黎明の子供

ノックハート
@knockhearts

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窓の割れた風影邸の執務室に一匹の化け物と一人の砂の王が対面していた。


ガラス片は部屋中に散らばっているのに、玉座へ鎮座する彼女と合わせて見れば宝石と同等以上の輝きを放ち、一種の装飾品のように元から有るような存在感を醸し出している。


ーー宝石に反射する空は清らかな蒼だった。


「一ついいか。」

「なんだい?一人称はボクでも、ボクはれっきとした女の子で幼女だ。」

「…そこではない、断じてそこではない。質問の内容はそこでない…!」

「おや、それは失礼。本人が1番気になっている事を予知してしまう、ボクの悪い癖が出てしまった。」

「…」

「ところで、君が言う一点とは何かな?

「…俺は、砂の王ではない。砂漠の我愛羅だ。風影の名を継承し、民を納める役目を担う者…。お前が王と呼ぶのは何故だ。」

「おやおや。そんなことか。

…ふむ、…ボクは長生きだから、代替わりする地名や地位、職務の名称を国ごとに覚えることが大変めんどくさくて。

いっそのこと統一してしまおうと思っただけだ。君は我愛羅と呼ぶんだね。これからはそう呼ぼう。

もちろん、この地域には忍と呼ばれる人間が多いってことも頭に入っているから、君もその類の人間だと直感した。

…類は友を呼ぶ…。」

「テルルは、忍なのか。」

「いや、そちらの意味ではなく。

このような玉座、に座る人間とは…と考えた時。あまたの人を統一し導く能力があると推測できる。それが有能か無能かなんて民の顔色や建築物を見ればわかることだ。先程の配下…部下の躾はイマイチだったが君への忠誠の目をしていたね。

…カリスマ性と言えば、通じるだろうか。ボクたちが出会ったのは君が追う事件のこともあろうが、その事もある…と、勝手に考えていたのさ。」

(それは…お前も…)

突然の来訪者は〝化け物〟の王だったらしい。


「ーーとは言っても、ボクはもうそんな資格はないし、過去にある事実を無理やり結びつけただけか…。」

「…過去…?」

「その点はおいおい説明させてもらおう。今、我愛羅に対する要望は二点ある。」

〝人喰い者〟ーーテルルは小さな指の親指と人差し指を立てて順序よく説明する。

「まず一点目。契約についてだ。これは同盟と言っても同じだろうかいや、協力し合う上での利害関係を一致させることを目的とする。

二日前に起きた〝人喰い者〟の仕業だと該当する案件について、ボクと協力し、討伐若しくは捕縛の要請を受けて欲しい。」

彼女は今、なんと言った。

同族の討伐や捕縛をするとはどう言うことか。

目の色も表情も変えずに、淡々と口を動かすのは少し痛々しかった。


「まて、お前と同種の者なのに良いのか。」


「ーーやはり少し我らの歴史を教える必要があるな…

簡潔に、説明すれば…

ー我らはもう、随分と昔に滅びている」

「‼︎」

「…人の肉を喰らう種だ。そう長くは一族の維持はできない。外見は人間と全く同じなのに…我々は人肉を喰らう。そこに恐怖、よくて畏怖…迫害や我らを殺す者は時代とともに増えていった。その傾向に伴って、防衛本能は我らに進化を齎らした…」

それがこれだ。と、少女は玉座から降りて俺の目の前に立った時、自身の腰のあたりから爬虫類の皮膚のような触手を二本、出現させた。片方をこちらに伸ばし「さわってみろ」と許可が降りる。


「こ…れは…」


それは純白の白さを帯び、一つ一つの鱗は光をが当たると虹色の輝きをはなっていた。

一定の硬さと柔軟さを兼ね揃えた触手だ。


「ーコレが現れたのは丁度今から200年も前。…ー食欲を満たすために人間を細々と狩ってきた歴史に終止符が打たれた。

我ら一族は反逆の狼煙をたて、迫害をしてきた人間達に復讐する。…自由を求めて、な。…結果、逆に利用されたんだ。」

愛おしそうに、自らの触手を撫でながら、テルルは残酷な結末を告げた。

「人間の、戦争に。」

「…」

忍以外の戦力供給…


「我らの戦闘をみた人々は口を揃えてこういった。〝もっと食い物が豊富にある場所を知っている、腹をいっぱいにしたいのなら付いて来い〟…と。

その言葉で、人肉を貪るために戦争に赴いた者、研究材料になった者、安定した賃金を得るために力を生かして傭兵になる者、同族殺しで人間と同じ人権をを手に入れようとする者…。しかし…容器以上の容量の水を入れれば溢れかえるように、力の解放には暴走、自我の消失は免れない。

それに気がついた人間は、使えない兵器をどうしたと思う?」

「…破棄…」

「正解。やはり頭の回転が良い人間と話すのは楽だな…。

この力の解放に成功した一部の我々は不死のような再生力を持っていたが、結局のところ化学兵器には足も及ばない。忍術に関しても同じだ。

…そうやって、長い歴史の中で

我々は自滅した。」

「では何故、お前は生き残り…ほかの〝人喰い者〟は出現している。」

「先も述べたように、研究材料になった者…がいるのは明確だ。純血の同種かそのサンプルから得た遺伝子情報を操作すればクローンももどきも作れてしまう時代だろう。今回の事案はその暴走か研究者の企みか…。

…ーボクの場合、ボク自身に齢操作の術式をかけた。…あと、とある呪いで本物の不死身になってしまってね。だから250年も生きている。

ボクは…マガイモノを排除するために、今は亡き徳の高い長老から一族の尻拭いをさせられている死刑執行人のような存在さ。自分のケツは自分で拭け、とは、全く。非常に残念だ。」


はぁと溜息をつき、


一つ目の要望から概要までを話し終えた彼女は懐へ手を伸ばし水筒を取り出す。

失礼、と飲み始めたその液体の色は、紛れもなく赤だった。

(あらかた、血液だろうな。)

…血

……血は、あの頃に随分好んでいた。

血を流せなかった当時、ソレを見ることがどれほど新鮮で、生を実感できて、渇きを潤していたか。今思えば猟奇的な人間であったと断言できる。


「…へぇ、流石に死地に足を運ぶ忍は違うな。ボクのコレを見て驚かないのか。ナニとも教えていないが…。」

「嫌でもわかる。…俺は昔、ソレを好んで見ていたからな。あと…忍は鼻も利く。」

「…残念だが、君の過去に、今、興味はない。

何故なら今解決すべき案件になんの効果も及ばさないからだ。…そうだな…君が良ければ捜索の途中にでも話してはくれないか。人間が好む血とは何か…僕個人は興味があるんだ。

しかし、ふむ。忍は多分野において有能らしいな…改めてその長になる器がどれほどのものなのか実感したよ。」

「…了解しかねる、が、気が向けば話そう。…ところで二つ目の要望は何か教えてはくれまいか。」

「あぁ、それは簡単なことさ。正式な身分証と通行証の発行をしてほしい。

なにぶん、ボクは長生きだから…今まではまどろっこしい故偽装パスを作っていたんだ。この際頼んでしまおうかと…。」

テヘヘ、と子供らしい紛らわし方だが内容が内容である。


「…重罪だ、それは。これ以上犯罪を許すわけにはいかん…いいだろう。申請させる。任務が完結すれば。」


…後半のものは完全に私的なものだろう…。

我愛羅は心中をおさめ、閉口していた口を開き始める。


「テルル殿の事情は理解した。

今後、協力関係になれる事に感謝する…。して、此方からも願いたいものが有るんだが、良いだろうか。」

「解決に必要ならば。…」

我愛羅が組んでいた両腕を解き、右手を天に向かうようにあげれば






「ったく、ヒヤヒヤさせんなよ我愛羅。つーか気づかれたと思ったわ、さっき。」

「最近の子供の想像力に追いつけませんな。俺も歳だ。」


カンクロウとバキが暗闇からでてきた。

それに一瞬瞳孔が開いた彼女は口元に弧を描き嗜めるようにして二人を見上げる。

「今回の任務に、この二人の参加を賛同させてくれ。」


「…気づいてはいたんだけどね。君たちは有能そうだから野放しにしていただけさ。主人の許可なくでてきた前の二人はそれまでの駄犬。…自惚れるな、犬ども。」


「自惚れる?、いいじゃねえか、それくらい信頼されているんだぜ、俺たち。アンタもソレを汲み取ってくれたんだろ?」


自信満々にカンクロウは胸をはった。

その姿に思わず口元がゆるむ。


我愛羅は続ける。

「テルル殿、親族に…犬などという言葉は控えていただきたい。…俺にとって、この国の民は、血の繋がりはなくとも家族なのだから…。カンクロウは俺の血縁の兄だが。」

「…」

すると、目の前の小さな少女は顔を俯かせる。



…この子供は、幼女は


あまりにも、寂しい瞳をしていた。

悠然に見え隠れする態度の中にある氷点下の冷徹さ。それは彼女の過去にある何かが、呪いのように生涯を蝕んでいるものなのかもしれない。


(…救いたい…)



俺がうずまき ナルトに救済されたように。ーー俺はきっと…


うつむく間際に見せた一瞬の目の光はそれを求めている。


…テルル、それは、お前が自身を責め立てる弱さではない…。


「……賢帝、か。やはりボクは時代に取り残されているらしい…。

我愛羅が信頼を寄せる君たちに、敬意を払おう…、名を教えてくれないか。」

改めて、顔を上げた彼女の顔は以前の冷徹さが染み付いた天帝の顔だった。


「おう。俺は傀儡師のカンクロウだ。コイツの兄貴じゃん。」

「バキだ。二人の先生を担当していた。」


「…君たち二人の、同行を許可、賛同する。ただし、使えないと判断すれば即切る。」

「は、手厳しいこって。んな事重々承知じゃん。…つーか、懐かしい感じだわ。こんなん、無駄にピリピリしたのあの頃依頼じゃね。」

「…………すまない。」

「おいおいおい!、お前は謝んな我愛羅‼︎あの頃はだぁれも悪くねぇ‼︎」

「空気の読めなさは3人の中で1番下手くそだったな…カンクロウは…ふふ。」

「バキ先生まで、ちょ…勘弁ねがいてぇじゃん。てか我愛羅わざとだろ‼︎その顔‼︎」

「え…謎の疎外感…?。」


こうしてスリーマンセル改め、小さな帝王を加えたフォーマンセルでの〝人喰い者〟討伐作戦が開幕したのだった。
















〜閑話〜


「カンクロウ、君のその変わったペイントはなんだい?…まさか…オシャレだとおもっているのか…」


「ひゅ〜…生意気な餓鬼は嫌いじゃん。…傀儡師はみんなするの!コレ‼︎」

「…滑稽だ。」

「チビのくせにその口調も笑えるじゃん。」

「カンクロウ聴いていなかったのか。

彼女の齢は250歳だぞ。」

「……………………へ。」

「君。本当に有能なのか疑問にに思うよボク。」

「…もう嫌じゃんこいつ…」

「奇遇だ。ボクもそう思うよカンクロウ。」

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