マイマイ、ポケモンコンテストに出場!?

佐渡惺
@sat0rusq

第3話、ハラハラ!コンテスト一次審査(前編)

 コンテスト会場広場でポケモンとコンテストの練習をしていたコーディネーターたちは、その場でハルカとシュウのことを見ていました。




 この二人のバトルが始まるか、と思いきや、シュウは一回取り出したモンスターボールを引っ込めます。





 「バトルの決着はコンテストでしよう。ところで、そこの君」

 シュウはハルカにそう言ったあと、セレナに話し掛けました。




 「私ですか?」

 セレナは自分を指さし、返事をします。




 「ああ、君の活躍は知っているよ。カロス地方のトライポカロン・グロリオ大会、決勝まで進んだパフォーマーだね。カロスクイーンになれなくて残念だったね」




 「!」

 シュウの発言が、胸にちくりと刺さったセレナです。




 「ちょっとシュウ!」

 ハルカが少年に食いかかろうとすると、




 「君は黙っていてくれないかな」

 シュウは前髪を直しながら言いました。




 「キー!」

 少年の言い方が憎たらしく聞こえたのでしょう。ハルカはさらにシュウに食ってかかろうとしていました。そこをマイマイとピカチュウ姿のりっぷが抑えます。




 「ハルカちゃん、タンマ、タンマ、バトルの決着はコンテストでしょう。今はこらえようよー」




 「ぴーかーちゅー」 




 「ええ……」

 ハルカはまだ不満そうな顔をしていましたが、シュウとセレナの様子を静かにうかがいます。




 「君がなぜ、ポケモンコンテストの世界に来たのか、きっかけは干渉しないよ。けど、パフォーマー経験が長い君はバトルの経験が浅い。バトル経験が浅いとコンテスト一次審査にもし、突破できたとしても、二次審査の壁が待っている」




 「二次審査の壁……」

 セレナはシュウの言葉の一部を、繰り返し、つぶやきました。




 「ふっ、コンテストに参加しているうちに、わかることさ」




 「シュウ!」




 少年は呼び止めるハルカを無視し、目を閉じながら行ってしまいます。




 「二次審査の壁か……」

 セレナが下を向いて広場の芝生を見ていると、




 「シュウの言うこと、気にすることないよ、セレナちゃん。あの子、いつもあんなふうにバラのトゲが刺さるようなことを言ってくるんだから」




 「ふふっ、おもしろいこと言うね、ハルカちゃん。でも、あの子、良い子だと思うな」

 セレナが言うと、




 「ええー、あのシュウがー?」

 ハルカは細目です。




 「あたしもそう思うかな。シュウくんって言ったっけ。あの子、セレナちゃんに忠告のアドバイスをしたかったんじゃないかな」

 マイマイが言うと、




 「そうかなー」

 と、少女はまだ細目でいましたが、セレナとマイマイの言う通りかもしれないと、晴れた空を見上げます。





 「あの、セレナちゃんとハルカちゃんにお願いがあるんだけど……」

 ここでマイマイが申し上げにくそうに片手を頭の後ろにやりました。




 「お願い?」

 セレナとハルカは小さく首を傾げます。




 「あたし、ポケモンコンテストとか、ポケモンバトルのこと、初めてでよくわからないんだ。教えて下さい!」




 「ぴか!」

 りっぷも、ピカチュウ姿でマイマイに合わせて頭を下げるのでした。




 「もちろん、いいですよ!」




 「私も大丈夫ですよ!まだコンテストが始まるまで時間があるかも!練習いっぱいしましょう!」




 そうして、マイマイは、ピカチュウ姿のりっぷとともに、セレナとハルカにコンテストの練習を見てもらえることになりました。




 セレナはテールナー、ハルカはアゲハントをモンスターボールから出し、マイマイとりっぷにポケモンコンテストのことと、バトルの基本を教えます。




 また、ピカチュウの得意技についても、マイマイは教わっていたのです。セレナがメイキングでこれまで撮ったサトシのピカチュウの映像をりっぷはよく観て覚えたあと、




 「リルリルフェアリルー」

 と、周りに聞こえないように声を出し、上手くピカチュウの得意技を出します。ただ、メイキングのサトシのピカチュウと比較すると技の威力が弱く、休憩のたび、怪しむセレナとハルカをよそに、りっぷはマイマイと何度も打ち合わせしていました。

 




 マイマイたちがコンテスト練習しているところ、離れた場所でじっと観察している者がいました。ハーリーです。




 「あら、かもちゃんたち、熱心に練習してるじゃないの。ふん、かもちゃん、今日も良い子ちゃんぶってるわね」

 かもちゃんとは、ハルカのことでしょう。ハーリーはハルカを一瞥したあと、別の場所に移動しました。




 そんな彼をたまたま発見してしまったシュウはボールから出していたロズレイドを引っ込め、




 「ふん」

 と、鼻で笑っていたのでした。




 カナズミシティポケモンコンテストが始まる三十分前に、マイマイたちが練習を切り上げたときのことです。




 「すみませーん、マイマイさん、いらっしゃいますかー?」

 コンテスト会場広場に、メガネをかけ、スーツを着た男性がやってきました。




 「あの人、マイマイさんのこと、呼んでる」




 「どうしたんだろうね?」




 セレナとハルカが顔を見合わせる中、マイマイはメガネをかけた男性のところに行きます。すると、ピカチュウ姿のりっぷまでついて来ました。




 「りっ、じゃなかった、ピカチュウ?」

 コンテストが終わるまでの間、りっぷの名をなるべく伏せ、ピカチュウと呼んでいるマイマイです。




 「あの人、藪下さんって言って、私のマネージャーなんだ」




 「へ、そうなの」




 「うん。でも、藪下さんがどうして、ここにいるんだろう?」




 「わかった、あたしが話を聞いてきてあげるよ。すみませーん、マイマイはあたしです」

 マイマイはりっぷにグッドサインを送り、藪下に声を掛けました。




 「良かった、マイマイさん、見つかったよ。君にたずねたいことがあって、ワタシは花咲ゆみりのマネージャーの藪下です。ジュンサーさんって、おまわりさんと先ほど連絡していたら、バスツアーのお客さんからバスがガス欠したときに君がバスから降りた情報を耳にしたんだ。そのあと、ゆみりがいないことにも気が付いて、もしかしたら、君と一緒にいるかもと思い、探していたんだ。なあ、マイマイさん、ゆみりと一緒じゃないかい?」




 「えー……」

 マイマイがどう答えたらいいか、わからないでいたとき、ピカチュウ姿のりっぷは魔法を使い、テレパシーを送ります。




 「リルリルフェアリルー、マイマイちゃんにテレパシーを送るリルー!マイマイちゃん、私はマイマイちゃんと一緒だって藪下さんに伝えて」




 「あ、はい、ゆみりちゃんと一緒ですけど……」




 「良かった。やっぱり、一緒だったんだな。ゆみりは今、どこにいるんだ?」




 「あ、あの、お化粧室かと……」




 「そっか、ゆみりがいることが分かれば充分だ。マイマイさん、ゆみりが戻ってきたら、伝えて欲しいことがあるんだ。ツアーバスガイドの仕事から、カナズミシティポケモンコンテストのオープニングステージで歌うことに予定を変更したって」




 「えー、そんな急に!?」

 りっぷがマイマイにテレパシーで言っていました。




 「そういうことだから、よろしく伝えておいて。ワタシはしばらく、その辺にいるから」

 藪下は携帯を取り出し、ジュンサーや芸能事務所など、あちこち連絡しながら、どこかに行ってしまいます。




 「りっぷちゃん、大丈夫?」

 藪下が行ったあと、マイマイは心配そうな表情でピカチュウ姿のりっぷのところに戻りました。




 「うん、大丈夫だよ。フェアドルもピカチュウも頑張るリル!」

 りっぷが気合いを入れると、




 「りっぷちゃんが頑張るなら、あたしもポケモンコンテスト、最後まで頑張るよ。まずは、一次審査突破の前にりっぷちゃんの応援だね!」

 マイマイも片手を上げ、気合いを入れます。




 「ありがとう、マイマイちゃん、オープニングステージが終わったら、すぐにピカチュウになって戻ってくるからね」

 りっぷが言ったあと、




 「マイマイさーん」




 「今の人、何だって?」

 セレナとハルカが駆け寄ってきました。




 「あの人、ゆみりちゃんのマネージャーの人みたいで、ゆみりちゃんを探していたみたい」




 「でも、ゆみりちゃんって、トウカのもりの方に戻ったんじゃ……」

 りっぷとゆみりが同一人物と知っているセレナの言葉にマイマイはぎくっとなります。




 「う、うん、そうだよね。それでマネージャーさん、ゆみりちゃんをまた探しに戻ったみたい」




 「私たちもゆみりちゃんを探すの手伝わなくて大丈夫なのかな……」

 と、セレナが言うと、




 「あ、そのことなら、マネージャーさんが大丈夫だって言っていたから、大丈夫だよ。もうそろそろ、コンテスト始まる十五分前になるよね。会場行こっか」

 マイマイはそうごまかし、セレナとハルカを促しました。




 「もうこんな時間だったのですね」




 「本当にそろそろ、会場に行かなきゃまずいかも」



 セレナとハルカを先に会場に行かせたあと、マイマイはピカチュウ姿のりっぷと会場フロアに行く途中で分かれます。




 「フェアリルチェーンジ!」

 りっぷは人通りが少ないところを探し、魔法で花咲ゆみりに変身しました。そのところを何と、見てしまった者がいます。ロズレイドを連れたシュウでした。




 「どういうことだ、ピカチュウが人間の女子に変身した……?」




 「早くお仕事、終わらせようっと」

 シュウに見られてしまったと知らず、りっぷすなわちフェアドルの花咲ゆみりは、マネージャーの藪下のところへ走って行きました。




           

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