マイマイ、ポケモンコンテストに出場!?

佐渡惺
@sat0rusq

第4話、ハラハラ!コンテスト一次審査(後編)

 カナズミシティ、ポケモンコンテストの開幕時間となり、コンテスト会場から派手な花火が上がります。




 それから、ポケモンコンテストの司会の女性がステージに上がり、コンテストのルールの説明や審査員の紹介をし、自己紹介も済ませ、進行です。




 「わたくし、司会のビビアンです!会場のみなさん、元気ですかー」




 「オー!!」

 ビビアンの問いかけに、コンテスト会場にいた全員が大声でそう答え、盛り上がります。




 「ビビアンさーん、キープ!うちのお兄ちゃんをシルブプレー!」




 「おい、ユリーカ!」


 観客席にいたシトロンとユリーカの兄妹がそう騒いでいましたが、周りがガヤガヤしていたため、誰も気にしていませんでした。




 「それでは、まず、最初に、妖精アイドルのフェアドル、花咲ゆみりさんのオープニングステージでーす!」

 ビビアンが片手を横に広げたとき、ゆみりがステージに走り上がってきます。




 「みんなー、こんにちはー!」

 ゆみりがステージに上がると、会場はさらに盛り上がってきました。




 控え室でゆみりのオープニングステージを見ていたマイマイや、コーディネーターたちは一次審査前に緊張をしているか、静かにゆみりのステージをモニター画面で観ています。




 けれども、ゆみりの歌を聴いているうちにしんとしていた控え室がだんだんと、にぎやかになってきました。マイマイたちも、ようやく口を開くことができます。




 「良かった、ゆみりちゃん、見つかったんだね」

 と、セレナです。ほっとしていました。




 「ゆみりちゃんの歌声、元気出てくるよね」

 マイマイがセレナの顔を見たあと、ハルカに振ると、




 「フェアドル、最高かも!」

 ハルカはにこっと両手を握りしめます。




 「………」

 シュウの方は、先ほど、ピカチュウ姿のりっぷが、人間の女の子に変身していたところを見てしまったせいか、花咲ゆみりをじっと睨むようにモニター画面を見ていたのです。




 「あーら、どうしたの、シュウくん、怖い顔をしちゃって。シュウくんったら、もしかして、アイドルって嫌い?」

 と、そこでハーリーが絡んできます。




 「別に……」

 シュウはハーリーを相手にせず、控え室から出て行きました。




 「あーら、あの子、アイドルに興味ないって感じ?」

 ハーリーは細目でシュウの背中を見送ったあと、別のコーディネーターに話しかけていたのでした。




 ゆみりのオープニングステージが終わったとき、ゆみりすなわち、りっぷは藪下によく断ってから、人気のない場所でピカチュウに変身します。




 その姿でこそこそと、マイマイたちのいる控え室に向かおうとしたところ、ロズレイドが通せんぼうしたのです。




 ピカチュウ姿のりっぷは、ロズレイドにおびえていました。




 「戻れ、ロズレイド」

 シュウがモンスターボールにロズレイドを戻し、ピカチュウ姿のりっぷに近づきます。




 「ぴ、ぴか?」

 りっぷは首を傾げる仕草をしました。




 「君、こんなところでうろうろしてたら、ロケット団に狙われるよ」




 「ぴっか」

 シュウにそう言われ、頷いたあと、りっぷはマイマイのところに行こうとします。けれども、そこをまたシュウに止められてしまったのです。




 「待った。ねえ、君、ポケモンじゃないでしょう」




 「………ぴか!」

 シュウに自分の正体がバレてはまずいと思ったりっぷは、少年の脇を通り抜け、マイマイの元へ急いで行きました。




 「………」

 そんなピカチュウ姿のりっぷを、ますます怪しむシュウでした。




 何とかマイマイのところまで来られたピカチュウ姿のりっぷは、まだ息が上がっていました。




 「りっぷちゃん、お疲れ」

 と、マイマイがひそひそと話をします。




 「マイマイちゃん、シュウくん、要注意かもしれない」

 りっぷが涙目で言いました。




 「わかったよ、あたしも、シュウくんに用心する」

 マイマイはピカチュウ姿のりっぷとシュウを関わらせないよう、今からガードを始めます。




 「あの」

 ここでマイマイとピカチュウ姿のりっぷに話しかけてきた少年がいました。




 「!!」

 マイマイはその少年を見て衝撃を受けたように目を丸くします。




 「マイマイさん?」




 「どうしたんですか?」


 セレナとハルカがやってきました。




 「み、光宗みつむね……」

 まだ目を丸くしていたマイマイが少年に言うと、




 「ミツムネ?僕、ミツムネじゃないですよ。サダムネです」

 と、笑顔で自己紹介したのでした。




 「へ?」

 マイマイは自分の知っている人とちがったからか、ぽかんとしていました。




 「それであの、そのピカチュウ、可愛いですね」

 サダムネがピカチュウ姿のりっぷを褒めます。




 「ど、どうも……」

 マイマイはぽかんとした表情のまま、返事をしました。




 「お互い、頑張りましょう」

 サダムネはそう言ったあと、行ってしまいます。




 「マイマイさん、大丈夫ですか?」

 ハルカが声を掛け、




 「さっき、顔が真っ青でしたけど。はい、マイマイさん、これ、どうぞ」

 セレナは手作りのナッツクッキーをマイマイに渡します。




 「ありがとう、ハルカちゃん、セレナちゃん。今の子、あたしの知り合いにそっくりだったんだ」




 「そうだったんだ」




 「サダムネさんか……」




 「クッキー、ごちそうさま。もう大丈夫だから。そろそろ、一次審査、あたしの出番だね。行ってくるよ」

 マイマイはハルカとセレナに手を振り、廊下を出るとき、シュウの痛い視線に耐えながら、ステージの方へ向かいました。




 「マイマイちゃん、本当に大丈夫?」

 ピカチュウ姿のりっぷが心配そうにたずねます。その辺にもう人はいなかったため、りっぷは声を出します。




 「うん。でも、二人目の要注意人物かもしれない。えーん……」

 マイマイは、柱に両手を置き、下を向いて泣いたフリです。




 「どうして?」




 「サダムネさんが悪いわけじゃないんだけどね、サダムネさんが知っている人に似てたのと、あたしを振った相手にもよく似てたの」




 「マイマイちゃん……」




 「サダムネさんにあんなことを言っちゃあ、なんだけど、ナナキって怪物に思ってしまった。ナナキって言うのは、自分の過去のトラウマが怪物になったもののことなんだけどね。実際、あの人はナナキじゃないんだけどさ」




 「うん……」

 りっぷは何て答えたらいいか、わからずに考え込んでしまいます。




 「あ、りっぷちゃん、ごめん、本当に大丈夫だから。っていうか、特にあたし、あの人に負けていられない」





 「あの人って、サダムネさん?」




 「うん、そう!りっぷちゃん、一次審査、突破しよう!」




 「うん!」




 マイマイとりっぷは深呼吸をしたあと、ステージに上がりました。




 「続いては、迷い多きレディー、マイマイさん!」

 と、ビビアンが司会進行です。




 「もっとマシなキャッチコピー考えておけば良かったかな。まあ、いいか。ピカチュウ、行って!回転しながら、じゅうまんボルト!」




 「リルリルフェアリル、じゅうまんボルトよ、出るリルー!」

 マイマイから指示を受けたあと、りっぷはみんなに聞こえないように呪文を唱え、じゅうまんボルトを放ちました。




 じゅうまんボルトを出すことに成功したりっぷは、自らがスパークリングの輪になり、観客席の人たちを魅了させます。




 「いいじゃない、ピカチュウ!フィニッシュはアイアンテールで着地だよ!」




 「ぴっか!」

 アイアンテールで格好良く着地を決め、会場はわあっと盛り上がりました。




 マイマイの出番はこれで終わり、次はハルカ、セレナ、ハーリー、シュウの順番で一次審査のアピールが回ってきます。




 ハルカはエネコロロ、セレナはヤンチャム、ハーリーはノクタス、シュウはロズレイドでそれぞれ、アピールしていました。




 ハルカのエネコロロは進化前のエネコの頃より、ねこのてから出る技の威力が増しているため、ねこのてから出たふぶきの氷の山が出来上がります。そして、エネコロロの可愛いポーズに観客席にいる全員がメロメロでした。




 セレナのヤンチャムはダンスが得意のため、そのダンスとフィニッシュのあくのはどうが格好良く決まり、会場を盛り上げていました。




 「さすが、セレナですね」




 「うん、トライポカロンの経験の力だよね、お兄ちゃん」




 「ええ!」


 観客席でセレナの応援していたシトロンとユリーカが感心します。




 ハーリーの出番のときは、彼のノクタスのミサイルばりによるユニークな演技にすごく盛り上がったのです。ノクタスは地面に思い切りミサイルばりを打ち、自らロケットとなって空中を高く飛び、いあいぎりをしながら、着地を格好良く決めていました。




 「ハーリーさん、やっぱり、油断ができないかも……」

 と、ハルカは控え室でハーリーの活躍をモニター画面で見ながら、頬に汗を流していたのでした。




 シュウの出番になると、少年が演技する前からわあっと拍手まで出ました。




 「シュウくん、人気ね」

 控え室でハルカの隣に座っていたセレナが言います。




 「………」

 ハルカはつばを飲み込みながら、シュウの活躍をモニター画面で見ていました。




 少女たちがシュウの演技を見ることに真剣な間、マイマイとピカチュウ姿のりっぷはコンテスト会場の外にあった広場で休みます。




 「控え室いると、どうも落ち着かないや」

 マイマイが言うと、




 「私もかな。何か、ライブする前の緊張を思い出しちゃって」

 と、りっぷは一旦、元のチューリップの妖精姿に戻りました。




 「あとはあたしたち、一次審査の結果を待つだけだね。シュウくんの出番が終わったあとはいよいよ、あの人の出番か」




 「あの人って、サダムネさん?」




 「うん、そう、サダムネさん。あの人、どんな演技をするのかな。見たいけど、控え室に戻りたくないような……」




 「でも、マイマイちゃん、気になるんだよね?」




 「………やっぱり、戻ろうか、控え室」

 マイマイがコンテスト会場の中へ入ったあと、




 「うん!リルリルフェアリル、ピカチュウの姿に変身するリルー」

 りっぷも急いで魔法でピカチュウになり、彼女のあとを追います。




 マイマイたちが控え室に戻ったときにはシュウの演技は終わっていました。マイマイがハルカとセレナにあとで聞くと、シュウのロズレイドの、はなびらのまいが美しすぎ、会場にいたみんながうっとりしてしまったようです。




 その後、マイマイと交代するようにハルカとセレナが控え室から出て行きます。シュウのところへ行ったのでしょう。




 マイマイも一緒にどうかハルカとセレナに誘われましたが、ピカチュウ姿のりっぷをシュウに近づけるわけにいかず、マイマイは断ったのでした。




 「続いての登場は、サダムネさんでーす!」

 と、司会者のビビアンの声がモニター画面から聞こえ、マイマイは、りっぷと、はっと画面の方に顔を向けます。




 サダムネはモンスターボールからゲンガーを出し、アピールをしていました。サダムネのゲンガーはきあいだまと、エナジーボールを交互に繰り返して出し、輪っかをいくつか作ります。




 次に、きあいだまとエナジーボールで今作ったいくつかの輪っかを、サイコキネシスで空中に浮かばせ、輪っかを自由に操ります。




 それから、もう一度、サイコキネシスを使ってゲンガー自身が空中に浮かび、輪っかと一緒にクルクルと飛んだあと、ひらひらと着地しました。




 そのとき、会場はしばらく、しーんとしていたのですが、サダムネとゲンガーの演技が終わると、わあっと盛り上がっていました。




 「あの人、一次審査突破、決まりだね」

 マイマイは小さく拍手をしながら、そう言います。




 「で、でも、私たちだって頑張ったよ」

 ピカチュウ姿のりっぷがつい、話してしまうと、




 「あれ?」




 「誰か何か言った?」

 しーんとしていた控え室がざわっとなりました。




 マイマイとりっぷは周りがまたしーんとなるまで、脂汗を流しながらすました表情でいたのでした。




 そのとき、控え室にハルカとセレナ、シュウ、ハーリー、サダムネの順番に戻ってきました。




 「それでは、一次審査突破、八名の発表でーす!おめでとうございまーす!」

 ここでちょうど、カナズミシティ、ポケモンコンテスト一次審査の結果が発表されます。




 ビビアンの司会進行後、モニター画面に一次審査突破した八名のコーディネーターの顔が現れました。




 トップにシュウの顔が現れ、次にセレナ、ハルカ、ハーリー、サダムネと現れます。マイマイはこれはもう自分、一次審査落ちたな、と控え室から出ようとすると、ピカチュウ姿のりっぷが引き止めました。




 「マイマイちゃん、私たちも入ってるよ」

 と、りっぷはテレパシーの魔法で伝えます。




 「ほ、本当に?」




 「本当だよ」




 りっぷのテレパシー魔法の声を聞き、マイマイは、モニター画面の方をよく見ました。すると、マイマイの顔が八番目に映っていたのです。彼女は、思わず顔がほころび、




 「本当だ!」

 と、ピカチュウ姿のりっぷを抱っこし、外のコンテスト会場の広場まで走り、一次審査突破を喜んでいました。




 「やったね、マイマイちゃん!」




 「うん!」




 カナズミシティ、ポケモンコンテスト一次審査を突破でき、喜び舞うマイマイたちですが、これは二次審査の嵐の前触れでもあったのでした。




 「何あれ、ピカチュウが今、しゃべってたんじゃないの?どういうこと?」

 コンテスト会場の建物の影からのぞいていたハーリーはそう言ったあと、何かを企んだ表情をし、マイマイたちの秘密を探り始めようとします。





 「面倒になりそうな予感がするな」

 そんなハーリーの様子をちらっとうかがっていたシュウも、マイマイたちを睨むように見つめていたのでした。




 



 

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