライブ会場へと入る。

一年前までここで照明をしていたのか...なんて感興深くなっているうちに、会場の明かりが消え、辺りが歓声に包まれる。

パッとバックライトが光って、5人のシルエットが映る。


……あぁ、これは瀬名泉くんが好きだった演出。


それなら、多分この後……

前に歩いてきて、そこで1回消えてムービングライトになってもう1度バックライト…………


……やっぱり!!

あぁ、やっぱり懐かしい!


周りが5人のシルエットに夢中になる中、一瞬隣にいる樹里がそんな私を横目で、微笑んだ気がした。


心配かけちゃってたよね、後で謝らな__

「うっちゅ〜!Knightsのライブに来てくれてありがとう!愛してるぞ〜〜☆」

耳が痛くなるほど元気な、ずっと待ち望んでいた月永くんの声が思考を遮った。


彼は今まで見たことのないような笑顔でその場にいた。

前を見て、堂々と体を動かして……

あぁ、あの頃の!いいや、あの時以上の月永くんが目の前にいる!!

目が離せない、輝きが止まらない月永くんを前にして、安心すると同時に、照明をしたいって希望でいっぱいになった。


ライブも終盤。次の曲はとっておきの新曲なんだって、月永くんが声をあげる。


「それじゃあいくぞ!Knightsで、『 Article of Faith』」


常に全力の月永くんだったけど、本当にこの曲には気持ちがこもっている気がした。

爽やかで、でも意思がしっかりしてて、まっすぐでいい曲……聞き入ってしまう。


__暗い闇を照らすような光になろう、もう1人で彷徨わない


あぁ、本当に。私にとっての月永くんは、いつしか光そのもので。

だから、1人で悩まないで欲しかったよ。

私には月永くんが必要だよ。月永くんの輝きが必要だよ。

1人で悩むのは強さじゃない。私も、月永くんも、足りなかったもの。

彼の方が先に気づけていたのかもしれない。


楽しい時間が経つのは早い。Knightsのライブが、終わった。

「樹里、心配かけちゃってたよね、ごめん。……また行きたいね!」


そう言ったら、樹里は私の頭をくしゃくしゃしてきて、なんだか笑えてきた。


ありがとうね。



そして、そうして次行ったライブ。そこで事件は起きたのだ。

「……春希!春希!?」

後ろから樹里の声がする。

ごめん樹里。なんだか足が止まんないよ。

なんだ君は、って警備員さんの声がする。私の足は気にせず走る。

関係者以外立ち入り禁止のドアを潜り、問題の場に行った。

「……宮原?!なんでここに」


「…っは、先生!そんな事より今!照明!!」


「そ、それもそうか。故障みたいなんだが…」

機材を見ると、全ての照明機器と繋がる機械の電源がつかなくなっている様子。機械の前には完全にパニックになって泣き崩れている後輩がいた。


「先生、替えはないんですか」

「残念ながらあったはずの場所にない」


「…………!先生!私変えある場所分かります!!行ってきます!!!」


「は、おい宮原!?」


「先生はその子と、少しでもなんとか出来るようにしててよ!!君もいつまで泣いてるの!嘆いても仕方ないよ解決策をガムシャラに探して。出てる人達が、来てる人達が、一番不安なんだよ!!」


それだけ言い捨てて、ある場所に向かう。

全ての電気を付けられなくても、正面からいくつかのライトを照らせばなんとか一時的にはしのげるはず……!



向かった先は、いつしかのアイドル化の練習室だ。

たしか不良たちが盗み出して遊んでたあの機械、あれは充電式だった。


入ってみるとそこにはだれもおらず、その機材は端っこに布をかけられて置いてあった。


いじってみると、ちゃんと動く。


あれからあいつらは卒業し、誰か心優しい人がやってくれたのだと温かい気持ちになった。



それを抱え込み走り出す。

完全に重量オーバーだ。

正直腕が引きちぎれそう。


校内ホールに近ずいてきた時には、本当に辛くなってきていた。

でも、そこで月永くん達の声が聞こえてきて……


昔、私が夢を見つけた日がフラッシュバックされた。



ここで立ち止まる訳には行かない。


二階席、前方。

撮影などのために使えない様にテープを張っている場所。

ライトを並べ、タイミングよく一つ一つ付けていく。


まっくらな会場。その中で一生懸命に前を向いて歌う5人の姿が露になった。



その安心感と、なんともいえない感動に、涙腺が熱くなってしまっていた。

演出などは出来ないけれど、会場は不思議なほどの一体感に包まれていた。




「み〜や〜は〜ら〜?照明の事は感謝する。が、なんて事をしてるんだ?!」


Knightsのライブは無事に終わった。

が、その後の私は無事では無かった。

当たり前だが先生や警備員等関係者たちに囲まれ大説教会だ。

危うく警察を呼ばれるところだったが、そこは先生が説得してくれたらしい。

結局帰路に出れたのはライブが終わって3時間後の事だった。

辺りはすっかり真っ暗で...。

樹里にLINEで説教されながらこの先の人生もう通らないであろう夢ノ咲アイドル科の校門をくぐった。

吐く息は白く、見上げた夜空は澄んでいて_


__!?

左手を強く引っ張られたようだった。

「……っ!ちょっ、やめてください!」

振り払おうとしてもその力は強く、結局引っ張られていってしまった。

その人はパーカーを深く被っていて、誰か分からなかない。不審者……とはなんとなく違う気がするんだけど……


角を曲がり町の電灯の下を通ると、その人の手元が見えた。

綺麗で、でもちゃんと男の人の手。いくつかのボールペンの線の様なものと、ペン凧の痕がうっすらあって...

_そんなの、一人しかいないじゃん


「月永くん!!?月永くんだよね!??」


そう言うと、握る手は強さを増した。


「...それは答えない!ハルの妄想を広げて!!セナから会いに行くならせめて少しは変装してけって言われてこんな格好してる意味が無くなっちゃうだろ!?」


......いやもうそれ誰だか言ってるも同然だからね?!


「……ぷはははっ」


「何がおかしいんだ?」


「月永くんって月永くんだなぁって」


「そ〜か〜?……ははははっ!なんか今10曲くらいまとめて書けそう!!」


走りながら、お互いなんだか笑いが止まらなくって。

気づけば、いつの日かの公園についていた。


「今日見に来てくれたんだろ?ありがとな!」


「月永くんたちホント人気だよね。校内のライブなのに、チケット取るの大変だったよ〜」


「そうなのか〜?他の奴らのお陰だと思うぞ!……あと、ライト。あれハルだろ?」


月永くんは前からそうだけど、目をみて質問してくるからドキッとする。


「……な、なんでわかったの」


「ハル、昔ここで話してたじゃん?夢のきっかけ。それで、ピピーンと霊感が!」


「覚えててくれたんだね。月永くんが光消えた時にも歌っててくれたから、頑張れたよ。」



「……あ、あと初めてここであった日さ、実はすごく悩んでた時で、月永くんにすごくすごく救われたよ。その後からもずーっと、月永くんに影響受けっぱなしで……...月永くん?」


照れくさくて目をそらしていたけれど、ちゃんと月永くんの方を見てみると、珍しく月永くんが照れていて...

「......今日、ハルしっかり見れなかっただろ?特別ステージ開く!!」


急に立ち上がった月永くんはクルッと私の方を向いて、万円の笑みを見せた。


「...!今日懐中電灯もってないけど」


「お星様がいるから大丈夫!宇宙の力は無限大だぞ!だ〜か〜ら!今は見ててって!」


それだけ言って、冷たい空気をいっぱいに吸って月永くんは歌い出す。


「この信念の誓い〜」


「……胸に掲げて」

力強い歌声に、無意識のうちに私も口ずさんでしまった。

そして...


『最高の夢を叶えよう』

二人の声が重なった。


あの時と同じような、違うような……

でも君という光がいるなら、もう迷うことはないと思った。

そしてお互い、最高の夢を叶えられたらいい。


「ありがとう〜!大好きだ!!」

歌い終え爽やかな笑顔の月永くんとのハイタッチの音が反響して、なんだかまた笑いが止まらなかった。

夜空の無数の星たちが、そんな私達をずっとずっと照らすのだ。

著作者の他の作品

今日夢で見た話を忘れない様にばばばばっと書きました。

小説が全然出来上がらなさ過ぎてイラついてきたので昔のおかせてください!!...