マイマイ、ポケモンコンテストに出場!?

佐渡惺
@sat0rusq

最終話、ドキドキ!コンテスト二次審査(後編)

 カナズミシティ、ポケモンコンテストの二次審査が始まるとき、マイクを持った司会者のビビアンの声が会場中、清らかに響き渡りました。





 「これより、二次審査の第三回戦を始めます! マイマイさん対サダムネさん! それでは両者ともポケモンを出してバトルを始めて下さい! 二次審査の第三回戦、スタート!」





 「ピカチュウ!」

 ビビアンの司会進行後、マイマイはそのまま、ピカチュウ姿になったりっぷをバトルフィールドへ出し、





 「ここを乗り切ろう、ゲンガー!」

 サダムネはモンスターボールからゲンガーをバトルフィールドへ出します。





 マイマイとサダムネ、ピカチュウ姿のりっぷとゲンガーはそれぞれ、様子をうかがつていました。





 なかなかコンテストバトルが始まらなかったためか、大画面モニターに映っていたマイマイとサダムネのゲージが少しずつ削られてしまいます。





 「やば、ポイントが勝手に減ってる。指示を出さないでいるとだめなんだ。ピカチュウ、アイアンテール!」

 自分のゲージが減っていることに気づき、焦ったマイマイはりっぷにアイアンテールの指示を出しました。





 「ちゅー、ぴっか! リルリルフェアリル、フラフラワー、ぷるぷるりっぷる、アイアンテールよ、出るリル~!」

 と、りっぷは小さい声で呪文を唱え、ピカチュウの技であるアイアンテールを出し、ゲンガーに攻撃します。




 「ゲンガー、かわして、きあいだまを空中に放って!」





 「あれ、ピカチュウに攻撃しない?」

 と、マイマイです。サダムネたちに不思議そうな顔をします。





 「続けて、ヘドロばくだんを、きあいだまに当てて!」

 サダムネの指示後、ゲンガーはヘドロばくだんを先ほど放ったきあいだまに命中させました。





 このあと、きあいだまがヘドロばくだんによって弾かれ、きれいな花火が上がったのです。観客席は、わっと盛り上がりました。





 大画面モニターに注目すると、マイマイのゲージが、三分の二近く削られていきます。





 「あら、あんたのお友だち、ピンチじゃない」

 コンテスト会場の廊下のモニターで、マイマイたちのコンテストバトルを観ていたハルカに絡んできたハーリーでしたが、





 「………」

 ハルカはマイマイたちのコンテストバトル観戦に夢中だったか、ハーリーの声は聞こえていません。





 「ふん、シカト? 生意気ね、かもちゃん」

 ハーリーはそう言ったあと、どこか行ってしまいます。





 「……マイマイさん、ピカチュウりっぷちゃん、頑張って」

 彼が行ってから、ハルカはそうつぶやくのでした。





 サダムネと少年のゲンガーにより、ゲージが大幅に削られてしまったマイマイは、ここで過去のトラウマを思い出し、心の内側で悔しがります。





 「(もう、何でこんなときにアイツや、光宗みつむねのことを思い出すの。でも、サダムネくんとコンテストバトルをしていると、アイツに押されているみたいで悔しい。またアイツに、ナナキに負けるの、あたし。ううん、今、あたしが負けそうになっているのはアイツじゃない。何よりも自分自身のナナキあたしだ。このままじゃ、だめだ!)」





 「(マイマイちゃん、大丈夫?)」

 ピカチュウ姿のりっぷが心配そうにマイマイの方を振り返りましたが、マイマイは大丈夫と頷き、






 「ピカチュウ、ゲンガーに対抗よ! 向こうが花火なら、こっちも花火だ! ピカチュウ、エレキボールをしっぽで打ち上げて! それで、エレキボールにアイアンテール!」

 と、りっぷに指示します。





 「ちゅー、ぴっかー!(リルリルフェアリル、フラフラワー、ぷるぷるりっぷる、エレキボールよ出るリル~、アイアンテールよ出るリル~!)」

 りっぷは呪文を再び唱え、ピカチュウ姿でエレキボールを出し、アイアンテールでエレキボールを弾きました。





 すると、サダムネのゲンガーのときよりも大きな花火が何発も打ち上がり、観客席はみんな大喜びです。





 しかし、りっぷはそのあと、着地するとき、どうしたらいいかわからず、真っ逆さまに落ちていきました。





 「ピカチュウりっぷちゃん!」

 マイマイは真っ青な表情で叫びます。そのとき、





 「ゲンガー、サイコキネシス!」

 何と、サダムネがゲンガーにサイコキネシスの指示を出し、助けてくれたのです。





 ピカチュウはゲンガーのサイコキネシスにより宙に浮き、ゲンガーにお姫様抱っこをされたまま、ゆっくり着地しました。





 それが、観客席にうけたか、ピカチュウりっぷとゲンガーが良い感じに見えたようです。





 けれども、先ほど、真っ逆さまに落ちた出来事でショックだったか、ピカチュウりっぷはゲンガーと着地後、気絶してしまいました。





 「ピ、ピカチュウ、バトルオフ! サダムネさん、準決勝進出です!」





 「ピカチュウりっぷちゃん、大丈夫?」





 「う、うん……」

 ここで、わずかにピカチュウから光が出てきます。りっぷの変身魔法が解けそうなのでしょう。





 「大変、早くポケモンセンターに連れて行かなくちゃ!」

 と、マイマイはピカチュウ姿のりっぷを抱きかかえ、コンテスト会場のバトルフィールドをあとにしました。





 「あ……」

 サダムネはマイマイと握手したかったと、最後は名残惜しそうに彼女の背中を見送っていたのでした。





 マイマイとサダムネのコンテストバトル終了後、間もなく二次審査、第四回戦が始まろうとしていました。ハルカとハーリーの対戦です。





 ハルカはカメール、ハーリーはアリアドスをモンスターボールから出し、バトルフィールドへ送り出しました。





 初めはハーリーのアリアドスのいとをはく強さにより、ハルカのカメールの動きは封じられ、少女のゲージはどんどん削られていきます。





 そして、アリアドスにトドメをさされそうになったカメールが威力が高く、大きな氷の噴水のれいとうビームを出しました。そのため、アリアドスを氷付けにし、バトルオフにさせました。よって、ハルカが準決勝進出です。





 「キィー、相変わらず、かもちゃんは悪運が強いんだからー! ふん、やってらんらないわ!」

 ハーリーはかなり悔しそうな表情で会場を去りました。





 その後も時計の針が一刻一刻と進んでいくかのように、二次審査準決勝の第一回戦のコンテストバトルが始まります。シュウと、対戦相手はハーリーと同じ背丈くらいの青年でしたが、準決勝の第一回戦はシュウの圧勝で終わり、決勝進出ました。





 シュウのフライゴンとロズレイドのコンビネーションに、対戦相手の青年は敵わなかったようです。





 準決勝、第二回戦はハルカと、先ほどマイマイとコンテストバトルをしたサダムネでした。





 ハルカはエネコロロとアゲハントをモンスターボールから出し、サダムネはゲンガーとフーディンを繰り出してきました。





 準決勝、第二回戦も、ハルカがサダムネのゲンガーのシャドーボールと、フーディンのサイコキネシスを、エネコロロのねこのてとアゲハントのかぜおこしで上手く利用し、美しくアピールしたことでサダムネのゲージをアウトに持ち込んだのです。





 よって、準決勝の第二回戦はハルカが勝ち、決勝進出しました。





 「ラルースの貴公子といい、ホウエンの舞姫もすごかったよな、コンテストバトル」





 「ああ、決勝、やっぱりっていうか、シュウとハルカが当たったか」





 「私、シュウくん応援」





 「アタシはハルカちゃんだね」

 と、観客席は何人かその会話で盛り上がっています。





 「シトロン、一旦、バトル練習休憩しよう」

 コンテスト会場の外でバトル練習をしていたセレナは場に出していたテールナーをモンスターボールに引っ込めました。




 「セレナ?」

 シトロンもレントラーをモンスターボールに戻し、セレナの近くまで行きます。




 「ううん、決勝、誰と誰かなって」

 セレナが向こうのモニター画面を観て気になることを言ったあと、




 「セレナ、お兄ちゃん、会場に戻ろうよ」

 ユリーカが両手でセレナとシトロンの腕を引っ張りました。




 セレナとシトロンは顔を一度見合わせてから、




 「ええ」




 「そうですね。せっかく来たので決勝、観に行きましょう」

 と、返事をし、コンテスト会場の方へ戻ったのでした。




 セレナたちとすれ違いに、コンテスト会場の外に来たマイマイはピカチュウ姿のりっぷの意識が戻るまでベンチの上で抱っこしていました。




 サダムネのゲンガーとのコンテストバトルが終了したとき、ピカチュウから元のチューリップの妖精の姿に戻りそうになったりっぷでしたが、あれから持ち直したようです。




 マイマイがそうしていると、金色に近い茶髪のロングヘアにワインレッドのミニワンピースを着た女性がマイマイに声を掛けてきます。




 「ねえ、あなた、もしかして、マイマイちゃん?」




 「ね、熱帯夜さんなの!?」

 女性のことを知っていたか、マイマイはピカチュウりっぷをそうっとベンチの上に寝かせ、熱帯夜に抱きつき、再会を喜びました。




 「きゃあ、マイマイちゃん、久しぶりね!」

 熱帯夜も嬉しそうです。




 「熱帯夜さん、お家に帰らないで納鳴村ななきむらに残ったんじゃ?」




 「そうなんだけど、なぜかここに来てたのよね。そしたら、あなたを見かけたの。ポケモンコンテストだっけ。マイマイちゃん、出てたよね。向こうのモニターで見たわよ」

 と、熱帯夜はコンテスト会場の外にあったモニターを指さします。




 ちょうど、セレナがシトロンたちといた場所に熱帯夜もいたことになるようです。




 「ああ、コンテスト二次審査まで行ったんだけど、さっき負けちゃった」

 マイマイがベンチの上に寝ているピカチュウりっぷを見たあと、苦笑して言いました。





 「残念だったわね。それにしても、あなたの対戦相手、光宗みつむねくんにそっくりだったね。本人かしら?」





 「ううん、確かに光宗そっくりだったけど、あの人は光宗じゃなくてサダムネくん」





 「あら」

 目が点になった熱帯夜です。





 「熱帯夜さん、せっかく会えたから、ポケモンコンテストの二次審査の決勝、観ていかない? 結構、すごいポケモンコーディネーターの子たちが決勝に出るみたいで、ハルカちゃんとシュウくんだっけ」





 「そうなのね、ええ、私も決勝、観に行きたいわね」





 「行こう、行こう!」

 と、寝ているピカチュウりっぷを抱っこするため、マイマイが少しの間、熱帯夜から背を向け、彼女の方に向き直ったときのことでした。





 熱帯夜がいなくなっていたのです。マイマイは彼女の名を呼び、きょろきょろと辺りを見渡しましたが、彼女の姿が見つかりません。





 「熱帯夜さん、納鳴村ななきむらに帰ったのかも。第一回人生やり直しツアーであの村にいたときは、おかしな出来事がしょっちゅう起こっていたから、熱帯夜さんが納鳴村ななきむらに帰っても不思議じゃないよね。しょうがない。あたしとりっぷちゃんで決勝観て行こうか。りっぷちゃん、具合はどう?」



 ここで、マイマイが抱っこしていたピカチュウ姿のりっぷに声を掛けると、りっぷはうなりながら、目を覚まします。




 「うーん、あ、あれ、マイマイちゃん、ポケモンコンテスト二次審査は?」




 「負けたよ」




 「ごめんなさい!」




 「ううん、あたしこそだよ。りっぷちゃんにピカチュウに変身してコンテスト出場を頼んじゃったからね」




 「マイマイちゃん、悔しくない?」




 「全然。本気でポケモンコーディネーター目指している子たちと比べたら、そこまで悔しくないみたい。悔しいとしたら、コンテストバトル中に過去のことを思い出してしまったことかな」




 「マイマイちゃん……」




 「ねえ、りっぷちゃん、一緒に決勝観に行こうよ。ハルカちゃんとシュウくんのことも応援しよう!」




 「そうだね!」



 マイマイとりっぷは、コンテスト会場の中に戻り、観客席の方へ行きました。そこで、セレナたちと合流し、近くの席でハルカとシュウの決勝を観ます。




 ビビアンの司会進行の中、ハルカはバシャーモとグレイシア、シュウはアブソルとバタフリーをモンスターボールから出し、ライバル同士でお互い火花を散らし合っていました。ハルカたちのその気迫が観客席に伝わったか、会場はしーんとなります。




 しかし、決勝が始まると、わあっと盛り上がってきました。ハルカとシュウはそれぞれ、観客席にポケモンの技のアピールを見せながら、攻防を繰り広げていきます。




 それにより、会場のモニターの大画面に映っているハルカとシュウのゲージはあっという間に三分の二以上は削られていきました。




 「ハルカさんのバシャーモとグレイシアの大胆なアピール、シュウさんのアブソルとバタフリーのきらびやかなアピールのぶつかり合いに、両者一歩も譲りません。両者とも、ポイントはあとわずか! 次が決着となるかー!?」




 「バシャーモ、ほのおのうず! グレイシア、シャドーボール!」

 ビビアンの司会を合図に、ハルカはシュウのポケモンたちをバトルオフに持ち込もうと威力の高い技でアピール攻撃を仕掛けます。

 




 「かわせ! アブソル、みずのはどう! バタフリー、サイケこうせん!」

 対してシュウはハルカのポケモンたちのアピール攻撃をかわし、美しい動きでアピールをしながら、ハルカのバシャーモとグレイシアに攻撃をしました。




 「ここでタイムアップ! 優勝は…………………シュウさんです!」

 ビビアンはシュウの方へ片手を差し出し、拍手します。そのあと、会場も盛り上がり、大きな拍手が上がります。




 「シュウ、ポケモンがまた強くなったのと、技がもっときれいになったね」

 と、ハルカが言うと、




 「ふっ、君は力任せなところ、変わってないね」

 シュウは皮肉っぽく言いながらも、ハルカに赤いバラを一本、差し出しました。

 




 「もう……」

 ハルカはそれを受け取ったあと、シュウと握手します。




 カナズミシティポケモンコンテストの表彰式も終わり、ほぼ満席になっていた観客席はがらがらとなってきました。




 マイマイたちはコンテスト会場の外の広場でハルカたちが来るのを待ちます。やがて、ハルカたちも来て、全員そろうと、マイマイたちのいるところだけ、にぎやかになりました。




 しばらく、今回のコンテストについて、反省会のようなことを話し合ったあと、





 「僕はこれで」

 と、シュウは先に旅立ちます。少年は旅立つとき、ピカチュウ姿のりっぷを一瞥いちべつしたあと、マイマイたちの方を一度振り返ってから片手をあげながら行ってしまったのでした。




 「僕たちも失礼します。セレナ、これからもコンテストの方を頑張って。また何かあったら連絡して下さい」




 「セレナ、またね!」

 兄のシトロンが言ったあと、にやっと笑っていたユリーカはセレナに手を振り、マイマイたちにおじぎして行きます。




 シトロンたちも行ったあと、ハルカもピカチュウ姿のりっぷにウインクしたあと、


 「マイマイさん、セレナちゃん、私も行くね」




 「何かちょっと寂しいな」

 セレナが言うと、




 「あ、じゃあ、セレナちゃん、私としばらく旅しない?」




 「ハルカちゃん、いいの?」




 「うん、しばらくホウエンのポケモンコンテストに再挑戦するつもりだし、それに一人よりセレナちゃんと旅するとずっと楽しいかも」




 「ありがとう、ハルカちゃん、よろしくね」




 「すっかり、二人の世界だね、りっぷちゃーん」

 マイマイがしゃがんでピカチュウ姿のりっぷにひそひそ話していると、りっぷも、




 「うん、ハルカちゃんとセレナちゃんは気が合いそうだもんね」

 と、小さい声で返事をしていました。




 「マイマイさんはこのあと、どうするのですか? 良かったら私たちと旅でも」

 セレナが声を掛けてくれますが、マイマイは遠慮し、




 「セレナちゃんたちと旅するのきっと楽しいよね。でも、あたしはこの子と帰るよ」

 ピカチュウりっぷの頭に手を置きます。




 「じゃあ、マイマイさん、ピカチュウ、また会える日まで!」

 セレナはマイマイたちに手を振り、先に走り出したのです。




 「さようなら、マイマイさん、妖精さん、あ、まちがえたかも、ピカチュウ!」

 ハルカはちょっと舌を出し、笑います。




 「ぴかっ!」




 「さようなら、元気でね、ハルカちゃん!」




 「またいつか会いましょう!」

 ハルカと、セレナも何度も振り返りながらマイマイたちに手を振り、カナズミシティを発ちました。




 残されたマイマイたちも別れのあいさつをするところでした。りっぷはピカチュウの姿から元のチューリップのフェアリル姿に戻り、マイマイに歌を歌っていきます。




 それから、りっぷはリトルフェアリルに帰りました。花咲ゆみりの仕事はカナズミシティポケモンコンテストのオープニングステージで本日の業務は終了のようです。




 ちなみに、りっぷはマネージャーの藪下に家族の者が迎えに来ると連絡をすでに済ませていました。




 マイマイはりっぷの歌声に癒やされ、チューリップの妖精も見送ったあと、帰ろうとします。そのとき、




 「あの!」

 光宗そっくりのサダムネがマイマイに話し掛けてきました。




 「サダムネくん?」

 マイマイは驚いた表情で彼の方を振り返ります。




 「さっき、握手をしそびれちゃったなって。君のピカチュウとのコンテストバトル、楽しかった。ありがとう」

 サダムネは左手で後ろ頭をかいたあと、反対の手を差し出しました。




 「いいえ、こちらこそ」

 マイマイはサダムネと普通に握手したあと、これからの帰り、どうやって帰ったらいいだろうと悩み始めます。




 けれども、あのあと、トウカのもりに行っていたジュンサーがマイマイのところに来て、彼女が空港まで送ってくれたため、マイマイは帰路につくことができました。




 「あれ、もう第四回と第五回の人生やり直しツアーのチラシが入ってる。第四回はアリス学園の生徒。あなたの持つ天賦の才能、わかります……か。へー。第五回は魔法使いか。これ詳細は電話でお問い合わせか。これら、できるかわからないけど、参加しようかな」

 マイマイは帰りに寄った公民館の中にあったチラシを手にし、次回の人生やり直しツアーの応募を検討するのでした。






               終わり。

 

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