とある世界線での出来事

誰が彼女をこうしたか

ぽたり、額に落ちた液体の冷たさで目が覚めた。

私は今さっきまで何をしていて私は今さっきまでどうして気絶していたの。

異様に痛む頭を片手で押さえ、私は視界に広がる赤色の世界を見回した。


「……うずらちゃん?」


私はいつも行動を共にする少女がいないことに気づく。

私を見捨てて彼女が一人で行動するわけがないと思って、もう一度辺りを見回す。

そして不意に視界に映ったのは、親友の纏っていた服の切れ端。


「うずら、ちゃん……?」


落ちていたそれを拾い上げる、布の切れ端にしてはおかしなくらい重い。

そう、千切り取られた肉片がくっついていたから。


「ひっ……!」


思わずそれを取り落とし、肩を抱いてそれを恐怖と畏怖に支配された瞳で見つめる。

何度見ようとそれは変わらず、親友からむしられたであろうカケラだった。


それじゃあ、彼女はどこへ行ったの?


「うずらちゃん……うずらちゃん……」


私は震える足を何とか引きずりながら、か細い声で彼女の名を呟く。

きっと生きてる、絶対に生きていると思いながら。




そうして見えたのは異常なくらい尖った氷に貫かれた彼女の姿だった。

左肩から先はなく、右足の先も宙ぶらりん。

おかしな方向に捻じれ曲がった首に、吐き出されたあかいろの液体。


「……うずらちゃん……?」


誰がこんなことを、誰が彼女をこんなひどい目に合わせたの。

叫んでも叫んでも答えが返ってくることはなく。


私が気を失う寸前、どこからか少女たちの笑い声が響いてきた気がした。

著作者の他の作品

お母さんが造った、それは何か。わからないけど、きっとそれはいいもの。

ロゼちゃんとゼーレ君の話。