Happy X'mas の その後。

miya / コウヅキコト
@_miya_a



「…で、どーすんだよコレ」


わー超絶機嫌悪いじゃん、コイツ。


「どーするって、食うしか無いっしょ」


テーブルの上に並べられたホールケーキ二つを交互に眺めながら、俺たちは悩んでいた。


「しかもまた、同じ店の同じケーキとか…」

「ちゃっかり二人してシャンパンも買っちゃってるしな」

「それも同じの…」


向かい合って座ったテーブルの向こう側の彼奴は、酷くむくれていた。プライドが高い彼奴のことだから、上手くサプライズ出来なかったのが悔しいのだろう。彼奴には悪いが、軽く凹み入ってる姿がちょっと可愛いと思ってしまった。

ずっとノーマルに女と付き合ってきたこの俺が、同年代の男見て可愛いと思うのだから、人生本当に何が起こるかわからない。


「また、同じの買うとか流石気が合うよな。俺たち」

「………。気でも合わなきゃ付き合ってねーし」


相変わらずの膨れっ面だが、少し照れた…ように見えた気がしたから、多分機嫌とりは成功だろう。


「いつまでもケーキと睨めっこしててもしゃーねーし、折角だから食わねぇ? ほらほら~世間はX'masだよ~?楽しく行こーぜ」

「べ…別に、楽しくないわけじゃない」


ほーんと、素直じゃない。


「そうだ。来年はケーキ担当とシャンパン担当を決める」

「え、何それ。何その営業訪問の顧客分担みたいなの。やめて~、仕事ノイローゼになっちゃう」

「つべこべ言わずに分担決めろっ」


あー、もう言い出したら聞かねーんだから。


「…てかさ、来年のX'masも一緒に居てくれんだな」

「ブッ!!」


あ、噴いた。

彼奴の色白な肌がみるみる間に真っ赤に染まっていく。


「て、てか、別に一緒に居たいとか、そういうんじゃなくて、ク…X'masに一人とか、暇だし。だから一緒にケーキでも突ついてやろーかって…」

「はいはい、わかった。わかりました。ありがとうございます、恐縮です。ふっ」

「笑うなっ!!」

「笑ってねーよ」

「笑ってんじゃんか、思っきり!」


ムキになるとか、こういうとこ子供っぽいよな。いや、全体的に子供っぽいけど。仕事の時だけスマートで女にキャーキャー言われてる癖に、ちょっと裏を返せばこれだもんな。


「お前本当その綺麗目イケメンの見た目に似合わず可愛いよな」

「!! …っ、うっせ!!」

「あ、褒めてんのに」

「うぜぇし!!」


本当、口わりぃの。


「はいはい、来年も一緒に居ような」

「ぅ!! ………うっせ…」


急にしおらしくなんの。ああ、可愛い。

まぁ、こんなんにハマってんだから俺も大概だな。


「つべこべ言わずに、さっさとケーキ食うぞ!!」

「はは、さっきまで悩んでたくせに…」

「あーもーっ、うっさい!ケーキカットすんぞ!」

「ブッフ、結婚式かよっ」

「あーもーーっ!!うっせーーーっ!!」


結局、真っ赤っかな顔した彼奴が勢いで切り分けたケーキは、グシャグシャのヨレヨレで。それでも美味しくて。あぁ、来年もコイツと同じことしていたいなって思った。

いや、もう同じケーキは二個もいらないけど。




「………んで、これ二つ食うのに何日くらいかかんだろーな」

「…一週間くらいじゃない?」

「ないわっ、生クリームかちかちじゃん!」

「…食う」

「食うの!?」

「食う!!」

「…お前、本当無敵な」




fIn,

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夏になると、アイツは毎年此処に来る。

1月28日、曇天。今日は君が死んだ日だ。いや、正確にはこれから死ぬ日だ。